【住宅ローンや借金の返済が厳しい】住宅ローンに加えて多重債務に限界を感じたら!迷うことなく自己破産 | ウルトラ弁護士ガイド
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自己破産と聞くと、悪いことをしているイメージを抱く人がたくさんいますが、それは少し違います。
返済に目途が立たず苦しんでいる債務者を救済するために、国が作った制度です。
不利益となるような事はありません!
借金を免除してもらい、お金の心配事がなくなり普通の生活ができるようになるのですから、有効な借金解決手段の1つです。
収入の低下、住宅ローンや学費での出費、退職や病気による休業など、借金の事情は様々だと思いますが、返済できない場合には自己破産を考えてみてください。
間違った情報や信頼性のない噂などによって、自己破産は悪いイメージや間違えた認識を持たれている方が多くいますが、堂々と利用できる手続きです。
住宅ローンに加えて多重債務など、厳しい返済生活に限界を感じている方。
自己破産についての正しい情報をお伝えしていきますので、是非、参考にしてください。
目次
自己破産とはどんな手続き?メリットとデメリット
自己破産とは一言で言えば「借金をチャラ」にする制度です。
「とてもじゃないけど全部返せない状況」という人の借金を無くし、「新たに生活を始めてもらう」ためのものです。
裁判所へ申し立てた後、破産及び免責の手続きをおこないます。
問題なくクリアできれば、免責許可決定を受けることができ、およそ1ヶ月後にその決定が確定となります。
免責許可決定が確定するということは「法律上において支払いの義務が完全になくなる」ということで、確定した段階で「借金がチャラ」なるのです。
自己破産のメリットは?借金の支払いが免除される
持ち家などがあり、既に売却しているにも関わらずローン債務だけが残っている場合も、破産によってその残ったローンの支払い義務は免除されます。
よって、借金のない生活を取り戻せるわけです。
お金のことで悩まされる日々から抜け出すことができます。
デメリットは?持ち家は手放すことになる
自己破産では、価値が20万円以上となる財産は手放すことになります。
代表的なものとしては、家や車です。
ただし、車の価値が20万円以下の場合には、手放さず乗り続けることはできます。
新車で購入して数年しか経過していない場合は別ですが、中古で購入したり、約10年近く乗っているような車の場合、市場価値は20万以下となることも多く、手放さずに済むということです。
また、他の財産も同様です。
20万円以下であれば、預貯金、保険解約返戻金、退職金請求権、動産(中古パソコンやテレビ等)なども、そのまま持つことを問題ないと裁判所は判断します。
実際には、20万円以上の価値となる財産と言うものは、一般家庭においてはそれほどないかと思います。
個人が破産する際に実際に問題となる財産というのは、持ち家がある場合だけです。
自己破産での主なデメリットは、持ち家を残すことができない点となります。
他のデメリットとしては、銀行などでローンを組んだり、カードを作れないことです。
正しくは、ローンやカードの申し込みをしても、「審査には通らない」ということ。
金融機関等が情報共有している「情報機関」があるのですが、そこに事故情報として載ってしまうため、申し込みは出来ても審査には通りません。
ただし、永遠にローンやカードの審査に通らないわけではなく、事故情報が消えれば可能になります。
破産の場合ですが、約7~10年程度経過すれば審査にも通るようになり、新たにローンを組んだりカードを作れるようになるでしょう。
次に、1度破産をすると、しばらくの間は(2度目の)自己破産はできません。
中には、2度する方もおりますが、1度で再起すればいいので大したデメリットにはならないと思います。
デメリットはこれだけです。
ギャンブルなどの自己都合の借金でも自己破産は認められるの?裁判所は免責不許可にする場合もある!
