【養育費問題】連絡が取れない・居所が分からない元夫に養育費を支払らわせることはできるの?相手の情報を調査する方法|ウルトラ弁護士ガイド
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- 現在、養育費を支払ってくれなくて困っている…
- 元旦那に電話をしても出てくれない
- 携帯電話を変えられて連絡がつかない
- どこに住んでいるのか、どこで働いているのかもわからない
- 自分で附票をとってみたものの、住所は実家のままで不在
このような場合、手紙を出して請求しても、手紙を見てくれたかさえわからないですね。
連絡もつかなければ伝えることすらできません。
勤務先が分からなければ、収入があるのかどうかも分からないですし、養育費を諦めるしかないと思ってしまうでしょう。
実際に、自分で養育費の支払いを請求するには、相手の連絡先や居所を知らないと何もできません。
相手の給料を差し押さえるために、裁判所で強制執行の申し立てをしても、勤務先などを知らないと空振りに終わるだけです。
相手の所在、勤務先、連絡先がわからない場合には、まずは相手の情報を集めなくてはいけません。
ここでは、養育費を請求するために必要となる相手の情報や、その情報を集めるための方法を紹介します。
目次
相手の所在が分からない!住民票からたどったり探偵を使って探してみる
養育費を自分から払ってくれない相手に対しては、相手のお給料や財産を差し押さえるしかありません。
そのためには、「強制執行手続き」が必要になります。
ただ、強制執行手続きを申し立てるには、相手の名前や住所(居所)、電話番号、勤務先の住所や電話番号が必要です。
ちなみに、「住所」とは、実際に生活をしている場所となります。
例えば、住民票には、東京の住所が書かれていたとしますね。
そこに実際に住んでいれば、申立書には東京の住所を記載します。
しかし、転勤などで1年間だけ別のところに住んでいるような場合もあります。
わざわざ住民票をうつさないことも多いため、まずは転勤先がどこなのかを調査して、実際に住んでいる転勤先の住所を申立書に記載しなくてはいけません。
住所が分からない場合の調査方法1〜弁護士なら様々な方法で調査ができる
連絡もつかず、居所もわからない相手を探す、というのは素人には限界があります。
そこで、弁護士にお願いするのが一つです。
弁護士には、「職務上請求」や「弁護士会照会」という、弁護士だけが使える調査方法があります。
・職務上請求とは
職務をおこなうために必要な場合には、他人の住民票や戸籍等を取りよせることができる、弁護士に許された制度です。
戸籍を確認できれば、その人の親族関係を把握することができるため、親戚などに聞いてまわることが可能になります。
職務上請求ができることで、居所を特定する手がかりになるのです。
・弁護士会照会とは
弁護士会を通じて、企業や団体に対して調査することができる制度です。
戸籍や住所が判明しても、そこに住んでいない、ということはよくあります。
転勤等で住民票を移動させていない場合などです。
このような場合でも、携帯番号さえわかれば、携帯会社に対して使用している人の住所などの情報を開示するように求めることができます。
弁護士照会をされた携帯会社側は、原則として回答をする義務があるので、断ることができません。
また、銀行口座が分かっている場合には、銀行に対して、勤務先がわかれば勤務先にというように、同様に情報の開示を求めることができます。
それ以外にも、相手が不動産を所有していてその物件がわかっていれば、その不動産の登記簿を取ることもできます。
これらは、法律で認められた弁護士だけにできる制度です。
自分で探すことに限界を感じたら、弁護士を活用することをお勧めします。
住所が分からない場合の調査方法2〜探偵や興信所に依頼する
自分での調査に限界を感じたら、興信所や探偵を使うことも一つです。
ちなみに、探偵と興信所の違いですが、名前は異なっていますが業務内容にそれほど変わりはありません。
料金の大差もなく、単に名前が違うだけと思ってください。
依頼する場所を探す際には、興信所か探偵かで悩むのではなく、どこに依頼をするのかを慎重に考えるべきですよ。
