【刑事事件の基礎用語】刑事事件で使われる専門用語がわからない!起訴・不起訴・送致・勾留・起訴猶予・保釈請求って?| ウルトラ弁護士ガイド
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刑事事件で使用される言葉には、聞きなれない専門用語がたくさんあります。
なれない方にはわかりにくいものです。
「起訴」や「不起訴」
「送致」や「勾留」
「起訴猶予」や「保釈請求」
日常生活ではあまり使われない言葉が、刑事事件では使われています。
また、逮捕されると、報道では「容疑者」と言われるのに、実際には「被疑者」と言われたり。
「被告人」なんていう言葉も出てきたりするため、訳がわからないこともあるでしょう。
出てくる言葉の意味も分からない状態では、とても不安になるかと思います。
警察や検事はもちろん、弁護士も一つ一つ丁寧に説明してくれるとはかぎりません。
分からないからといって、その都度、説明をもとめるのも難しいかと思います。
「わからない!困った!」という方。
わかりやすく説明しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
起訴と不起訴とは?前科がつくかどうかの違い
「起訴」とは?
警察での取り調べ後、最終的に起訴するかどうかは検察官が判断します。
検察官は、容疑者を裁判で審理するかどうかを検討。
起訴するかどうかを決めるのです。
日本の検察は、有罪となる可能性が高くなければ起訴はしません。
そのため、起訴されると、ほとんどの場合で有罪となります。
「不起訴」とは?
検察官が捜査の結果、容疑者を裁判所で審理する必要がないと判断することです。
不起訴となった場合、身柄は解放されます。
また、前科もつきません。
不起訴となる理由にはいくつかの種類があります。
そもそも罪とならない場合 | 夫婦喧嘩で110番通報され逮捕されたが、その後仲直りしたようなケース |
---|---|
誤認逮捕の場合 | 逮捕された方とは別に真犯人がいることが分かったケース |
嫌疑不十分の場合 | 罪を犯したことは疑わしいが、有罪が確実となるような証拠が足りずに起訴できないと判断したケース |
起訴猶予の場合 | 罪を犯したことは確実ではあるけれど、検察官の裁量で不起訴とするケース |
【参考ページ】
保釈と釈放、釈放と仮釈放の違いとは
「保釈」とは?
拘留されている被告人を制限をつけて外にだすことです。
通常、弁護士によって保釈の申請はおこなわれ、保釈するかどうかは裁判所が判断します。
保釈が認められた場合、決められた保証金を納めると外に出ることができます。
また、納めた保証金は、通常、裁判が終わると返してもらえますが例外もあります。
納めた保証金返してもらえない例
- 検察が裁判のために被告人を呼び出してもこなかった
- 被告人が、約束を守らなかった
このような場合、保証金は没収となります。
「仮釈放」とは?
刑務所での生活態度から反省や更生への期待がもてる場合などに、刑期より早く釈放されることです。
また、執行猶予がつき釈放された場合も同じように「仮釈放」といいます。
通常の釈放とは違い、条件付きでの釈放となります。
「釈放」とは?
身柄が解放され、制限なく自由の身となったことです。
以下のような場合に釈放されます。
- 勾留を阻止できた
- 不起訴となった
- 無罪が確定した
釈放されるということは、裁判所が身柄を拘束する必要がないことを認めたということです。
そのため、釈放となれば、再び勾留されることはありません。
勾留とは?身柄を拘束されること
加害者を捕らえて、警察署や検察庁に留める処分のことです。
そのため、勾留が決定すると、家に帰ることはできません。
また、面会をする場合も制限があるため、自由に連絡を取り合うことはできなくなります。
警察での勾留は48時間までです。
その後、勾留するかどうかの判断は検察官がおこないます。
必要があると判断すれば、裁判官に許可を求め、認められれば勾留されます。
勾留となるのはどのような時?
刑事事件をおこした疑いがあるだけでなく、以下の3つのうちのどれか1つでも当てはまる場合勾留となります。
- 住居が定まっていない
- 証拠を隠す恐れがある
- 逃げる恐れがある
勾留される期間はどのくらい?