自己破産によって借金を無くすには、最終的に免責許可決定を受け、それが確定されないといけないのですが、許可されず不許可になってしまう事もあります。
その原因となるのが、以下になります。
- ギャンブルや浪費による借金
- 本来ある財産を隠す
- 申立書類に嘘を書いたり、ごまかしている書類を出す
- 一部の債権者だけに返し続けていた
- 自己破産の申立が2度目で7年以内の場合
他にもありますが、上記のように破産法が定める義務に反している場合(免責不許可事由にあたる場合)、基本的には許可がおりません。
ただし、不許可となる原因があったとしても、最終的に許可するか否かを判断するのは担当の裁判官です。
裁判官には裁量があり、不許可事由があっても相応な理由などがあれば許可を出してくれます。
ギャンブルでできた借金でも自己破産できた例は少なくありません。
自己破産するとどうなるの?戸籍に載るや海外旅行にいけなくなるなど世間での噂はウソ
自己破産にまつわる悪い噂を、1つや2つは聞いたことがあるかと思います。
例えば、自己破産すると・・・
- 選挙権がなくなる
- 戸籍に載る
- 海外旅行に行けなくなる
- 家族にも影響がある
- 仕事先や周囲にばれる
- 仕事がクビになる
などなど。
これらの噂ですが、完全にただの噂のものか、だいぶ膨らんでしまって間違えて伝わっているもののどちらかです。
そこで、正しい情報をお伝えします。
完全にただの噂のもの
・選挙権がなくなる→選挙権はなくなりません。
・戸籍に載る→戸籍にはのりません。
・家族にも影響する→家族には影響はありません。
話が膨らんでしまっているもの
・海外旅行に行けなくなる
一生いけないのではなく、申立から決定が出る期間中だけ制限がかかることがあります。
・仕事先や周囲にばれる
官報という裁判所が発行している刊行物に載りますが、一般の方で官報をチェックしている人はいません。
普通の会社でもチェックするようなことはありませんので、破産をしたことが周囲にばれたり仕事先にばれることはないでしょう。
・仕事がクビになる
まず普通の会社であれば、破産したこと自体がばれるようなことはありません。
ただ、勤務している会社から借り入れしている場合、申立の際に提出する一覧表に記載することになりますので、裁判所から勤務先に対して通知が送られます。
だからといって、会社が破産した人を辞めさせることはできません。
例え、雇用契約書や就業規則の解雇事由に「破産したこと」が解雇理由になるという内容が含まれていたとしても解雇できません。
破産を理由にした解雇は無効となり、その解雇は不当なものとして解雇の取り消しと損害賠償を請求することができます。
・カードが使えない、ローンが組めない
金融会社の情報機関に事故情報として登録されるため、お金を借り入れしたりすることができなくなります。
このことを、「ブラックリストにのる」なんていい方もされていますが、ただ、その期間も破産後10年くらいの間です。
その後は借入もできるようになりますし、ローンを組んだりカードを作ることもできます。
そもそも、カードが作れなかったりローンが組めない事は、普通の生活にそれほど影響を与えるものではありません。
確かにいくつかの制限はあるものの、日常生活に大きな影響を与えるような事はありません。
自己破産しても何事もなく普通に生活を送れるということです。
自己破産にまつわる悪い話や噂、情報は様々ありますが、正しい情報と知識を得て、自己破産を検討してください。
自宅がある場合はどうなるの?自己破産前に売却するべき!
自己破産についての基本的な情報をお伝えしましたが、持ち家がある場合には少し複雑になります。
持ち家がある場合でも、もちろん破産はできます。
しかし、
同時廃止と管財事件の違いは、裁判所に納める費用と免責許可決定を受けるまでの期間です。
費用については、同時廃止だと裁判所手数料は3万円程度で済みますが、管財事件だと約23万円。
期間に関しても、申立から免責許可決定まで、同時廃止なら3カ月から半年以内で終わりますが、管財事件だと半年や長ければ1年以上かかります。
その理由は、家を売却するからです。
そのため、持ち家がある場合には、財産を処理してから自己破産の手続きを進めることが一般的です。
オーバーローン(※)の住宅(物件査定額の1.5倍以上のローン債務がある)の場合なら、それ以外の資産がなければ同時廃止で手続きが進められます。
持ち家は、破産手続き終了後に債権者(抵当権をつけている銀行など)によって、競売か任意売却されることになります。
※オーバーローンとは、物件価格(売却価格)よりも住宅ローン債務の方が多い状態のこと
ただし、全ての裁判所でこのように処理されるわけではありません。
そこで!
破産前に持ち家がある方は、自己破産の手続きをする前に売却(オーバーローンなら任意売却)することを検討します。
問題としては、破産前に売却することで、財産隠しにならないかどうか?です。
売却によって財産を隠したとなると、自己破産はできなくなるため、注意しなくてはいけない問題です。
この点、弁護士によっても意見が少し異なるようですが、オーバーローンの状態の持ち家を任意売却することが否認行為となることはまずありません。
なぜなら、任意売却する場合には抵当権を付けている債権者の同意が必要で、相当な売却価格でなければ売ることを承諾してくれません。
「むやみやたらに売ってしまう」ということができない点が1つ。
それに、売却することなくオーバーローンの状態(抵当権つき)の持ち家を抱えたまま破産手続に入ったとしても、抵当権を付けている債権者は他の一般債権者よりも優先して権利を主張できます。
これにより、抵当権がついている不動産の価値というのが、「評価額」➖「住宅ローンの残債額」で出た額となり、オーバーローンであればマイナスとなります。
つまり、持ち家はマイナス債権となり、他の一般債権者に配分できる財産ではなくなるのです。
破産前にオーバーローン状態の物件を任意売却したとしても、他の債権者を害する行為とは言えませんし、否認行為にもあたらないことになります。
また、破産前に任意売却するのが面倒と思われがちですが、換価できる財産がなくなるため、同時廃止になる可能性は高くなるのです。
同時廃止で手続きなら、裁判所に納める費用も安くなりますし、免責許可決定を受けるまでの期間も短くなります。
売却後に破産したほうがメリットが大きいでしょう。
ただし、最終的に同時廃止か管財事件(少額管財事件)で手続きを進めるかは裁判所の判断になりますので、専門家の意見は聞いておくべきです。
参考ページ:任意売却とは住宅ローンを払えない場合の解決方法
自己破産を考えた時に気を付けること〜連帯保証人の存在・職業制限・債務の種類
自己破産について紹介してきましたが、3点ほど気をつけておくことがあります。
それは、連帯保証人がいる場合、一定の職業に就いている場合、借金以外の債務がある場合です。
それぞれ詳しく説明していきます。
破産して免責が確定すれば自分の借金はなくなりますが、連帯保証人がいる場合には注意してください。
あなたが破産しても、連帯保証人の債務はなくなりません!
