エステ店が閉鎖!!カードで支払ったコース料金どうなるの?
この4月から社会人になったゆかりさんは、今「自分磨き」にハマっています。
学生だった頃はアルバイトを頑張っていた午後5時には退社でき、自宅でゆっくり過ごすことができます。時間にも余裕ができました。
最近、美しさに磨きをかけたいと考えるようになったゆかりさん、以前から社会人になったら行ってみたいと思っていた「エステサロン✿B✿」に通うことにしました。
ゆかりさんの会社は咲町にあります。会社から近い咲町店に通うことにしました。
新社会人のゆかりさん、すっかり張り切って30回コースを契約しました。
費用は45万円。
当然一括払いは無理なため、クレジット契約にして月々1万円を支払うことにしました。
ある日、5回目の施術に行ったところ、お店のスタッフからテナントの関係で、咲町店が閉鎖することを聞きました。
今後の施術はどうなるのか尋ねたところ、
「咲町店は閉鎖するけれど、空町店は通常通り営業をしているのでそちらに通ってください。」
と言われました。
まさかエステ店が移転!!
ゆかりさんとしては、仕事の帰りに通うつもりで咲町店を選んだわけです。
空町店に通うとなると電車を乗り継いで行かなければならず、帰宅も遅くなってしまいます。
ゆかりさんは
「私が契約をする際には咲町店の閉鎖はもうわかっていたのではないか?」
と疑いを持ち、「エステサロン✿B✿」本社にも問い合わせを行いましたが、
「このようなことになってご迷惑をおかけし申し訳ありません。お疑いのようなことはございません。空町店の方でご利用できますので、そちらへおいでください。」
と咲町店と同じことを繰り返すばかり。
ゆかりさんは納得できません。
そこで「エステサロン✿B✿」本社に「契約を解除します」という内容証明郵便を送り、クレジットの分割払いも中止しました。
ところが、クレジット会社からゆかりさんに電話があり、残金と遅延損害金を支払うよう督促があったのです。
事情を説明しても、クレジット会社は「エステサロン✿B✿とゆかりさんの間のトラブルは当社には関係のないことです。」と言い、なおも支払いを求めてくるのです。
ゆかりさんとしてもクレジット会社が言うように、「エステサロン✿B✿」とクレジット会社は別の会社であり、クレジット会社が立て替えているエステの料金を支払わないのは申し訳ないとも思っているのですが、そうかといって「エステサロン✿B✿」の言いなりになるのもシャクにさわります。
ゆかりさんはどうしたらいいか途方に暮れています。
支払わなきゃいけないの?
美について、女性は敏感です。
いえいえ女性だけでなく、最近は男性だってエステに行く時代。
皆さん、美を磨いているのですね。
私などはローンを組む勇気がなく、外側の美はそこそこに心の美を磨こうかなどと考えているところです。
まぁ、お金がないので言い訳なのですが・・・。
さて、このケース。
会社の帰りに遠回りしてまでエステに通いたくない。こんなことなら契約しなかったのにと思うゆかりさんの気持ちはよくわかります。
私だったら小心者だから、仕方ないなと諦めて空町店にブウブウ言いながら通ったと思うのですが、ゆかりさんはいろんな意味で勇気がありますね。
ゆかりさんは残金と遅延金を払わなければいけないのか?という問題でしたね。
結果から言うと残金と遅延損害金の支払いをする必要はなく、契約も解除することができます。
えーっ、そうなの?諦めの早い小心者の私などは地団駄踏んで悔しがるかもしれません。
簡単に諦めずに調べてみるものですね。
一括払いは無理なため、クレジット契約にして月々1万円を支払うことにしたのでしたよね。
そのため、このケースでは割賦販売法で考えることになります。
割賦販売法の35条の3の19条第1項の条文では・・・ややこしくてことばが解りにくいので条文に当てはめて考えましょう。
ということは、ゆかりさんは「エステサロン✿B✿」に対して主張できることを、全く別会社のクレジット会社にも主張することができるということになります。
今回のケース
「エステサロン✿B✿」が咲町店を閉鎖して空町店でサービスを受けるようにゆかりさんに言いました。
咲町店の閉鎖は会社の問題であり、ゆかりさんが「エステサロン✿B✿」の都合に合わせて空町店に通えなどの指示に従う必要はないわけです。
そのため、エステの契約解除は可能ということになります。
そして、上の条文にあるように、それはクレジット会社にも主張できますので、残金や遅延損害金を支払う必要もありません。
クレジット会社、かわいそうですよね。お気の毒です。
しかし、消費者を保護するためにこのような規定が置かれているのです。
ですが、注意していただきたいことがあります。
もし、エステ店に何の落ち度もないのに、ゆかりさん
が「やっぱり行きたくなくなっちゃった。途中でやめる。」などと自分勝手な主張をすれば、クレジット会社は「そんな筋の通らないことは納得できない。」と主張を退けることができますので、どんな理由でも大丈夫というわけにはいきません。
契約をするときには本当に必要なのか、お財布は大丈夫なのかも含め、契約の内容を細かくチェックしてから判断しましょう。
それにしても契約の前に提示される「約款」、あれってなぜあんなに字が小さくびっしり書かれているんでしょうかね?
読むのが嫌になって早く印鑑を押すように・・・でしょうか?
そうではないんでしょうが、あわてないでゆっくりしっかり読んで、わからないことは質問しましょう。
急いでサインや押印することないんですよ。
むしろ急かすところは要注意!!
契約はくれぐれも慎重に。
それでもトラブルが発生したら泣き寝入りせずに、まずは弁護士さんや消費者センターなどに相談に行きましょう。
ゆかりさん、社会人になった早々大変な目に遭いましたが、これを機会にしっかり消費者としての知識も身につけましょう。
それにしても高い授業料にならずに何よりでした。
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