刑事事件の判決に納得ができない!裁判をもう一度やり直して判決を変えるには?控訴手続きと弁護士選びのポイント| ウルトラ弁護士ガイド
この記事を読むのに必要な時間は約 2 分です。
そう考えておられる方は多いかもしれません。
「罪が重すぎる」、「審理のしかたに疑問がある」など、判決に納得がいかないこともあるでしょう。
そのような場合、裁判をもう一度やり直すように求めることができます。
これを「控訴」といいます。
ただ、控訴するためには、それ相応の理由が必要です。
大事
- どのようなときに控訴できるのか?
- 控訴できる期間はいつまでか?
- 弁護士はどのように選んだらよいのか?
詳しく説明していきますので、参考にしてください。
控訴するには理由が必要!控訴が認められる要件とは?
判決に納得がいかないからといって、いつでも控訴できるというわけではありません。
控訴は、下記の要件を2つとも満たしている場合のみ、おこなうことができるのです。
- 控訴するための理由がある
- 判決を考えなおす必要がある
ここでいう「控訴理由」は下の表であげているものにかぎられています。
控訴理由
刑事訴訟法377~383条
裁判の手続きに大きな違反があった | 訴訟手続きの法令違反 |
---|---|
事実とは違っている | 事実誤認 |
法律の解釈を間違えている | 法令適用の誤り |
罪に対して罰が重すぎる | 量刑不当 |
法律がかわって刑罰がなくなるなど、特別な理由がある場合 | 再審事由 |
どんな場合でも控訴できるわけではありません。
控訴できるケースについて詳しく説明していきます。
訴訟手続の法令違反
ここでいわれている違反とは、逮捕や取り調べの時のことではありません。
審理など判決を決める時の違反です。
例 窃盗事件の裁判でAさんが有罪となった場合
判断の際の判断材料として使われた証拠が以下の①と②だったとします。
①Aさんが窃盗している様子がうつっている防犯カメラの映像
②Aさんが、まえにも3回逮捕されていたという記録
- Aさんが過去のB事件に関わり、起訴された記録
- 過去のC事件で不起訴になった記録
- 過去のD事件で不起訴になった記録
①の理由で有罪と判断することはまったく問題ありません。
しかし、②の理由で有罪と判断するのは、法令違反と言えます。
②の場合、Aさんが起こしたとされる今回の事件と、過去に逮捕された事件との関係はありません。
それなのに、過去の記録だけを持って判決を下したのであれば、それは法令違反にあたります。
量刑不当
刑罰を決める時には以下の①から③の順番で検討するルールがあります。
①法律で決まっている刑の範囲内で決定する。
②事件の内容や大きさを考慮する。
③事件がおこった背景などを考慮する。
このルールに外れたやり方で刑がくだされた場合、
控訴するべきでしょう。
例 窃盗の罪をおかした場合
Aのケース | 初犯で、つい出来心でおこなってしまった。 |
---|---|
Bのケース | 今回で3度目。 しかも、じっくり計画をねった上でおこなった。 |
当然、Bの方が悪質で刑も重くなると考えられます。
例 AとBが同じ量刑となった場合
事件の内容や背景が少しも考慮もされていません。
刑の決めかたに問題があると指摘することができます。
このような場合も、控訴することで刑が軽くなる可能性があるでしょう。
また、以下のようなケースも、控訴することで刑を変更できる可能性があります。
懲役2年、執行猶予3年
「懲役3年、執行猶予5年」とくだされた。
検察は、罪に対して見合った刑を求めます。
それなのに裁判所は、検察よりも重い罪に・・・。
「検察がもとめる以上の刑となるのは重すぎる」ということで、量刑不当として控訴理由になるでしょう。
事実誤認
裁判では、おこった事件の内容を検察が説明し、それを証明していきます。
被告と弁護人は、それに対して必要であれば反論し、主張していきます。
検察側と被告側で主張がわかれる場合、裁判官はまず、両方の言い分を聞きます。
その上で公平な判断をおこなわなければなりません。
判決を決めるときに、公平とはいえないような解釈をしている場合、事実誤認として控訴できます。
例 窃盗の罪で裁判がおこなわれ、被告側が下記のように主張した場合
・予定していたわけではなく、友人から誘われて事件現場に訪れた。証言もある。
2つの理由から、計画的で悪質とは言えない。
裁判官が、何の根拠もなく、この事実にふれずに検察官の主張だけをもって「計画性があって悪質」だと判断した場合
公正とはいいきれません。
「事実を正しく認識していない」と指摘することができるでしょう。
このように、控訴の理由に当てはまる判決がされた場合には、控訴できる可能性があります。
控訴する場合には控訴趣意書が必要
控訴する場合には、「控訴趣意書」を提出します。
これは、「なぜ控訴するのか、ここに問題がある」といったことをまとめたものです。
重要
控訴審で出る判決は大きく2つ
控訴がおこなわれた場合、結果は、大きくわけると「棄却」または「破棄」の2つです。
控訴棄却判決とは、前回の判決に問題がないと判断されたということです。
第1審でくだされた処分に従うことになります。
前回の判決を考え直す必要があったと
判断されたということです。
第1審より処分が軽くなる可能性が高いでしょう。
ただし、破棄の場合、以下の2つのパターンがあります。
①刑に変化はないが、前回の裁判には問題があったことを認めるケース
②審理上の問題を認め、刑が軽くなるケース
さらに、②の場合、判決の出し方は2種類あります。
- 1審をおこなった裁判所へ、もう1度、審理をやりなおすように命じる。
- 控訴をおこなった裁判所で、改めて判決をくだす。
基本的に、1審の判決より刑が重くなることはありません。
もし、控訴できる可能性がある場合は、弁護士と相談しながら検討してみてください。
控訴の申立と期間について
控訴をしようと考えている場合、急がなくてはなりません。
重要
(正本が届いた日ではありません!)
控訴をするべきかどうか迷っている間に期間が過ぎてしまうこともあります。
後から、やりたいと思ってもできません。
迷っているのであれば、ひとまず申立だけでもしておきましょう。
重要となる趣意書は、申し立てをした後で提出することができるからです。
また、たとえ申立をしたとしても、やめたい場合は取り下げることができます。
1審とは異なる判決を獲得するための弁護人とは?
控訴するとき、今までの弁護士に引き続き頼むことはできます。
1審の弁護士が、1審でおこなっていたような弁護活動で控訴にのぞんだとしても、良い結果とはならないからです。
それに、1審では証拠を出すことに制限はありません。
もしも有利となる証拠や証言を十分に集めてくれていれば、結果は違っていた可能性がありますね。
一方、控訴では、特別な理由がない限り新しく証拠を追加することができません。
これまでの資料をもとに審理していくとこになるため、1審と同じ弁護士が1審以上の仕事ができるのか・・・。
かなり不安がありますね。
控訴審では、1審より主張を通すのは困難です。
過去のデータをみても、控訴で判決が変更されたのは全体の2割程度です。
司法統計年報
1審で十分な弁護活動をおこなえていないのに、さらに難しい控訴を安心して任せることはできません。
上記2つの経験をもつ弁護士を選んでください。
期間が決まっているため焦る気持ちは出るものですが、弁護士は慎重に選ぶべきです。
【参考ページ】