あなたの連帯保証人とはいえ、それぞれが債務を抱えている状態になるからです。
連帯保証人も破産手続をとるなどの対応しないと連帯保証人の借金は消えません。
破産を検討する時には、連帯保証人の存在を確認しましょう。
参考ページ:父親の連帯保証債務で大慌て!連帯保証人の支払いの義務やリスクとは?
自己破産してしまうと仕事ができなくなるの?職業制限
自己破産を考えている人の中で、以下の職業に就いている方には気をつけてほしいことがあります。
『公証人、 宅地建物取引業者、 証券会社外交員、警備員、保険外交員・士業の方など法律で決められている職業』
このような一部の職業の方が自己破産の申立を行うと、破産手続き開始決定から免責許可決定確定までの間、一時的に職業に就けなくなります。
なお、免責確定後は問題なく仕事に復職できます。
自己破産しても一部の債務は免除されない
自己破産について説明している中でも少し触れてきましたが、免責決定を受けても全ての債務(借金)が免除されるわけではありません。
例えば、健康保険や住民税等の税金、交通違反の罰金、養育費・婚姻費用など。
このような債務については、支払いの義務が残ります。
また、通常のキャッシングや友人からの借り入れなどの借金であっても、申立の際に提出する「債権者一覧表」に記載を忘れると、その債務については免責されない可能性もあります。
申立前には、支払い義務のある全ての債務についてしっかりと確認をするべきです。
弁護士に依頼した場合の破産費用は?
同時廃止か管財事件(少額管財事件)によって、費用については大きな差が出てきます。
まず、同時廃止の場合ですと、裁判所に払う費用が3万円程度かかります。
自分でやる場合にはこの費用のみが必要となりますが、弁護士に依頼する場合には30万~40万(裁判所に納める費用を含む)程度が相場となっています。
管財事件の場合は、裁判所費用(納める費用)が23万円程度かかります。
自分でやる場合にはこの費用をご自分で負担することになります。
弁護士に依頼すると50万~65万円(裁判所費用を含む)程度が相場となっています。
弁護士費用が高い!費用はどうやって準備するの?
自己破産する状況の方にとっては、「数十万円という費用をどうやって用意したらいいのか」という問題があると思います。
また、弁護士に依頼すれば、その時点から債権者への返済をしなくていい状態になります。
これまでのしていた返済がなくなるのです。
返済がない状態で月に3万円〜5万円を弁護士に支払えばいいので、それほど負担にはならないと思います。
なお、収入がなかったり年金生活や生活保護などの状態で弁護士費用が用意できない場合には、法テラスでの法律扶助制度の利用をオススメします。
法律扶助制度とは、弁護士費用を立て替えてくれる制度で、月々5000円~1万円程度の支払いとなります。
生活保護受給者に関しては、立替費用の返済が免除される場合もあります。
詳しくは「年金受給者・生活保護受給者は借金を解決出来るのか!?」をご覧ください。
自己破産した方が良い人とは?
このように迷いがある方、ここまでの説明で正しい知識を得られたはずです。
あとは、自分にとってどれくらいの影響があるかを判断すればいいだけです。
考えることは以下の3つです。
①財産
日常生活に必要な物で、市場価格で20万円を超える財産があるかどうか。
通常、日常生活に必要なもので20万円を超えるものはないと思います。
あるとすれば土地や家(不動産)、車くらいでしょう。
不動産に関しては、どうしても持ち家を残したいという方もいるかと思います。
個人再生も解決策の一つですが、月々のローン返済分とその他の借金分として月々数万円を用意できない方は、個人再生を利用しても返済に行き詰ってしまいます。
手放す選択によって、今後の生活が楽になることは確かですから、売却して破産することも検討するべきです。
また、車に関しても、市場価格が20万円を超えない車に乗り換えるなどで対応ができます。
それほど大きな影響はないかと思います。
ただ、資産を多くお持ちの場合は管財事件となる可能性が高くなりますので、弁護士の意見を聞いておいた方がいいでしょう。
②仕事
職業制限にひっかかるかどうか。
これは少し注意すべきです。
一時的(破産決定から免責決定確定まで)とはいえ、職に就けない事はリスクとなりますので専門家の意見を聞くべきでしょう。
③収入
持ち家がある場合ですが、月々の住宅ローン返済に加えて、プラス数万円の借金返済分を用意できる収入があるかどうか確認してみてください。
それだけの収入がある方は、個人再生手続きを使って持ち家を残す道を検討してみましょう。
逆に、それだけの収入がない場合には自己破産を検討するべきです。
これら3つのポイントを総合的に考えれば、自分が自己破産した方が良いかどうかを判断できます。
ただ、財産面の問題や心配事が少しでもある方は、自分で判断せずに専門家に相談した方がいいでしょう。
参考ページ:借金問題に強い弁護士の一覧はこちら