労災保険申請できるのか?アルバイト・病気では?適用の有無について

社員が仕事をしているときにケガをしたり、仕事が原因で病気にかかったりした場合、「業務上の負傷」や「業務上の疾病」に該当し、労災保険が適用されます(このほか「業務上の障害」や「業務上の死亡」も保険の適用対象となります。

後者の場合には遺族が保険給付を受け取ります)。

仕事に関係していないケガや病気は「業務上の負傷」「業務上の疾病」に該当しないので、労災保険ではなく健康保険の適用となります。

労災保険のほうが、本人負担がなかったり、休業補償が高かったりするなど、保障の内容がかなり手厚くなっています。

労災保険か健康保険かの分岐点は、ケガや病気が「業務上」なのか「業務外」なのかです。ではどのような場合であれば「業務上」とされるのでしょうか。

まず、「業務上」と認められるためには、それが業務遂行の途中に生じたものでなければなりません。

業務遂行の途中とは、具体的な業務に従事している途中というように限定されたものではなく、「会社の支配下あるいは管理下にある状況」であればよいとされています(こういう状況を専門用語で「業務遂行性」があるといいます)。

そして、こういう状況にともなう危険が現実化したと認められる場合(これを専門用語で「業務起因性」があるといいます)には、「業務上」とされるのです。

要するに、「業務上」と判断されるためには、今述べたような意味での「業務遂行性」と「業務起因性」がなければならないのです。

ただ、「業務遂行性」と「業務起因性」の判断は必ずしも容易ではありません。

具体的な例をみながら考えていきましょう。

労災になるの?

大手メーカーで経理の仕事をしているB子さん。勤務時間中にトイレに行く途中で、廊下に張ってあった滑り止めのマットが剥がれていて、そこにつまずいて捻挫しました。

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トイレに行くというのは生理現象であり、業務に従事することに準じたものといえます。

また会社の建物の中の廊下は会社の管理下にあるものです。

したがって、廊下を通ってトイレに行くことには「業務遂行性」が認められます。

そして、マットの剥がれにつまずくというのは、会社の管理化にある施設の危険が現実化したものです。

したがって、「業務起因性」もあります。ですからB子さんは労災保険の適用を受けることができます。

バイトでの怪我

では、正社員以外の人がケガをした場合はどうでしょうか。

コンビニでアルバイトをしていた大学生のI君。

商品のおでんの熱湯に指を入れてしまい火傷をしました。

店長は「アルバイトには労災保険の適用はない」と言いましたが、そんなことはありません。
I君は労災保険の適用を受けられます。

労災保険は、「労働者」に該当すれば、誰にでも適用されます。

アルバイトであってもパートであっても、派遣労働者であっても、労災保険法は適用されます。

これは労災保険だけではありません。

労働基準法や最低賃金法なども同じです。

労働法は労働者の身分による区別はしていないのです(ただし労働時間や勤務時間が短い場合には、保護の一部が否定されることはあります)。

また、労災保険は強制保険であり、会社が加入をサボっていても保険料の支払い義務はなくなりませんし、労災が発生すれば保険給付も行われます。そこが民間の(任意の)損害保険や生命保険と違うところです。

実を言うと、ケガのケースは、労災保険適用の有無の判断はそれほど難しくありません。

病気では??

これに対して、病気のケースでは判断が微妙となることがよくあります。

たとえば、過労による健康被害のケースです。

もし、過労によりクモ膜下出血で倒れた人が、たしかにずっと長時間労働をしてはいたけれど、日頃から酒飲みでヘビースモーカーで高血圧気味だった、という場合はどうでしょうか。

もしこの問題を解決しようとするならば、基準の思い切った明確化・簡素化が必要です。

しかし、これでは、公正妥当な結論がもたらされない可能性があります。

たとえば喫煙習慣がない社員がクモ膜下出血を発症すれば業務上の疾病と推定するという基準を立てれば、それは明確ですが、妥当な内容とはいえないでしょう。

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