子供が作れないことを隠されていた!子供ができないを理由に離婚はできるの?離婚が認められるかどうかは夫婦関係がポイント | ウルトラ弁護士ガイド
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付き合っている時から、子供がほしいという会話は何度もしていたのです。
もし相手が子どもはいらないと考えているような人だったら、そんな人とは価値観も合わないし、結婚はしていませんでした。
子供だけが全てじゃない!と叩かれそうですが、子供がほしいから結婚したい、と思って付き合ってきたのです。
結婚した後に不妊症が発覚して子供ができないとわかったならまだしも、私の相手は私が子供を強く望んでいたことを知っていたのにできない事実を隠して結婚したのです。
結婚後、子供ができない、ということがわかった時はとてもショックを受けたことでしょう。
受け入れようという努力をしたかもしれません。
しかし、ダマされたという気持ちが強くなって、今まで通りの関係にもどれないと思うかもしれません。
ここでは、子供ができないことを理由に離婚ができるのかについて説明します。
目次
子供ができないことを隠されていた場合に離婚が認められる可能性は?
離婚する理由については、どんな理由であってもお互いが納得して離婚に応じれば離婚はできます。
これを協議離婚といいます。
子供がほしかったのにあなたでは産むことをできないから別れてほしい。
この理由に相手が応じれば離婚届を出して離婚成立となります。
しかし、そう簡単に相手が応じるとは限りません。
いくら離婚してほしいと言っても、OKしてくれなければ離婚はできません。
そこで、離婚には協議離婚以外に調停や裁判離婚というのがあります。
調停では、調停委員という他人をいれて、離婚について話し合います。
他人が入ることで冷静に話し合う、というのが調停です。
相手が離婚に応じれば、調停成立となり離婚できます。
場合によっては、やはり離婚せずにもう一度夫婦として頑張っていこう、という結果になることもあります。
ただ、調停でも考えが変わらず、一方は離婚したい、相手は離婚に納得できない、と考えが変わらなければ調停不成立となり終了です。
調停でも話がまとまらない場合には裁判(審判)を起こすしかありません。
裁判となると、これまでとは変わり、離婚するには法律で定められた離婚事由というのが必要となってきます。
民法770条1項にある5つの事柄です。
②悪意の遺棄
③3年間の生死不明
④強度の精神病にかかり回復の見込みがないこと
⑤その他婚姻を継続しがたい事由があるとき
この5つのどれかに該当しないと離婚が認められないのです。
子供ができないは民法の離婚事由に該当するのか?
1〜5のどれかに該当しなくてはいけませんが、5つの中に子供ができない、というのは見当たりません。
具体的なことまでは網羅できませんので、さすがにそこまで細かくは定められていません。
ただ、⑤の婚姻を継続しがたい事由があるとき、に当てはまる可能性があります。
婚姻を継続しがたい、というのは、もうどんな努力をしても夫婦関係が修復できない、ということです。
⑤に該当するかどうかはケースにもよります。
裁判所で認められたケースとしては、暴力をふるわれていた、性交渉ができない、別居生活が続いている、などの場合です。
子供ができない場合はどうかというと、それだけでは認められないでしょう。
認められるポイント!客観的に見ても関係が壊れていること
結婚しても子供はいらない、という夫婦も増えています。
一昔前なら結婚すれば子供は当然産む、という価値観だったかもしれません。
しかし、現代では価値観が多様化しています。
一方だけが子供がほしい、と望んでいても、その相手はどうでしょうか。
人それぞれですから、片方の気持ちだけを押し付けることはできません。
それだけに、夫婦にとって子供を作るかどうかは、結婚する際に重要な要素となります。
一方は子供がほしい意思を伝えていたうえで結婚したのに、相手に子供ができないことを隠されていた場合、それによって夫婦関係がうまくいかなくなるのは当然でしょう。
ただ、これだけでは⑤の修復できない関係とは認められません。
ポイントになるのは、夫婦になってからの夫婦の関係です。
隠されていた、ということによってギクシャクし、性交渉もなくなり、別居することになった。
または、顔をあわせるたびに喧嘩ばかりなど、結婚生活を続けていくことができない関係になっているなど。
夫婦関係に亀裂がはいり、これ以上はやっていけない、という状態になっていれば離婚を認められる可能性はあります。
一番わかりやすいのは、別居状態が長く続いていることです。
一緒には住めないほど関係が悪化していると証明できるからです。
離婚を最優先に考えるのであれば、別居をするのが一番でしょう。
これは、不妊の場合も同様です。
子供がほしくて結婚したけど、不妊症で子供ができないというケース
最近ではそういう夫婦も多くなっています。
不妊治療を受けていく中で夫婦関係がこじれてしまい、離婚する夫婦も増えています。
不妊の場合も、裁判となれば同じです。
ポイントになるのは、夫婦関係を続けていくことが困難になっているかどうか。
別居状態が続いているなど、どう考えてももう無理だと裁判所が判断できる状態なら離婚が認められます。
離婚したいなら慰謝料を払えと言われたら!慰謝料請求はどんな場合にできるの?
結婚して1年もすると、会うたびに「子供はまだか」と迫ってくる姑もいるでしょう。
子供ができないことに加え、姑の不満や嫌がらせ。
耐えられず、夫に離婚を切り出しました。
離婚に応じるかわりに慰謝料を求めてきたのです。
子供ができないことを黙って結婚したにも関わらず、慰謝料を払わなくていけないのでしょうか。
逆に、告知されなかった側の方が離婚することになった原因のあるパートナーに対して慰謝料を請求できないのか?
実際にこのようなケースはよくあります。
結果から言うと、子供ができない側が、その事実を婚姻前から知っていたかどうかです。
結婚してから子供をつくる過程で不妊が発覚した場合には、慰謝料が認められる可能性はかなり低いです。
大事
例えば、相手が不倫をしていた場合
明らかに相手に落ち度がありますね。
子供ができない、ということについては、身体的な問題なので落ち度があるとは言えません。
しかし、それが婚姻前に発覚していて隠していたとなれば慰謝料が認められる可能性はあります。
実際に慰謝料が認められた判例た場合
性的不能を隠して結婚した夫に対して妻が慰謝料請求をした裁判ですが、裁判所は夫に対して慰謝料を払うように命じました。
この判決では、
夫婦の一方が性生活を求めることを「性交請求権」とし、夫婦間の性交渉は婚姻生活の中では重要である
としています。
婚姻前に性交不能を相手に伝えないことを不法行為として、損害賠償を命じたのです。
ですから、「自分勝手に離婚したいというなら慰謝料を払え」ということを言われても、無視してください。
払う必要はまったくありません。