娘からSOS!!「お隣の男の人が、監視カメラで私を見てる!」人の家の監視カメラを撤去できる?

あきえさんには、可愛い一人娘がいます。

娘さんは、りえさんと言い、今年の4月に大学生になったばかりです。

これまで、夫婦2人でりえさんを大切に育ててきたあきえさん。

大学入学を機に、自宅から離れた土地で一人暮らしをはじめたりえさんのことを、とても気にかけていました。

ついこの間まで高校生だった娘が、遠い土地で一人きりで暮らしているかと思うと、成長が嬉しくもありますが、やはり心配でたまらなかったのです。

娘を、少しでも安全な環境を用意してあげたくて、ちょっと割高ではありますが、オートロックで駅から近い物件を探して契約しました。

そんな娘から、ある日、とても心配な話を聞かされたのです。

それは何と、『マンションのお隣の男の人が、最近自分の部屋の前に監視カメラをつけはじめた。』ということでした。

photo1 (12)詳しく聞くと、この男性、どうにも怪しいのです。

りえさんのマンションの部屋は、7階の一番端にあり、自分の部屋にはいるためには、どうしても例の男性の部屋の前を通る必要があります。

このため、今回男性が設置したという監視カメラには、りえさんの『家に帰る時間』『家から出る時間』の情報が全て記録されることになってしまいます

この行為だけでも十分警戒すべき話なのですが、更に怪しいことに、この男性、監視カメラを設置する数日前に、りえさんに近づきたがるような素振りを見せていたのです。

「私が大学休みの日に、たまたま外にでかけようと思って部屋をでたら、その人も同じタイミングで出てくるところだったの。それで、エレベーターが一緒になって…色々話しかけられて…お隣さんだから、あんまり変な対応しちゃいけないと思って…つい、聞かれたことを答えちゃったの。」

りえさんは、気落ちしながら、あきえさんに教えてくれました。

りえさんは、自分が4月に引っ越してきたばかりの大学生であること、実家が遠いこと等を話してしまったそうです。

すると、その男性は

自分はもう何年もここに住んでるから頼ってほしい。まだこのあたりもよく知らないだろうし、自分が街を案内しよう。いつなら都合がいい??よかったらたまに一緒に夕飯でも食べないか??毎週何曜日なら空いている?』等、

初対面のりえさんに、怖いくらいぐいぐいと話しかけてきたそうです。

りえさん曰く、その男性はお世辞にも好印象をもてるような人物ではなかったと言います。

ものすごく強引で、その日も、駅までの道が一緒だったのはともかく、同じ電車の隣の席に座ろうとしたり、とにかくしつこく付きまとってくるので恐怖を感じたというのです。

りえさんも必死に、男性からの誘いを曖昧に濁して断ったものの、不安は消えなかったといいます。

そんな不安な状態のまま、数日が過ぎ…そして、ある日突然男性の部屋の前に、監視カメラが設置されたのです!

娘からの連絡

りえさんは恐怖のあまり、急いであきえさんに連絡したのでした。

「そんなことがあったのね…そんな男に会ったって、どうしてすぐ教えてくれなかったの?!」

りえさんの話を聞いて、あきえさんは恐ろしくなってしまいました。

近年は、同じマンション内の住民が犯人だという、恐ろしい事件も起こるとききます。

オートロックでセキュリティがしっかりしていると言っても、同じマンションの住民だったら、オートロック等何の役にもたちません。

「だって…お父さんもお母さんも、ものすごく心配症じゃない。こんな話したら、またすぐ大騒ぎして心配させちゃうと思って…私もビックリしたけど…でも、まさか住所もしっかりわかっているような人が、変なことはしてこないと思ってたから…」

りえさんなりに、ご両親に心配をかけまいと、不安を必死に押し殺し我慢していたのです。

「とにかく、お父さんはまだ会社だから、お母さんがすぐそっちに行くわ!! 今日の夜にはそっちに着くから、あなたはそれまで、家から出てどこかお店で待ってなさい!!!」

そんな話を聞かされて、りえさんをそのマンションに一人きりにしておくことはとても危険なことのように思えたあきえさんは、急いでりえさんのもとに駆け付けたのです。

自宅前への監視カメラ設置は、肖像権の侵害にあたる??

さて、それでは今回のケースについて見て行きましょう。

りえさんは部屋を出入りする際、マンションの構造上、隣の男性の部屋の前を必ず通らなければいけません。

これでは、りえさんやあきえさんの心情としては、りえさんの行動を、24時間監視カメラで盗撮しているのと同じようなものです。

部屋に在宅しているのか、留守なのかがわかれば、極端な話、留守とわかっている間にゆっくりと時間をかけて、ベランダ伝いにりえさんの部屋に侵入されるかもしれないのです。

また、もしかしたら、部屋に忍び込んで、盗聴器等をしかけられるかもしれません。。

もっと恐ろしいものだと、『こっそり部屋に忍び込んで、部屋でりえさんの帰りを待ち伏せする』という可能性だってあります。

りえさんの1日の行動パターンを盗み見ることができてしまう、今回の監視カメラの設置は、果たして法的に
問題はないのでしょうか?

