絶対に納得がいかない!!私がずーっと姑の介護をしてきたのに…遺産は旦那兄弟、皆均等にですって?!

みちこさんは、50代の専業主婦です。

先月、8年間在宅介護を続けていたお姑さんが亡くなり、何だかぽっかりと胸に穴が開いたような、気の抜けた心地でいました。

介護し続けた8年間

8年前、元々足の悪かったお姑さんの介護をしていたお舅さんが亡くなり、一人きりになってしまったお姑さんを自宅に引き取り、以来ずっと、みちこさんが身の回りの世話をしてきたのです。

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骨肉の争いとまではいかないまでも、やはり嫁姑という関係上、色々と苦労がありました。

みちこさんのお姑さんはとても気が強い人だったため、みちこさんの介護を受ける身でありながら、常に上から目線の物言いしかせず我儘も言いたい放題でした。

そんなお姑さんとの8年間は、みちこさんにとって非常に大変なものだったのです。

お姑さんが亡くなって1ヶ月以上がたち、ようやく気持ちが落ち着いてきたある日のこと、夫の姉(みちこさんから見て義理の姉)である、さちえさんから電話がありました。

実の姉からの電話

「お母さんの遺産について、そろそろきっちり話しあおうよ。49日があけたら一度皆で集まろう。ちづるにも声かけておくからさ。」

お姑さんが亡くなった際、お葬式の手配から何からなにまで、全て長男であるみちこさんの夫に丸投げだった2人の義姉、さちえさんとちづるさん。

確かに喪主は長男がやるのが当然のことですが、それにしても、斎場の手配から親族への連絡まで、一切の手伝いをしようとしなかった2人に、みちこさんは良い感情は持っていませんでした。

そもそも、2人の義姉は8年間の在宅介護生活の間さえも、一切介護の手伝いをしてくれなかったのです。

たまにみちこさん宅に顔をだしては、お姑さんとのんびりおしゃべりをし、みちこさんのつくった夕飯を食べて帰るだけという、本当に「顔を見せにきた」程度のことしかしない2人だったのです。

みちこさんの旦那さんも、『姉さん達は面倒くさがりだから』と、もはや何かを手伝わせることを完全に諦めている様子でした。

「…面倒くさがりの割には、遺産分割なんてお金が絡むことには随分積極的なのね。」

みちこさんは、どうにも嫌な予感がしました。

8年間も在宅介護をしたのに、一切見返りなし?!いくらなんでもひどすぎる!!

果たして…みちこさんの予感はあたってしまったのです。

みちこさんの旦那さん、義姉2人の3兄弟が一堂に会し、遺産分割について話しあいがあったのですが、その場で義姉達は衝撃的なことを口にしました。

「遺産分割はきちんと3人均等にね。兄さん達が管理してた母さんの通帳とか全部だしてね。隠したりしないでよー。」

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なんと!

みちこさんに8年間も在宅介護をやらせておきながら、遺産は綺麗にきっちり3等分しようと言うのです。

しかも、更に驚くべきことに、みちこさんの旦那さんはその申し出をあっさり受け入れようとしました。

びっくりしたみちこさんは、家に帰って早速旦那さんを問い詰めました。

「ちょっと!!私一人に8年間も在宅介護させておいて、遺産がきっちり3等分ってどういうことよ!?私の8年間分の労働は、全く無かったことにされるの?!」

普段温厚なみちこさんのあまりに怒りように、旦那さんもビックリしてしまいました。

「ど、どうしたんだよ、急に。遺産ってのは兄弟皆平等にって法律で決まってるもんだろ??うちだけ多くもらうなんてできないよ。お袋だって、遺言書を残してるわけでもあるまいし。」

そう、確かにお姑さんは『みちこさんがずっと介護してくれていたから、遺産を多めにあげる』等といった遺言書を書いていたわけではありません。

ですが、だからと言って、8年間誰の手伝いもないまま.

たった一人で在宅介護を頑張ってきたみちこさんに対して、遺産分割の上で何も考慮がされないというのは、あまりにも可哀そうです。

みちこさんは法律的に救済される可能性はあるのでしょうか?

今回は、民法で規定される『寄与分』について詳しく見ていきましょう。

相続人の中うち、被相続人の財産の維持または増加に貢献した相続人には、その貢献の度合いに応じた金額を、法定相続分にプラスしてもらうことができます。そのプラスされる金額のことを「寄与分」といいます。

ここで言う『相続人』とは、

今回のケースで言えば、

みちこさんの旦那さんと義姉2人(さちえさんとちづるさん)の3人のこと

『被相続人』は

3人の母親(みちこさんにとってのお姑さん)を指します。

要は『生前の母親に貢献した子どもは、法定相続分にプラスして多めのお金をもらえる』ということです。

みちこさんは、このまま遺産がきっちり3等分されてしまうのはあまりに納得がいかないため、何とかできないかと、遺産分割について色々と調べました。

そして、この『寄与分』について知ったのです。

寄与分は、被相続人の財産に貢献した相続人と、その他の相続人の相続分が同じでは不公平に感じられることもあることから、民法上で定められています。
寄与分は、相続人の間で発生する不公平感に配慮して定められたものですが、「介護をしていた」というだけでは、残念ながら寄与分が認められません。どれだけ被相続人のことを思って、一生懸命になって介護をしていても、それは同じことです。
ただし、相続人が介護していたために、高額なサービスの利用やヘルパーの雇用をする必要が無く、結果的に被相続人の財産を維持することができたといったような場合ですと、寄与分が認められることもあります。

みちこさんは、早速旦那さんに寄与分についての考え方を説明しました。

「あなた!ほら、このページ見て!!遺産分割には、この寄与分っていう考え方があるのよ!!

