兄弟と連絡がとれない!遺産分割協議は相続人全員でやらないといけないの?相続人と連絡が取れない場合の対処法 | ウルトラ弁護士ガイド

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相続人は私を含め、兄と姉の3人。

親が亡くなる何十年も前から兄とは連絡がつかない状態でした。

兄には親が亡くなったことも伝えられず、お葬式も兄不在のまま終えました。

姉との間で相続の話を進めていますが、兄とは相変わらず連絡が取れない状態で困っています。

兄が電話に出ることはありませんが、呼び出し音はなるため、解約はされていないようです。

また、手紙を何度か出していますが、戻ってくることはないので住所も以前のままのようです。

おそらく、生きてはいるのだと思います。

しかし、留守電や手紙で、相続の話をしたいことを伝えていますが、何の音沙汰もない状況です。

こういう場合、

兄は相続を放棄したと思ってよいのでしょうか。

相続人の1人に連絡がつかない状況で遺産分割してもよいのでしょうか?

ここでは、相続人の一人と音信不通の場合の対処方法について紹介していきます。

遺産分割協議は相続人全員がいなくてもできるのか?

何度連絡しても連絡してこない。

そんな状態であれば、相続に興味がないのかもしれないと考えるのも無理はありません。

しかし、遺産分割協議は相続人全員が揃わないとできません。

何度連絡しても連絡がつかないからといって、勝手に遺産分割協議を進めることはできないのです。

相続には期限があります。

例えば、借金しかない場合に相続放棄をすると決めたなら、亡くなったことを知ってから3ヶ月以内に手続きが必要です。

法定相続人であるにも関わらず、相続財産をまったく受けとれないなど、最低限認められている相続分を受けとれない場合におこなえる遺留分の請求手続きについては、そのことを知ったときから1年間という期間があります。

※遺留分について詳しい説明はこちらです。

【遺留分】遺言書に納得できない!相続人なのに財産を受け取れないの?

他にも、相続税の申告は相続が開始してから10ヶ月までなど。

このように、相続に関連した手続きにはそれぞれに期限がありますが、これらの期限が経過したとしても、連絡が取れない相続人が相続を放棄したことにはならないのです。

いるものだけで遺産分割をしてしまった後に連絡が取れなかった相続人が現れたらどうなるの?

もしも、連絡が取れる相続人たちだけで勝手に相続を終わらせてしまい、後になって音沙汰のなかった相続人が出てきたらどうなるのでしょうか。

まさかそんなことはない、と思うかもしれませんが、実際にはあります。

自分以外で遺産分割をしたと知れば、当然、やり直すように求めてくるでしょう。

相続人の1人でも参加せずに行われた遺産分割は無効です。

そのため、遺産分割を再度するように求めてくれば、それに応じなくてはなりません。

それを断れば、勝手にされた遺産分割協議が無効であるとの確認訴訟(遺産分割協議無効確認訴訟)をおこされます。

勝手に行なった遺産分割で預貯金を手に入れたり、不動産登記をしてしまった場合でも、無効な入手や登記だとして、不当利得返還請求や抹消登記手続の裁判を提起されることになります。

連絡が取れないからといって勝手に遺産分割するのではなく、きちんとした手続きを取ってから遺産分割をおこないましょう。

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音信不通な相続人がいる場合はどうすれば良いの?居場所を知る・連絡を取る方法

居場所がわからない場合、まずはできる限り探してください。

そして、連絡が取れる状態にしましょう。

方法としては2つです。

①戸籍、戸籍の附票をとる

  • 戸籍謄本をたどっていき、現在の本籍地(転籍先)を調べる
  • 戸籍の附票を取得してみる

戸籍の附票とは、住所履歴が記載されている書面のことで現在の住所地がわかる可能性があります。

②住所や連絡先がわかっているなら手紙を出してみる

電話でしか連絡をとっていない場合には、手紙を出してみましょう。

手紙なら受け取って読んでくれる可能性もあります。

ただ、所在を確認できたり、手紙を出したりしても連絡が取れないケースは多いです。

その場合には、弁護士を活用するのも一つです。

身内からの連絡を無視している人でも、弁護士からの連絡だと応じる人は多くいます。

自分では探せない、所在がわからない、または所在や連絡先はわかっていても連絡がつかない、という場合には弁護士に相談してみてください。

調査をしても居場所がわからず連絡もつかない場合の対処

弁護士でさえ、どれだけ調査をしても所在が不明、連絡がつかないケースもあります。

それでも遺産分割協議を勝手に進めることはできません。

そこで、遺産分割協議をおこなうためには以下の対処が必要になります。

  1. 不在者財産管理人の選任申立
  2. 失踪宣告の申立

この2つについて詳しく紹介します。

不在者財産管理人の選任申立とは?

不在者財産管理人の選任申立ては、家庭裁判所でおこなう手続きです。

不在者管理人というのは、行方がわからない相続人の代わりに財産を管理する権限を与えられた人のことを言います。

この手続きは、連絡が取れない相続人が生きていることが前提です。

家庭裁判所によって管理人が選任されれば、連絡が取れない相続人本人がいなくても遺産分割協議をおこなうことができます。

失踪宣告の申立とは?

連絡が取れなくなってから何十年も経っている場合や行方不明の原因が災害といった場合、「失踪宣告」という手続きを家庭裁判所でおこなってください。

失踪宣告の申立ては、生死不明の方を「死亡した」とみなすための手続きです。

民法で定められている手続きで、以下の通りです。

民法第30条 
不在者の生死が7年間分明らかでないときは、家庭裁判所は、利害関係人の請求により、失踪の宣告をすることができる。

戦地に臨んだ者、沈没した船舶の中に在った者その他死亡の原因となるべき危難に遭遇した者の生死が、それぞれ、戦争が止んだ後、船舶が沈没した後又はその他の危難が去った後1年間明らかでないときも、前項と同様とする。

また、失踪宣告には普通失踪と特別失踪があります。

・普通失踪

事情に関係なく、最後に生きていることを確認できた時から7年間音信不通で所在がわからない場合に認められます。

・特別失踪

戦地に出向いた人や沈没してしまった船の中にいたなど、死亡している可能性が高い場合に認められるものです。

認められる時期は、その戦争が終戦した時や船が沈没した時、または危難が去った時から1年間が経過しても生存確認ができない時となります。

どちらにしても、裁判所によって失踪宣告がされると、連絡が取れない相続人は死亡したものとして、遺産分割協議をおこなうことができます。

どうしても見つからない場合には、どちらかの手続きを行なってください。

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