どこまで許されるのか?仕事で得た情報流失

服務規律

会社の就業規則には社員の守らなければならない服務規律として多くのことが定められています。

服務規律にどのような内容を盛り込むかは、各会社でも自由に定めてよいのですが、通常は次の3つのタイプのものがあります。


・社員の仕事のやり方や職場内の秩序に関係するもの
・企業施設の管理に関係するもの
・会社に不利益をもたらさないように行動する義務(誠実義務)に関係するもの


これらの規律に違反することは、通常は、懲戒処分事由とされています

もっとも、服務規範に違反したらいつも懲戒処分を受けるというわけではありません。

違反の内容は程度に応じて、懲戒処分がなされるかどうかや、なされる場合の懲戒処分の重さが決まってくるわけです。

2014-11-14 08.29.38

権限の「濫用」

職務上の地位に関連して特別の利益を得ることができる、という意味での「役得」は当然に否定されるものではありません。

しかし、ものには限度があります。

法律的な議論でしばしば、権限の「逸脱」や「濫用という言葉が出てきます。

会社側に一定の人事権があっても、その人事権の行使が「濫用」となっていれば、それは違法となりますし、社員に不利益を及ぼすものであれば無効となるとされています。

権限の「逸脱」の場合も同様です。

同様のことは、社員が職務上与えられる権限についてもあてはまります。

権限が与えられるということは、その本来の範囲内での行使でなければ権限の「逸脱」となりますし、権限の範囲内のことであっても、それが「濫用」にあたるような場合には、権限の適法な行使とは評価されなくなるのです。

例えば接待のために支出する権限が与えられていても、私用で出費するのは権限の「逸脱」です。

取引先を決定する権限が与えられている社員が、その決定の際に会社の利益を度外視して自分の友人の経営する会社に発注するのは、権限の「濫用」といえるでしょう。

権限というものは魔物であり、よほど自分を律する力のある人でなければ「逸脱」や「濫用」の誘惑にかられてしまうのではないでしょうか。

これは会社が社員を信用してはならないということではなく、むしろ社員の人間としての弱さに配慮しなければならないということです。

たままた不正が発覚した社員だけ厳罰に処すというのでは不公平感が残るでしょう。

社員が権限を不当に行使しないように、きちんとしたチェック体制を設けておくのは社員を誘惑から守るための会社の責務といえるかもしれません。

インサイダー取引も懲戒処分に

社員が、仕事中に知りえた情報を用いて不当に利益を得るということも、やはり懲戒事由になります

最近では、報道機関の社員が、事前に知った情報に基づき、株の取引をして利益を得たということが問題となりました。

こういう取引をインサイダー取引といいます。

インサイダー取引とは、金融商品取引法(かつの証券取引法)において規制されているもので、会社関係者が会社の株価にかかわるような一定の重要事実を知った場合において、その事実の公表前に株の取引をすることです。

このような取引は一般投資家の利益を損ない、証券市場に対する信頼を揺るがす重大な行為であるので、厳格に禁止されています。

一般社員(従業員)であっても、その職務に関して重要事実を知ってしまえば、その公表前に株を取引してはなりません

また、報道機関の社員のように、会社の重要事実を職務上知る立場にある者も、法律上インサイダー取引は禁止されています。

道義的にも、このような違法な「役得」行為は問題があり、社会から強く非難されることになります。

法的には、インサイダー取引には厳罰が規定されていますし、それにより得た財産は没収されるという制裁もあります。

さらに会社は懲戒処分をするでしょうし、最近でも大手証券会社のインサイダー取引事件で懲戒解雇がなされています。

行為の態様や得た利益の程度にもよりますが、インサイダー取引をした社員は、通常は懲戒解雇されても文句は言えないでしょう。

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