【遺産隠し・遺産の独り占め】母を取り込み相続財産を狙う兄夫妻!母の預貯金を勝手に引き出された場合の対抗とは? | ウルトラ弁護士ガイド

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財産を独り占め遺産分割協議でトラブルとなる原因の一つは、一部の相続人による、「遺産隠し」「遺産の独り占め」です。

相続人の中でも、親と同居している兄弟がそういうことを企みます。

同居していれば、簡単に親の預金残高や資産状況を知ることができるからです。

一方、一緒に暮らしていない兄弟は、親の財産を把握することはできません。

今回の相談者に関しても同様です。

親と同居していた相続人の悪だくみが原因でトラブルになりそうになっています。

そして、他の兄弟(相続人)がその悪だくみに気づき、弁護士に相談したのです。

1つ目の相談者の質問では、相続税対策についても触れています。

相続税についても、相続では重要な点ですし、相続開始前に知っておいたほうがいいでしょう。

親の相続で揉めそう、相続税について知りたい方、相談と弁護士の回答を見れば対処法が見つかるかもしれません!

それでは、相談事例を確認してください。

【相談1】 母親に自分の子供を養子にさせて相続財産を狙う兄夫妻!

母と同居している兄が、自分の子供(孫)を母の養子にすると言っています。

母にしてみれば孫です。

孫を養子にすることは、問題ないのでしょうか?

我が家の説明をすると、母には、私を含め3人の子供がいます。

私、兄、弟です。

母は兄夫婦と同居しています。

兄夫婦には30歳になる女の子(母の孫)がいて、その子を母が養子にするというのです。

どうやら、高齢の母を利用して、兄夫婦が自分の娘を母の養子にしようとしているのです。

母は相続対策になるならと、受けるようです。

もともと、母は長男をとても可愛がっていたので、言われるがままなんだと思います。

ただ、兄夫婦はこのことを私と弟には相談もせず、内緒でやろうとしているのです。

たまたま知った私や弟ですが、兄に対して不信感を抱いています。

後々、相続で揉めるのも嫌なので、私と弟の子供も養子にして公平にしてほしいところです。


養子は1人だけと決まっているのでしょうか?

兄夫婦が言っている相続対策とはどんなものなのか?

兄夫婦の子(孫)を養子にすると、どんな相続対策になるのでしょうか?

それによって、私や弟の相続分や遺留分は減ったりするのでしょうか?


兄夫婦がやろうとしていることが、後々母の相続の際に影響してこないなら問題はないのですが・・・。

ただ、何か裏がありそうな気もします。

兄夫婦が何かを企んで、相続人である私や弟に内緒で養子縁組や親の相続対策をやること。

これは法的には問題ないのでしょうか?

親が孫を養子にすることによる相続税対策と相続分への影響〜弁護士の回答

ご質問に順にお答えいたします。

母が孫を養子に〜問題あるの?

まず、お母様がお孫さんを養子とする(養子縁組)ことは問題ありません。

民法797条

お孫さんが15歳未満の場合には法定代理人(親権者)の代諾が必要となります。

お兄さん夫婦のお子さんは30歳とのことなので、このような制限もありません。

養子は1人だけと決まっているの?

また、養子縁組の人数に制限はありません。

したがって、ご自身と弟さんのお子さんもお母様と養子縁組することが可能です。

兄夫婦が言っている相続対策とは

相続対策としてどのように養子縁組を利用するかという点です。

母が兄夫婦の子(孫)を養子に〜相続対策になるの?

お孫さんを養子とすることで相続税の節税効果が期待できます。

つまり、相続税は相続財産から基礎控除として3000万円+法定相続人の人数×600万円を差し引いた残額に課税されることになります。

養子縁組により法定相続人の数が増えますよね。

控除できる部分が増えることになり、それだけ相続税が安くなることになるわけです。

また、本来であればお母様の財産はお子さんが相続することになり、さらにお孫さんがこれを相続することになります。

するとお子さんが相続する際とお孫さんが相続する際にそれぞれ相続税が課されることになります。

しかし、お孫さんが養子縁組によりお母様の子として財産を相続するとすれば、相続税が課されるのは一回のみということになります。

節税効果が期待できるというわけです。

先に述べました通り、養子縁組をすることによりお母様の法定相続人となる子が増えることになります。

私や弟の相続分や遺留分は減るの?

ご自身や弟さんの相続分や遺留分は減ることになりますね。

お兄さんの子が養子となった場合を例に考えてみます。

【養子縁組をしない場合】

法定相続人はお兄さん、ご自身、弟さんの3人です。

法定相続分 3分の1
遺留分 6分の1

これはお母様の遺言がなかった場合には相続財産を各人3分の1ずつ相続することになる。

遺言により、仮に誰か一人のみが全ての財産を相続すると定められた場合。

遺言により財産をもらえないとされた他の相続人としては、財産の6分の1だけは遺留分として自分のものであると主張ができることを意味します。

【お兄さんの子が養子となった場合】

法定相続人は4人となります。

お母様の遺言がなかった場合の法定相続分 4分の1ずつ
遺言があった場合の遺留分 8分の1ずつ

お兄さん夫婦の実際の目的は不明ですが、以上のように、現実として法定相続分や遺留分の割合が減ることになります。

遺言について詳しい説明はこちら

相続人に内緒で養子縁組や親の相続対策〜法的に問題は

仮にお兄さん夫婦に何らかの裏の意図があったとしても、養子縁組はあくまでお母様とお孫さんとの合意により有効に成立します。

ご自身を含めた他の相続人に内緒で手続きがなされた場合でも、違法とはなりません。

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【相談2】勝手に通帳を管理して財産を奪おうとしている相続人がいる!

身体が不自由で老人ホームに入居していた母がなくなりました。

通帳の管理は同居していた姉がしていたのですが、管理している通帳を見たところ、母にかかった必要経費以外にも引き出されている形跡があったのです。

姉に聞いても母にかかったお金だと言い張ります。

しかし、どう見ても母にかかったお金ではなく、姉が母の預金を使い込んでいたと思えるのです。

相続人の1人が勝手に親の預金を引き出したり、預金通帳を名義変更してしまった場合、どうしたらいいのでしょうか?

相手が認めなければ訴訟で解決するしかない〜弁護士の回答

引き出したお金の使い道が、医療費や母親の生活費のためなど、適切な利用であればどうすることもできません。

しかし、母親以外のことで、お姉さんが使用していたとなれば問題となります。

その場合、まずは遺産分割調停で話し合うことになりますが、お姉さんが認めなければ、使い込みが疑われる部分を除いての遺産分割調停となります。

預金の使い込みについては、訴訟で解決するしかありません。

母親に無断で引き出したものなのか、また、その使い道を確認すべきです。

個人的な使用だと裁判で認められれば、無断で出金し着服した金額については不当利得が成立します。

結果、他の相続人は、法定相続割合で不当利得返還請求が可能となります。

なお、話し合いで解決できるのであれば、遺産分割における特別受益として対処することもできます。

また、母親からお姉さんに対して生前贈与があった場合には、遺留分を主張することもできます。

現段階でお姉さんが認めず否定しているのであれば、訴訟と遺産分割調停を並行してやったほうが解決が早いでしょう。

【参考ページ】
資産家でもないウチが相続トラブルになるなんて!相続人同士で争うことになってしまった場合の対処方法

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