裁判官が勾留を決定すると、その時から勾留期間満了になるまで身柄は拘束されます。
勾留期間は、起訴前または起訴後で異なり、期間については、以下のとおりです。
時期、勾留期間、延長について
起訴前の場合 | 【原則10日間】
延長されるとさらに10日間がプラス。 |
---|---|
起訴後の場合 | 【原則2カ月】
必要に応じて1か月ごとに更新され更新回数に制限はありません |
【参考ページ】
家族が逮捕された!面会や差し入れはいつからできる?
1日でも早く家に戻してあげたい!起訴前の釈放と起訴後の保釈請求
刑事事件での警察と検察の違い!役割について
警察
事件がおこった時の捜査と逮捕。
また、検察へ送致するまでの捜査をおこなうのが主な役割です。
検察
被疑者が送致されてから事情聴取をおこない、起訴または不起訴のどちらにするかの判断をおこなうのが役割となります。
また、検察にはその他にも役割があります。
被告人と被疑者の違い!起訴後と起訴前で変わる呼ばれ方
段階によって被疑者や被告人と呼ばれます
1
(この段階をマスコミなどでは容疑者といいます。これはメディア用語的なもので、被疑者の通称として使用されています)
2
民事裁判でも「被告」という言葉は使われますが、意味は全く異なります。
実刑判決と執行猶予付判決!刑務所に入るか否かの大きな違い
実刑判決とは、執行猶予がつかない判決です。
執行猶予がつかない例 「懲役2年6カ月」
2年6ヶ月間を刑務所で過ごすことになるのです。
執行猶予の例 「懲役2年執行猶予4年」
猶予がついた4年間。
犯罪をおこさず正しく日常生活を送れば、刑務所には入らなくていいよ、という意味です。
ただし、期間中に悪いことをすれば即刑務所へ入ることになります。
私選弁護人と国選弁護人とは?
刑事事件では弁護人をつけるのが一般的ですが、「私選弁護人」と「国選弁護人」の2種類があります。
「私選弁護人」とは?
被疑者や被告人や、その家族がお金を出してお願いする弁護士のことです。
依頼人が自分たちで費用を支払って雇うため、自由に弁護士を選び、サポートを受けることになります。
多くはこの私選弁護人をつけるのが通常です。
「国選弁護人」とは?
刑事事件では、お金がない場合でも弁護士をつけることができます。
それが国選弁護人です。
この制度は、条件を満たしている人だけが利用できる制度となっています。
「私選」と「国選」の違い
私選でも国選でも、おこなう弁護活動にかわりはありません。
違うのは、雇い方と、雇える時期です。
私選の場合、自分たちで自由に選ぶことができます。
そのため、信用できると確信した弁護士を選んで雇うことが可能です。
選任する時期も自由。
逮捕されてすぐや、逮捕される前からでも雇うことができます。
一方、国選弁護人は自由に選べません。
国が指定した弁護人のサポートを受けることになります。
費用は通常、国が支払うため、金銭的な負担は軽くなります。
(中には費用を負担しなければならない場合もある)
ただ、原則として起訴後にしかつけることはできません。
【参考ページ】
前科と前歴の違い!逮捕歴があっても前科者ではない
起訴後、
無罪となった場合は前科はつきません
実刑や執行猶予判決となった場合はもちろんのこと、罰金や科料のみの場合でも前科はつきます。
不起訴となれば、前科はつきません。
ただ、不起訴となっても「前歴」はつきます。
前歴は有罪無罪に関係なく、逮捕されただけで残ります。
身柄事件と在宅事件の違いについて
身柄事件とは
逮捕されたのち、警察署で過ごすことになる場合を身柄事件といいます。
比較的、重大な犯罪の場合に身柄事件となります。
実際には、それほど多くはなく全体の3割ほどです。
在宅事件とは
被疑者が逮捕や勾留されることなく捜査が進められる事件のことです。
比較的軽い事件では在宅事件となることが多いです。
取り調べが必要な時に警察や検察へ呼び出されます。
重要
それ以外に違いはなく、起訴されれば勾留されることになります。
また、在宅事件だからといって絶対逮捕されないわけではありません。
捜査を進めるうえで必要となれば、逮捕や勾留されることもあります。
【参考ページ】
頼りになる専門家一覧はこちら