私が8年間ずっと在宅介護でやってきたことを、全部ヘルパーさんにお願いしてたら、総額一体いくらかかったと思う?!

私は、それだけお金のかかる労働をずーっと一人でやってきたのよ!!!」

「えっ、寄与分??うーん、そうか…じゃ、一応姉さん達に言ってみるよ。」

折角みちこさんが苦労して調べたのに、旦那さんの反応はいまいちです。

どうやら、兄弟で揉めるのが面倒な様子。

みちこさんとしては、ずっと苦労してきたのは自分なのだから、何とかしてそれが報われるようにしたいのです。

これはもう、金額だけの問題ではありません。

『これまで何も手伝ってくれなかった義姉達と、同額の遺産である』ということが、悔しくてたまらないのです。

ですが、義姉同様、ずっとお姑さんの介護をみちこさんに丸投げしてきた旦那さんに、みちこさんのこの思いはなかなか理解できないようです。

嫁は他人なんだから、介護をどんなに頑張っても遺産分割に関係無し?!

みちこさんに寄与分について教えてもらった旦那さんは、改めて義姉達と話し合いの場を設けました。

そして、帰ってきて開口一番、こんなことを言うのです。

「みちこ、やっぱり無理だったよ。大体お前は法定相続人じゃないんだから、いくら介護をやってたって関係ないんだってさ。」

なんと、旦那さんは、簡単に義姉達に言いくるめられて帰ってきてしまったのです!!

おそらく、義姉達は自分達が一切介護の手伝いをしていないことをふまえ、遺産分割にあたり色々と情報を集めていたのでしょう。

義姉達に指摘された問題点を改めて見てみましょう。

お姑さんの介護をしていたみちこさん本人が『法定相続人ではない』というのは、紛れもない事実です。

つまり、『寄与分』の規定があるとしても、元々『法定相続人ではない』みちこさんがお姑さんのために頑張ったところで、基本的にみちこさんは『相続の権利を持っていない』ため意味がない、ということになってしまうのです。

ですが、世間一般的に考えて『お嫁さんが夫の両親を介護する』というのはよくある話ですよね。

こうした実情を考えると、『お嫁さんは法定相続人ではないから、いくら一生懸命介護をしても寄与分は一切考慮されない』としてしまうのは、あまりにも酷い話です。

そのため、『お嫁さんが、法定相続人である夫の代わりに介護をしたものとして寄与分を考慮する』という考え方があるのです。

こう考えるのであれば、今回のみちこさんのケースでも、

『法定相続人である夫の代わりに、みちこさんが8年間介護をした。この介護によって、本来かかるはずだったヘルパー代が節約でき、お姑さんの財産は減らずに、財産を維持できた。』として寄与分が考慮される可能性があるのです。

遺産分割で揉めることのないよう、生前から遺言書の準備を!!

結局、遺産分割は『みちこさんの8年間の介護に対するお礼』として、旦那さんが、義姉達も若干多い額を受け取ることで落ち着きました。

元々、お姑さんの残した遺産はそれほど大きな額でもなかったのです。

ですが、みちこさんにとっては金額よりも『自分が8年間ずっとやってきたことの価値』を周囲に認めてもらうことに意味があったのです。

「絶対に寄与分を主張して!!」

というみちこさんの必死の説得により、旦那さんは『8年間ずっと一人で介護を続けてきたみちこさんの苦労』を改めて知ることになりました。

みちこさんが、8年間、どれだけ我慢をしながら必死にお姑さんの介護をしてくれていたのか…それを思うと、やはり遺産がきっちり3等分というのは、あまりにも酷い話だと思ったのです。

最終的には、義姉達もしぶしぶ折れる形で決着がつきました。

どう考えても、8年間誰よりもお姑さんの為に頑張ってきたのはみちこさんだと、皆が認めたのです。

さて、今回のケースでは、何とか当事者同士の協議(話し合い)により、遺産分割は終了しました。

増えている相続トラブル

しかし、近年こうした遺産トラブルは増加傾向にあります。


『うちは家族仲が良いから大丈夫!!』

『遺産トラブルなんて金持ちのものだから関係ない!!』


このように高を括るのではなく、生前からしっかりと遺産分割について話し合っておくことが大切なのです。

関係者全員の了解のもと、きちんとした遺言書をつくっておくことが、トラブルの元を絶つ最善の選択なのです!!

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