「戸籍上は存在しない人の免許証??」結婚して苗字が変わったけど面倒で免許証はずっと旧姓のまま~これって違法??

高橋 はなえさんは、昨年の4月に結婚した、結婚一年目の新婚さんです。

ずっと憧れていた新婚生活は毎日が楽しく、あっという間に過ぎていきました。

ふと気づけば、年末年始もすぎ、また春がやってこようとしていました。そんなある日、はなえさんの実家から電話がかかってきたのです。

「はなえ、あなた、免許証の更新のハガキが届いてるわよー。今度こっち来たとき、忘れずに持って帰りなさいね。」

「あ!もう免許証更新の時期かー、わかった、ありがと!」

はなえさんは結婚前、実家暮らしだったので、運転免許証更新のハガキが実家に届いていたのです。

『そういえば、普段は財布にいれっぱなしだし、わざわざ運転免許証を使う機会もなかったから、結婚してからも旧姓から変更してなかったなぁ。市役所の手続きやったら全部終わった気になっていた…』

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これまで、身分証の提示は改姓手続き済の住民基本台帳カード(写真付き)で事足りましたし、免許証が旧姓のままで困ることもないまま、既に結婚して10か月が過ぎていました。

『ま、免許証の更新なんてちょうどいいタイミングだわ。一緒に改姓手続きしようっと。』

はなえさんは、そんな風に簡単に考えていました。

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旧姓の自分は、現在、戸籍上に存在していない?!

それからしばらく経った週末、はなえさんは自宅から車で1時間程度の実家に帰省しました。

「お帰り、はなえ。はい、これ運転免許証の更新ハガキね。あなた、旧姓のまま手続きしてなかったのね。もう結婚してから10か月以上経ってるのに…ものぐさねぇ。」

はなえさんのお母さんは、少し呆れたようにそう言いました。

「だって、運転免許証なんて普段財布から出して使わないもの。大体、改姓手続きって市役所行ったり警察署に行ったり一度で済ませられないじゃない。今時不便だよー。」

そんな風に不満をもらすはなえさん。

そこへ、不意にはなえさんの妹、さきさんが会話にはいってきました。

「でもさー、市役所で住民票とかの改姓手続きはしたんでしょ?婚姻届だしてるからもう、お父さんお母さんたちの戸籍からは抜けてるわけだし…もう『山田 はなえ』は戸籍上存在してないわけだよね?じゃあ、その旧姓の免許証って無効じゃないの??」

「うーん、でも、そんなこと言ったら、結婚したばっかりの人たちはどうすればいいのよ。旧姓の免許証が使えなかったら不便でしょ?」

「だからぁ、困る前にしっかり改姓手続きをしろってことでしょ?」

さきさんは、言いたいことだけ言うとさっさと2階へとあがっていってしまいました。

確かに、さきさんの言っていることはごもっともです。

ですが、今回のはなえさんのケースのように『結婚して姓が変わったけど、ついつい後回しになって、結局改姓手続きをしていなかった』という人は、意外と多いのではないでしょうか?

はなえさんは市役所に婚姻届を出して、実家の「山田家」の戸籍から抜けたはずです。

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住民票の氏名変更だって、結婚してすぐに行っているわけですから、役所の書類上、現在『山田 はなえ』は存在していないことになるのでしょう。

勿論、過去の記録をさかのぼれば『山田 はなえ』さんであったことの証明は可能です。

結婚前の旧姓がわかる書類としては、何を発行してもらえばいいですか。

氏(姓)や名については、戸籍が証明しますので、戸籍全部・個人事項証明書(戸籍謄本・抄本)を請求してください。具体的には、現在のあなたの戸籍に記載してある「婚姻事項」が証明します。
「婚姻事項」には、従前の戸籍の「本籍」と「戸籍の筆頭者の氏名」が記載されており、婚姻前は、この戸籍の筆頭者の氏と同じであったということになります。

「広島市 – 結婚前の旧姓がわかる書類としては、何を発行してもらえばいいですか。(FAQID-2246~2249・2289)」より

では、『現在の戸籍と内容の異なる状態の運転免許証』は、果たして問題ないのでしょうか?

改姓手続きは法律で定められている?!うっかりそのままにしておくと、大変なことになる場合も??

