養子にも相続する権利はあるの?相続の際に養子が突然現れて権利を主張されたら〜養子がいる場合の相続分 | ウルトラ弁護士ガイド

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父の死後、母と同居している弟の嫁と両親が養子縁組をしていたことを知りました。

母や弟からは何も言われていませんでした。

私と妹だけが知らずにいたのです。

このようなケースは稀なことではありません。

恐らく、弟夫婦が両親を丸め込んで計画してやったことでしょう。

兄弟は姉、妹、弟の3人ですが、そこに養子縁組した弟の嫁が絡んでくるわけです。

問題は、

  • 弟の嫁を含めた4人と母親で父親の遺産分割をすることになるのか?
  • そもそも、長女と次女が知らないところで、勝手に弟とその嫁が企んでおこなわれた養子縁組は問題ないのか?
  • 仮にもし嫁が養子として認められた場合、どのような分け方になるのか?

何も知らずにいた長女と次女にしては納得がいかないことでしょうし、疑問を抱くのも無理はありません。

ここでは、養子がいる場合の相続、相続分について紹介します。

養子に相続する権利はあるのか〜養子とは?

養子は、血の繋がりのないもの同士を法律で親子関係にする制度です。

また、養子にも2つの種類があります。

普通養子と特別養子です。

普通養子

親子関係を成立させるための契約みたいなもので、親になるもの、子になるものと両者が合意すれば認められます。

なお、産んでくれた親(実親)との親子関係はそのままです。

産んでくれた親(実親)が亡くなった場合には相続人となりますし、養親が亡くなった場合でも、養親の相続人となります。

一方で、特別養子は子供を保護するための制度になっています。

特別養子縁組とは、

実の親が育児放棄をしたり虐待するなどで平穏な生活を送られない子供が対象となり、家庭裁判所の審判によって認められるかどうかが決まります。

審判で認められた場合には、産んでくれた親(実親)との関係は終了します。

法律上他人になるという事です。

手続きの後からは、新しい親と親子関係がスタートします。

普通養子と特別養子、内容的には異なりますが、どちらも養子として法律的に親子関係となることには変わりありません。

そのため、有効に成立した養子は、親(養親)が亡くなった際には相続人となり、養子は相続を受けることになります。

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普通養子と特別養子で相続分に違いは出るのか?

どちらも親子関係が成立しているため、子供として相続の権利があります。

そのため、普通養子と特別養子においては、相続分についての違いはありません。

実の子供と養子との相続分に差はあるの?

実の子供と養子がいる場合の相続分の違いについて、差があるのかどうの質問は多くあります。

養子も実の子も同じ相続分です!

養子と実の子の相続分について、具体的な例で説明します。

実の子と養子になった子がいる場合の例

実の子Bと養子Cがいる場合で、父親が亡くなったケースでは、相続人は配偶者(母親)とBとCが相続人になります。

相続分は、

配偶者 2分の1
実の子 4分の1
養子 4分の1

実の子と養子で差はありません。

ちなみに、養子には色々なケースがあります。

よくある例としては、孫、甥・姪、連れ子を養子とすることです。

その中でも、孫を養子にする場合、条件によっては特別養子か普通養子かで相続分に違いがでます。

そこだけ押さえておきましょう。

祖父母が親を亡くしている孫を養子にするケースでは普通養子の方が相続分が多くなる

まずは下記の図を見てください。
44図2 (1)


祖父
祖母ー(すでに亡くなっている)
実の子ーA子
実の子ーB子(すでに亡くなっている)
B子の夫
B子の子供であり祖父の養子になっているーC子


このケースで祖父が亡くなれば、本来は実の子供であるA子とB子と養子のC子が相続人となります。

しかし、B子が亡くなっているため、実際にはA子と孫のC子が相続人となります。

C子は亡くなったBの子ですから、相続財産を代襲相続できるのです。

しかしこのケースは代襲相続する相続分と養子としての相続分が重複する事になってしまいます。

C子が特別養子縁組か普通養子縁組かでA子の相続分が変わってきます。

C子が特別養子の場合

実親であるB子との親子関係が終了しているため、相続分の重複は起こりません。

結果、A子とC子の法定相続分は2分の1ずつとなります。

C子が祖父の普通養子の場合

C子は養子としての相続分2分の1と代襲相続分として4分の1が相続分となります。

つまり、祖父の財産の4分の3もらえます。

相続分となり、実の子であるA子は4分の1が相続分となります。

養子が複数いる場合の分配例

何人もの人を養子にすることは可能です。

しかし、養子がたくさんいたとしても、法定相続人になれる養子は制限されています。

実子がいる場合 複数いる養子のうちの1人だけが相続人
実の子がいない場合 複数いる養子のうちの2人までが相続人

これは、節税対策のための養子縁組を阻止するためにもうけられている措置です。

養子を相続人させることを無制限に認めてしまうと、基礎控除額を増やそうと悪巧みをする人もいるでしょう。

そのため、民法上では養子の数の制限はありませんが、相続税法上では法定相続人となれる養子の人数を制限しているのです。

また、人数制限内であっても、不当な節税対策のための養子縁組だと判断された場合には、法定相続人としては認められない事もあります。

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