最近では、一般の人々も防犯や防衛意識が高まり『肖像権の侵害』について問われるケースが多くなってきています。

勝手に写真を撮られたり、その写真を無断でインターネット上にアップされたりした場合、多くの人が不快に感じるのではないでしょうか?

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このような場合、『肖像権を侵害された』として、相手の行為をやめさせることができるのです。

肖像権は他人から無断で写真を撮られたり無断で公表されたり利用されたりしないように主張できる考えであり、人格権の一部としての権利の側面と、肖像を提供することで対価を得る財産権の側面をもつ。また、肖像を商業的に使用する権利をとくにパブリシティ権と呼ぶ。一般人か有名人かを問わず、人は誰でも断り無く他人から写真を撮られたり、過去の写真を勝手に他人の目に晒されるなどという精神的苦痛を受けることなく平穏な日々を送ることができるという考え方は、プライバシー権と同様に保護されるべき人格的利益と考えられている。

ただし、『肖像権』という名前がついているため、よく勘違いされがちですが、実は、肖像権とは法律で定められた権利ではないのです

肖像権は、あくまで『基本的人権』に基づきつくられた『権利の考え方』なのです。

そして、この『肖像権』とは、『どこからが肖像権の侵害にあたるか?』という判断が非常に難しいのです。

例えば、今回と同様の『監視カメラの設置』について、ちょっと違った視点で見てみましょう。

監視カメラの設置の別の例

一軒家に住んでいるAさんの家の玄関で、ある日突然不審火がありました。

周囲に火の気もなかったので、警察の捜査により、おそらく『放火』であろう、という見解がだされたのです。

Aさんは不安に思い、防犯のため、玄関に監視カメラを設置しました。

これで、もしまた放火にくる人がいたらこの監視カメラにしっかりとうつるはずです

また、もし犯人が監視カメラを見たら『録画されているから、もう放火はできない!』と思い、放火を思いとどまるかもしれません。

これには、犯罪を防ぐ効果もあります。

さて、こうしたAさんの事情を聞くと、皆さん『Aさんが玄関前に監視カメラを設置するのは仕方がない』という印象をうけるのではないでしょうか?

この際、Aさんの隣人、Bさんが

『私は毎日Aさんの家の前を通るから、この監視カメラに自分の姿が映ってしまう!肖像権の侵害だから、監視カメラを撤去しろ!!』と主張しても、Bさんの主張が受け入れられる可能性は少ないのです。

つまり『監視カメラを設置することで他人の肖像権を侵害してしまっているけれど、それでも仕方ないと思えるくらい、カメラを設置すべき理由があるのか?』というところがポイントとなるのです。

監視カメラを設置することに、一般常識で考えて「無理もない」といった事情(これを法律的には「社会的相当性」と言います)がないならば、この肖像権侵害を理由としてカメラの撤去が認められるでしょう。例えば、カメラでの映像撮影が個人的な趣味にすぎない場合などです。もちろん、その方がどのような趣味をお持ちだろうと基本的には自由なのですが、家の前を通る人の肖像権を侵害するようなやり方では、認められませんよ、とそういうわけです。極めて常識的で分かりやすい話でしょう。

では、改めて今回のりえさんのケースに戻ってみましょう。

今回の、隣の男性の監視カメラの設置には『社会的相当性』があるのでしょうか?

残念ながらこれは、本人に詳しい事情をいてみるしかありません。

ですが、その事情次第では、りえさん達はこの男性の監視カメラの撤去を求めることができるのです

りえさんのこれまでの話をまとめると、どうやらこの男性、りえさんに近づく目的で、このような行動に出た可能性が非常に高いように思われます。

しかも、マンションの構造上、この男性の監視カメラは、りえさんの部屋への出入りを100%録画している状態になっています。

この場合、りえさんの『プライベートな部分』までが監視カメラに録画されてしまっているものととらえることができ、りえさんの被害の度合いは大きいものと考えられます。

こうした場合、『監視カメラの撤去』につき、りえさん達の主張が受け入れられる可能性が、非常に高いのです。

監視カメラは、正しく使えば防犯効果抜群のツールだが…使う際は、慎重に?!

結局、あきえさん一家は、家族でよく話し合った結果、りえさんを安全な女性専用マンションに引っ越しさせることにしました。

マンションの管理会社にも事情を説明し、監視カメラの撤去ができそうなところまで話は進んだのですが、いくら監視カメラを撤去したところで、あの男性が住み続けるあのマンションにずっといることは、りえさんの精神衛生上、よくないと判断したのです

思いきって引っ越しをしたことで、トラブルから解放され、ようやくあきえさん一家はほっと胸をなでおろしたのです。

監視カメラは、本来『防犯目的』で使用されるツールです

その一方で、今回のケースのように、他人の権利を侵害し、恐怖を与えてしまうような使い方をする人もいます。

実は、近年では、監視カメラを設置した住人と、その近隣の住人が揉めるケースも少なくないのです。

もしあなたが『防犯のために監視カメラをつけたい』と考えるのであれば、事前に近所の方へしっかりと説明されることをおすすめします。

『防犯のつもりの監視カメラ』が、誤解を生んで『ご近所トラブルの元』になってしまうかもしれませんよ!!

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