【親権問題】親権をとるために有利になるポイントは? 経済力だけが決め手にはならない!裁判所による3つの判断ポイント| ウルトラ弁護士ガイド
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離婚にはお互い同意しているのですが、親権でもめていて離婚が進みません。
相手の親も口出ししてきて、「経済的にみても親権は父親が持った方が良い」と言われてしまいました。
さらに、夫は「息子の親権は俺がもらう。○○家の長男だから」と。
娘もいるのに長男だけ?
二人の子供を離れ離れにしようなんてどうかしているとしか思えません。
夫婦で話をしても平行線で、調停や審判をするしかないと思っています。
ですが、パート勤務で経済力もなく、相手に親権がいくのではないかと不安です。
同じように、経済力を理由に親権を取られてしまうのではないかと不安を感じている方もいるでしょう。
ここでは、調停や審判ではどのようにして親権者が決められるのか、裁判官が判断する際の基準やポイントを紹介します。
目次
経済力がある方が有利になるのか?裁判所による判断ポイント
親権については、夫婦間での話し合いで決めることができますが、もめてしまった場合には調停や審判で決めるしかありません。
そこで気になるのが裁判所の判断ポイントです。
裁判所は、3つのポイントと調査官の調査結果を考慮して決めることになります。
裁判所の3つのポイントとは?親権者を決定する際の判断ポイント
3つの条件は次のとおりです。
- ①親の健康状態、親の経済力、子供と接する時間
- ②子供の年齢、10歳前後の場合には子供の意思
- ③子育てのサポートをしてくれる人がいるかどうか、離婚後の生活水準や環境の変化
この3つの条件をまずはおさえることです。
①親の健康状態、親の経済力、子供と接する時間
親が肉体的にも精神的にも健康であること、子供と一緒に生活していける経済状態であること、子供と接する時間が長く愛情をそそげることがポイントです。
②子どもの年齢です。
母親が必要な年齢かどうか、という点を考慮します。
10歳前後(10歳を超える)の場合には子供の意思を確認します。
③子育てのサポートをしてくれる人
祖父母など子育てをしていくうえで助けてくれる人がいるかどうかです。
また、離婚後に子供の生活がどう変わるのか、環境的に問題ないかがポイントになります。
なお、既に別居している場合には、子供と一緒に生活している方が有利になります。
調査官による調査結果の影響は大きい!どんなことを調査するのか?
裁判所が親権者を決める場合、家庭裁判所の調査官によって、子ども自身の気持ちや子供の環境についての調査がおこなわれます。
環境についての調査項目は次のとおりです。
- ちゃんと子供と向き合い接し、愛情をそそいでいたか?
- 看護しているか?養育状況に問題はないか?
- 子供と一緒に暮らすにあたって経済状況に問題はないか?
- 教育や生活など子供を養育していたのは主にどちらか?
- 今後の養育についてどう考えているか(住む場所など)?
以上の様な内容を調査します。
親の主張とは関係なく、裁判官が客観的に判断するために子供との面談や家庭訪問をおこないます。
子どもとはなんども面談し、父親母親とどのように過ごしているか?、父親母親のことをどう思っているか?などを確認します。
特に10歳以上の子供の場合には、子供がなんでも話せるような関係を築きながら進められます。
一方の親が子供に圧力をかけて、本心と違うことを言うようにしむけたり、子供も自分の本心とは違うことを言ってしまうこともあるでしょう。
そのため、家庭訪問では、家に訪れて家の中の状況や子供との接し方などの調査もします。
場合によっては、学校(保育園、幼稚園、小学校)にも行き、子どもの環境について調べたりもします。
子供の表面上の言葉だけを鵜呑みにせず、真意を探っていくのです。
なお、話ができない年齢や気持ちを上手く話せない子供の場合には、心理テストなどを利用して客観的に心理状態を把握していきます。
このようにして調査がおこなわれますが、この調査結果は養育者を決める際にとても重要となります。
よって、経済力だけが決め手となるわけではありません。
裁判官は、調査報告をもとに調停を進め、養育者を決める際にも調査報告をもとに判断するのです。
親権が有利になるポイントってあるの?下手に子供を誘導しないこと
親権を取ることだけを考えてはいけません。
親の都合や気持ちだけを考えたような行動は、マイナスとなります。
これをすれば確実に有利になる、というポイントはありませんが、子供のことを考えてあげられる親かどうか、という点がとても重要なのです。
中には、親権を取りたいがために、子どもに「母親と暮らしたい」などと手紙で書かせたり、同様のことを子どもが話している録音データを証拠として提出する方がいます。
しかし、これは意味がありません。
逆に、有利な証拠を無理やり作り出したと思われてしまう可能性が高く、裁判官に悪い印象を与えてしまうこともあります。
また、子供に対して相手となる父親の悪口や陰口を言わないことも重要です。
子どもにとっては一人の父親です。
子供は板挟みとなって苦しむでしょう。
子供を苦しめるような親は親権者として不適格だと判断されてしまいます。
そのため、面会させない!なんて方針はNGです。
子供のためを思えば、父親との面会交流はとても大切なことです。
大事
兄弟姉妹で別々の親権になることはあるのか?
長男は父親、長女は母親というように、兄弟姉妹が別々の親権となることは可能です。
しかし、裁判所が親権者を決める場合、兄弟姉妹を別々にするケースはあまりありません。
そもそもは親の都合による離婚です。
一緒に育って暮らしてきた兄弟姉妹まで離れ離れにするのは望ましくありません。
特に、年齢の低い場合にはなおさらです。
どちらかを子供全員の親権者とします。
別々の親権が認められる可能性があるのは、子供がある程度の年齢になっていることです。
離婚時に一度決定した親権を変更することはできるの?
後からでも親権者を変更することはできます。
調停を申し立て、次のようなことを話し合います。
- 変更の理由
- 現親権者、新親権者の意向・経済力や家庭環境はどうか
- これまでの養育や監護の状況について
- 子どもの状況(年齢・性別・性格・就学状況・生活環境等)
調停でまとまらない場合には、審判となります。
最終的には、親権者を変更するべきかどうかは裁判所が判断します。
ただ、実際には変更が認められるのはとても難しいです。
裁判所は、親の都合で親権者が変わることは子供にとって良い影響を与えないと考えているからです。
認められる例
離婚時に病気や無職という理由で親権を譲ったケース。
さらに、養育看護できる状況が整ったら親権者を変更することに違いが同意して離婚したような場合には認められやすくなっています。
このようなケースでも、証拠や書面による主張はとても重要となってきます。
準備が必要になるので、まずは専門家に相談することをオススメします。
なお、現親権者から暴力・虐待をされているなどがあれば別です。
子供にとって悪影響を及ぼす場合や子供の監護状況に問題がある場合には、変更が認めてもらえる可能性は十分あります。
大事