【遺贈とは?】「相続」と「遺贈」は何が違うの?法定相続人に遺贈する場合は特別受益に注意する | ウルトラ弁護士ガイド

この記事を読むのに必要な時間は約 2 分です。

ほぼ寝たきり状態となっている父親に1億円弱の貯金があることが判明!

父親は1年もつかどうかの状態です。

そんな父が遺言書を書こうとしていた。

内容を聞いてみたところ、「不動産を長男に相続させる、預貯金を次男に遺贈する」というものでした。

相続に遺贈(いぞう)・・・?

遺言書の書き方を調べてみると、相続させる、遺贈(いぞう)する、という記載方法があることがわかりました。

法律に詳しくないため、相続と遺贈という言葉に混乱。

どのような違いがあるのか。

また、税金も変わってきてしまうのか。

父も税金のことまではよくわかっていないようでした。

遺贈と相続でどんな違いがあるのか?

税金を考慮した場合には、どのような形で父親の財産を家族に残すことがベストなのか?

ここでは、遺贈と相続について紹介します。

「相続」と「遺贈」の違いって何?

相続とは、亡くなった方が生きているときに持っていた財産上の権利や義務を亡くなった方と関係のある人(法定相続人)に移転させることをいいます。

つまり、相続できるのは法定相続人だけです。

遺言では、法定相続人以外の人に相続させる、と書くことはできません。

一方、「遺贈」とは、遺言によって財産を誰かに無償で譲ることをいいます。

譲る相手は誰でもよく、制限などはありません。

法定相続人にでもいいですし、それ以外の人や団体でも遺贈する(譲る)ことができます。

つまり、法定相続人には、相続させる、とも書けますし、遺贈する、と書くこともできるのです。

遺贈には種類がある

遺贈といっても、包括遺贈(ほうかついぞう)と特定遺贈(とくべついぞう)があります。

読んで字のごとく、

包括遺贈(ほうかついぞう)は

財産の全部または財産の3分の1などを譲る

という意味で、

特定遺贈(とくていいぞう)とは

「〇〇番地の不動産」と特定した財産を譲る

という意味です。

さらに詳しく説明します。

包括遺贈とは?

包括遺贈で財産を譲られる側のことを包括受遺者(ほうかつじゅいしゃ)といいます。

包括受遺者として財産を受けとる場合、プラスの財産だけでなく、借金などのマイナスの財産も引き継ぐことになります。

また、遺産分割協議に参加しなくてはいけません。

例えば、3分の1を遺贈する、という場合

残りの3分の2の財産を引き継ぐ人と遺産分割をしなくてはいけませんから、他の相続人と一緒に遺産分割協議をすることになります。

なお、遺言で包括遺贈者とされた方は、遺贈を放棄することもできます。

大事

プラス財産だけならいいですが、借金を引き継ぐことになりそうな場合には放棄したほうがいいでしょう。

放棄する場合には、自分が受贈者になっていることを知ったときから、3ヶ月以内です。

期間内に家庭裁判所で放棄の手続きをおこなってください。

今すぐ専門家に無料相談するならこちら

特定遺贈とは?

特定遺贈の受遺者になった場合、遺産分割協議をする必要はなく、指定された財産だけを引き継ぐことができます。

なお、特定受遺者も、遺贈を放棄することができます。

特定遺贈を放棄する場合には、他の相続人または遺言執行者に対して放棄する旨を伝える(意思表示)だけでよく、期間の制限はありません。

ただ、いつまでも意思表示がないと他の相続人や遺言執行者は困ってしまうので、相当の期間を定めて遺贈を承認するかどうかを特別受贈者に催告することができます。

受遺者は、その期間内にどうするか意思表示をすればいいのですが、しなかった場合には遺贈を承認したとされます。

遺贈と相続では税金が異なるのか?

相続の場合は、相続税が適用されます。

では遺贈の場合は?

遺贈の場合も相続税となり、相続と変わりはありません。

亡くなった方からもらう財産になるため相続税となるのです。

相続税を払うことになるかどうかは、基礎控除の金額によって決まります。

基礎控除額=3,000万円 +( 600万円 × 法定相続人の数)

例えば、法定相続人(受贈者以外)が3人いて、亡くなった方の財産が4000万円だったとします。

基礎控除額=3000万円 +( 600万円 ×3人)=4800万円

亡くなった方の財産4000万円から控除額の4800万円を引くとマイナス800万円となるため、法定相続人も受贈者にも相続税はかかりません。

一方、亡くなった方の財産が4800万円以上だった場合。

控除額4800万円を引いてもマイナスにはなりません。

この場合には法定相続人と受贈者は相続税を払うことになります。

また、受贈者が亡くなった方の直系(父母、子、孫等)及び配偶者以外の者である場合には、相続税は通常よりも2割加算されます。

法定相続人に財産を残すなら遺贈より相続に!不動産の所有権移転登記に違いがある

相続税をみる限りでは、相続させるでも、遺贈させるでも変わりはありません。

しかし、不動産の所有権移転手続きで違いがでます。

遺贈で亡くなった方の不動産を引き継ぐ場合、受遺者は他の法定相続人全員と協力して所有権移転登記手続きをする必要があります。

(なお、遺言執行者がいる場合は、遺言執行者と受贈者でおこなえばいいので相続人全員の協力は必要ありません。)

一方、相続の場合、遺言書で指定された相続人が1人で所有権移転手続きができます。

相続させる、遺贈させるのどちらにしても結果は同じですが、表現の違いによって他の相続人の協力が必要か否かで違いが出てしまうのです。

他人ではなく法定相続人に財産を引き継がせるのであれば、遺贈ではなく「相続させる」と書いたほうがいいでしょう。

法定相続人に遺贈する場合は特別受益に注意する

法定相続人に遺贈させる場合、特別受益の問題になる可能性があります。

特別受益とは、特定の相続人だけが大きな利益を得ることです。

例えば、故人が生前に1人の相続人に対して家を建ててあげたりした場合。

1人の相続人だけが利益を受けるため、他の相続人との関係では平等ではなくなります。

この場合、特別受益があったとされ、相続の際には1人の相続人は受けた利益分が控除されます。

法定相続人が遺贈で財産を引き継ぐ場合、この特別受益が問題となり、法定相続分よりも実際の相続分が少なくなってしまうのです。

そのため、法定相続人に財産を引き継がせる場合には、遺贈するではなく、相続させると遺言書には記載したほうがいいでしょう。

なお、法定相続人ではない関係ない人に遺贈する場合には、特別受益の問題は発生しません。

相続問題を得意とする弁護士事務所の一覧

サブコンテンツ