それぞれの場所で調査方法も違いますし、調査期間も違います。
ただし、探偵などは弁護士のように特権を持っていないので、調査する相手の情報をできるだけ多く用意する必要はあります。
住んでいそうな地域、利用している駅、よく行っていたお店など、より多くの情報を用意しないと探すことはできません。
費用も莫大にかかるので、注意してくださいね。
どんな方法を用いても相手の住所が判明しなかった場合〜諦めるしかないケース
中には、どうやっても住所が分からない場合もあります。
住んでいるところがわからないと、裁判所は訴状や申立書を郵送することができません。
この場合ですが、勤務先がわかっていれば勤務先に送達する方法がとれます。
勤務先もわからない場合には、「公示送達」という方法があります。
公示送達とは、裁判所の掲示板や区役所の掲示板に「〜の申立て、訴えがありましたよ」という旨が掲示されるものです。
掲示されてから一定期間(2週間程度)が経過すると、相手に書面を送達したことになります。
公示送達をしたいときは裁判所に申し立てをすれば可能ですが、例外的な方法になるので、申し立てが認められるためには様々な条件や厳格なルールがあります。
難しい手続きですので、弁護士にサポートしてもらうべきです。
養育費を請求したいけど働いていない!相手がヤクザや右左翼!出家してしまった場合
養育費の回収に関しては、居所を調査して把握したり、公示送達して申立書を送達するだけでは意味がありません。
お給料を差し押さえる場合には、勤務先の情報が必要ですね。
そもそも、働いているかどうかの情報も重要です。
いくら公示送達したり、調査して居所がわかっても、仕事をしていなくて財産もない場合、残念ですが、支払ってもらうことを諦めるしかありません。
相手が暴力団組員・出家してしまった場合
相手がどんな人であっても、養育費を支払う義務はあります。
暴力団や出家した場合などです。
実の子という事実は変わりありませんから、請求しても払ってくれないなら強制執行して回収するだけです。
ただ、出家した場合は、収入がないケースもあります。
出家先から給料をもらっているかどうかを調査しなくてはいけません。
出家先から給料をもらっていたり、自営として収入があるなら回収は可能です。
また、相手が暴力団の場合も同様です。
暴力団組員(ヤクザ)は個人事業主という形が通常です。
収入がある場合には、強制執行して差し押さえることが可能になります。
収入があるかどうかの調査方法としては、弁護士だけにできる弁護士照会や裁判所の調査嘱託です。
相手が自営の場合、開示の請求先は市役所や税務署になりますが、弁護士の照会請求だと合理的な理由がないということで開示を拒否されてしまいます。
そのため、裁判所の調査嘱託で開示請求をするのがオススメです。
弁護士照会と変わらず照会先は回答する義務があるのですが、裁判所からの照会となると容易に拒否できない事情があります。
むやみに回答を拒否すると不法行為となる場合もあるため、回答を得られやすくなっています。
重要
相手と連絡も取りたくないでしょうし、居場所も知られたくないと思います。
弁護士に代理人になってもらえば、連絡先や居所を隠せますし、相手と絶対に合わないように裁判所にも配慮してもらうようにすることが可能です。
しかし、中には本当に面倒な相手もいます。
請求することで嫌がらせをしてきたり…。
もちろん、そうなれば警察が動きますが、離婚してやっと縁が切れた、二度と関わりたくない、という人もいるでしょう。
その場合には、養育費を諦める、というのも賢明な判断だと思います。
相手が無職の場合
請求相手の元夫が無職で収入がない場合です。
養育費を回収するのは難しいと考えてください。
ただ、いくつか例外はあります。
無職でも、家賃収入がある場合などです。
家賃収入を差し押さえることができます。
また、不動産を持っていれば、財産の差し押さえができますね。
そして、働けるのに働かないケースもあります。
この場合には、本来働いていたであれば得ている収入を算出して、慰謝料を請求できる可能性があります。
しかし、相手が無職というケースでは、多くの場合、病気や何らかの事情があることがほとんどです。
すぐに働けるかはわかりませんし、財産もないとなると、残園ですが回収するのは難しいでしょう。