実は、運転免許証の改姓手続きは、実は法律で定められた『義務』なのです。

ここで、道路交通法の引用を見てみましょう。 道路交通法 第94条(免許証の記載事項の変更届出等) 免許を受けた者は、第九十三条第一項各号に掲げる事項に変更を生じたときは、速やかに住所地を管轄する公安委員会(公安委員会の管轄区域を異にして住所を変更したときは、変更した後の住所地を管轄する公安委員会)に届け出て、免許証に変更に係る事項の記載(前条の規定による記録が行われる場合にあっては、同上の規定による記録)を受けなければならない。

「道路交通法(抜粋)」より

しかも、なんとこの規定には、次のような罰則規定があるのです。

道路交通法 第121条
 次の各号にいずれかに該当する者は、二万円以下の罰金又は科料に処する。

 第四十五条の二(高齢運転者等標章自動車の停車又は駐車の特例)第四項、第五十一条の二(違法駐車に対する処置)第十項、第五十一条の四(放置違反金)第二項、第六十三条(車両の検査等)第七項、第七十五条(自動車の使用者の義務等)第十一項(第七十五条の二(自動車の使用者の義務等)第三項において準用する場合を含む。)、第七十八条(許可の手続)第四項、第九十四条(免許証の記載事項の変更届出等)第一項、第百三条の二(免許の効力の仮停止)第三項(第百七条の五(自動車等の運転禁止等)第十項において準用する場合を含む。)、第百七条(免許証の返納等)第一項若しくは第三項、第百七条の五(自動車等の運転禁止等)第五項若しくは第七項又は第百七条の十(国外運転免許証の返納等)第一項若しくは第二項の規定に違反した者(第百十七条の五第二号に該当する者を除く。)
「道路交通法(抜粋)」より

つまり、『結婚して改姓しているにも関わらず、速やかに改姓手続きをしていない』ことは違法なことであり、

『罰金又は科料を支払わなければならない可能性がある』ということです。

科料(かりょう)とは、「1000円以上1万円未満(つまり9999円以下)」の金銭を強制的に徴収する財産刑の一種である。日本の現行刑法における主刑で最も軽い刑罰で、軽微な犯罪に対して科される。罰金と類似しているが、罰金は1万円以上である。
市町村役場の犯罪人名簿には記載されないが、検察庁保管の前科調書には記載され、前科となる。

「科料 – Wikipedia」より

幸せな結婚をして楽しい日々を送っていたら、急に『刑罰』を受けるハメになってしまった!!なんて、とてもショッキングですよね。

勿論、多くの場合はうっかり手続きを忘れていたとしても、免許更新のタイミングで改姓手続きをするなどして問題なく終わるケース多いのです。

しかし、実際このように法律でしっかりと罰則まで規定されているものですから、やはり、改姓した場合は、できるだけはやく、正しい手続きをすることがベターです。

ちなみに、運転免許証の氏名変更は、警察の管轄となります。

最寄りの警察署、または運転免許更新センターで行うことが可能で、その際には下記の書類が必要となります。
本籍、氏名の変更
1 免許証
2 本籍(国籍)記載の住民票(※個人番号(マイナンバー)が記載されていない住民票を提出となります。コピーは不可)(注2、注5)、住民基本台帳法の適用を受けない方は旅券等(注3)
3 代理人申請の場合、申請者と代理人が併記された本籍・国籍の記載ある (※個人番号(マイナンバー)が記載されていない住民票を提出となります。コピーは不可(続柄の記載不要。))(注2)と代理人の本人確認書類(注4)

警視庁より 

改姓手続きが面倒でも、しっかりとやっておかないと後悔することに?!

結局、はなえさんは運転免許証の更新手続きの際に、あわせて改姓手続きに必要な書類をもっていき、遅ればせながら、無事、免許証の改姓手続きができました。

罰金や科料が課せられることもありませんでした。

今回のはなえさんの場合は、特にトラブルもなく、10か月遅れの改姓手続きが可能でしたが、状況によっては『改姓手続きをしていなかったこと』によっては話がややこしくなってしまう可能性もあります

例えば、交通事故を起こしてしまったり、駐車違反など、交通違反をしてしまった時には、運転免許証の提示が必要ですよね。

その際に、改姓手続きをしておらず旧姓の運転免許証だった場合、現在の姓と異なるため、まず『現在持っているものが、本当に自分の免許証なのか?』の証明が必要になってしまいます。

そして、勿論、前述の通り、道路交通法第94条に規定されている『改姓手続きの義務』を果たしていなかったことに対する注意をされたり、罰金が発生する可能性もあるわけです。

このような無用のトラブルを防ぐためにも、面倒に感じたとしても、

必要な手続きはまとめて一気に済ませてしまいましょう!

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