【住宅ローン滞納と多重債務】個人再生手続きが利用できれば家を残せる!住宅ローン滞納の解決方法 | ウルトラ弁護士ガイド
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住宅ローンの滞納だけでなく、消費者金融からのキャッシングやショッピングローンの返済にも悩まされている方!
個人再生でローンを除く借金を整理することで、住宅ローンの問題をクリアにできる可能性があります!
ローンを除く借金を大幅に減額することができ月々の返済を楽にすれば、住宅ローンの支払いも楽になるのではないでしょうか!?
それを可能にするのが個人再生なのです。
この解決方法を利用できる方は、住宅ローンの返済計画で支払いを続けていけるだけの収入が継続的にある人になります。
加えて、ローン以外にも借金があるという場合には、ローン返済分にプラスして、借金返済分として月々2万~3万円程度のお金を用意できる方が対象になります。
この手続きについて詳しく説明していきますので、「手続きを利用して借金を減らせれば、ローン問題を解決できるのか」を確認してみてください。
では、個人再生手続きについて具体的に説明します!
目次
個人再生とはどんな手続き?
この手続きは、「消費者金融やサラ金、カードローンなどの借金返済が困難になった人を救済する手続き」で、自己破産を避けて借金の問題を解決する場合に有効な手続きとなります。
個人再生手続きは約15年前に開始された「借金で苦しんでいる人を救うための制度」です。
借金を大きく減額(債権者に対する月々の返済額を減らす)できるメリットもあり、特に持ち家がある債務者を救済するための制度とも言えます。
裁判所に申し立てる際に住宅ローンがある場合には、住宅資金特別条項(住宅ローン特則)という制度を使うことになります。
住宅ローン特則とは、住宅ローンはそのまま月々返済し、その他の借金についてを個人再生によって減額してその減額分を分割払いで返済するという制度です。
つまり、住宅ローンの残高は減額されることなく、そのままの金額を支払うことになります。
一方、住宅ローンを除く借金については、少なくなるうえ、原則3年間で分割して返す返済計画を組むことができます。
借金の減額は、返済計画通りに完済したことによって、減額部分の免除がされるという仕組みです。
返済計画が完璧に実行できなかった場合は、減額されません。
「現状ある借金総額を大幅にカット」ができ、「無理をせずに返済できる」ことがメリットであり、これによって「自宅を手放すことなく住宅ローンを支払い続けられる」状況をつくることが可能になります。
もちろん債権者を完全に無視することはできませんから、債権者の意見を聞いたうえで裁判所が判断することになります。
注意点としては、住宅ローン以外の債務として、養育費や税金などの債務があるケースもあるでしょうが、このような債務は減額の対象にはなりません。
小規模個人再生手続
個人再生には2種類の手続きがあります。
その一つが「小規模個人再生」となります。
これは「個人経営の方や小規模の事業を営んでいる方」などを対象としています。
また、提出する返済計画については、「債権者の過半数の同意及び同意した債権者の借金額が全体の借金額の半分以上を占めることが必要」で、この条件をクリアしないと裁判所の決定が下りないのが小規模個人再生となります。
小規模個人再生手続の場合だと、どれくらいの借金が減るかと言うと、以下表①の通りです。
〈 表 1 〉
消費者金融やサラ金、カードローンなどの借金総額(住宅ローンは除く)が、100万円未満の人→減額はありませんのでそのままの金額を返済することになる
100万円以上500万円以下の人 | →100万円を返済する |
---|---|
500万円を超え1500万円以下の人 | →総額の5分の1を返済する |
1500万円を超え3000万円以下の人 | →300万円を返済する |
3000万円を超え5000万円以下の人 | →総額の10分の1を返済する |
なお、住宅ローンを除いた借金が5000万円以上あるという方は個人再生手続きの利用ができません。
<借金の減額例>
80万円の借金がある場合 | →80万円を返済する |
---|---|
300万円の借金がある場合 | →60万円を返済する |
1000万円の借金がある場合 | →200万円を返済する |
給与所得者等再生手続
個人再生のもう一つの手続きが「給与所得者等再生手続」になります。
これは、サラリーマンなどで給与を得ている人を対象とした手続です。
先ほど説明した小規模個人再生との違いですが、この手続きで提出する返済計画については、債権者の同意を得る必要がなく、同意がなくても裁判所は手続きを進めていくことができます。
また、この手続きの返済額は、先ほど紹介した表①の借金の返済額とは異なる場合もあります。
基本的には①の表が基準となるのですが、申立人(債務者)の「2年分の可処分所得額」というものを算出して、①と比べて高い金額となるほうが返済額とされます。
このように、
の3点が同じ個人再生でも異なる部分です。
どちらの手続を利用するかについては、裁判所や専門家に相談したほうがいいでしょう。
個人再生手続きには利用できる条件がある!
借金を大きく減額できるとは言え、借金の返済、ローンの返済がなくなるわけではありません。
そのため、収入が継続してある人が利用できる手続きです。
具体的には、それぞれ以下のような条件になっています。
①小規模個人再生手続
・住宅ローンを除く借金総額(養育費や税金は除く)が5000万円以下となること
・今後も継続して収入を得る見込みがある人②給与所得者等再生手続
・住宅ローンを除く借金総額(養育費や税金は除く)が5000万円以下となること
・今後も継続して収入を得る見込みがある人
・収入が給与所得(給料)であり、給与額が安定していること
これがそれぞれの条件になりますが、住宅ローンの支払いがある場合には、いくら大幅に減額され月々の返済額が2,3万になるとはいえ、「月々の住宅ローンの返済分にプラスして3万円程度の支払い」ができる収入が必要です。
個人再生手続きの費用について
個人再生手続きの費用については、弁護士に依頼せず自分でやる場合でも約22万円(裁判所へ納付)かかります。
また、弁護士に依頼した場合には事務所にもよりますが、住宅ローンあり(住宅ローン条項利用)の場合には40万~50万円(消費税別)というところが一般的です。
ご自分でやる場合、弁護士に依頼してやる場合、どちらにしてもかかる費用が高いと感じることでしょう。
しかし、自分でやるには手続きが複雑であり、裁判所が認めるさじ加減は経験者にしかわかりません。
弁護士費用が多くかかっても、それ以上のメリットがあると言えます。
手持ちや貯金で費用を用意できなくても大丈夫
この手続きは複雑であることから、弁護士に依頼することをオススメしますが、問題はかかる費用でしょう。
ただし、この点についてはそれほど心配する必要はありません。
弁護士費用の支払いを一括で求めてくる弁護士などいませんし、分割での支払いが一般的です。
これまでにも、相談時に手持ちがない方や預貯金がないような方でも、個人再生を利用して解決している方は沢山いますので、費用についてはそれほど心配せずに相談してみてください。
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まとめ
個人再生の一番の利点は、
「持ち家を処分することなくそのままで他の借金の整理ができること」
すなわち、
「借金返済の負担を減らして、住宅ローンを支払っていける状態にする」という点です。
ただ、この手続きは複雑なうえに裁判所が定める期間内に進めなくてはいけません。
これができないと、手続きは終了となり無駄になってしまいます。
また、個人再生開始後、返済計画通りの返済ができなくなると減額分の免除がなくなり、もともとの借金全額を支払う義務が復活してしまうこともあります。
個人で申立するリスクは大きく、手続きを利用するのが適切かどうかの判断も必要なため、弁護士に相談したほうが間違いはないでしょう。