【連帯保証人と保証人との違い】連帯保証人は支払いを逃げられないの?父親の連帯保証債務の解決事例! | ウルトラ弁護士ガイド
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連帯保証人になってしまうと、借金をした本人と同じように返済する義務があります。
軽い気持ちで連帯保証人になってしまう方もいらっしゃいますが、リスクは大きく、責任も重い立場です。
ただ、多くの方は連帯保証人になったとしても、実際に自分に請求がくるなんて思わないでしょう。
連帯保証人にされていた以上、債権者からの請求に応じるしかないのか?支払う義務はあるのか?
実際に、父親が賃貸で住んでいるマンションの連帯保証人にされていた方が、滞納家賃を請求されたという事例をもとに紹介します。
目次
連帯保証人は突然にして債務者になる!滞納するような主債務者はあてにならない
主婦が父親が賃貸で住んでいるマンションの連帯保証人となっていた事例です。
連帯保証人と言うと何か重たい気もするけど、何も借金の連帯保証人になっているわけでもなく、よくある賃貸借契約においてのものだった。
だから、問題さえ起きなければ自分が連帯保証人になっていたことなんてスッカリ忘れていたくらい。
それが突然ですよ!
滞納家賃1年分の100万の請求が私にきたからビックリで。
立ち退きまで要求されたもんだから、もうパニック状態に・・・。
肝心の本人とは全く連絡が取れないし、何度も不動産管理会社からは支払ってほしいと連絡がくる始末。
「なんで私が?」って感じ。
もう3年近くも父親とは連絡をとってないし、何がどうなっているのか意味がわかんない。
「私、関係ないので・・・」
とは言ってみたけど全く通用せず。
「こちらも困っているんですよ!住んでいる気配はありますが、連絡がとれなくてね」
「いるってわかっているなら本人にお願いします」
「こちらはもう1年近く本人からの連絡を待っているんですよ。これ以上はね・・・」
「私に言われても」
「娘さんが連帯保証人になっているじゃないですか。こちらは契約書通りに請求をしているだけですから」
「連帯保証人にはなりましたけど、急に言われても・・・」
「それは勝手な言い分です。払ってもらえないなら法律に基づいて請求させてもらいます。よろしくお願いしますよ」
「困ります。その脅しみたいの!」
「あなたは連帯保証人になっている以上、支払う義務があるんですよ」
そう言われてしまったが、
いきなりのことでどうしたらいいのか悩んでしまったんです。
「なぜ自分が?」って思いは捨てきれないですよね。
こういう事って賃貸借契約以外でもあるんじゃないでしょうか?
中には、「知らないうちに連帯保証人になっていた」なんて場合も・・・。
よく「連帯保証人にだけはなるな」なんていうけれど、まさか本当に自分のとこに請求が来るなんて、普通は誰も思わないよね。
とはいっても、こうなったら何をどうしたらいいか?
無責任な主債務者をあてにしてもどうにもならない
私はすぐに父親に連絡。
しかし、留守電でした。
留守電にはその日の夜に訪ねることをいれ、夜中に行けば会えるかもしれないと思い行ってみた。
チャイムを押してみたけど反応がない。
腹がたって何度も押してみた!
「はい?」
いた!
「私」
「あ~」
あ~だって!
人の気も知らないで!
余計に腹が立った。
扉が開き、父親の部屋へ。
「急にどうしたの?」
「どうしたのって!家賃、払ってないでしょ」
「あ、まぁ・・・。金がなくて」
「何に使ってんのよ?」
「株で損しちゃってよ」
「仕事は?」
「してるけど、株のほうの支払いが大変でよ・・・」
「この家から出ていけって連絡がきたけど」
「お前んとこに?」
「そうよ。連帯保証人だからだって!」
「申し訳ない・・・」
「家賃についても裁判するってさ。一括で払えば取り下げるとか・・・」
「100万近くあるからな・・・。そんなの一括なんて無理だろ」
それまで我慢していたけど、イライラが限界だった。
私だって100万円をすぐに支払えるほど余裕はない。
家族もいるし、自分の家の住宅ローンだって返済している。
そんな状況で大きな出費は控えたかった。
「どうするのよ?」
「どうするって言われてもな・・・」
「とにかく、この家は家賃高いし出ていくしかないでしょ」
「そうだな・・・」
「どっか住むあてはないの?」
「一時的なら知り合いに頼める」
「荷物はとりあえずうちに運ぶから、安いアパートでも見つけてよ」
「悪いな・・・」
「それで、株での借金は?いくら?」
「100万くらいだな・・・」
「それはどうすんのよ?」
「それは自分でどうにかするから大丈夫だと思う」
もうどうにでもなれって思いたくなる事態だった。
まぁ、収入は30万近くある父だったので、借金のほうは自分でどうにかしてもらうことにした。
ただ、家賃については私も関わってしまっている。
父親に任せていたらもっと面倒なことになると感じたし、やはりそれはどうにかするしかないのだと思った!
だけど、これがもし知らない間に勝手に契約を取り交わされていて、その結果として
それに、今回は金額からしてどうにかなりそうな気もするけど、これが数千万とかの金額だったらどうしたらいいのでしょうね。
実際に、私よりも悲惨なケースを知り合いが経験してしまっていたので、参考までに 「知らない間に勝手に連帯保証人にされていた! 返済する義務はあるのか?」で紹介しておきます!
連帯保証人の支払い義務とは?保証人との違い
私は管理不動産会社に連絡をして、父親についての状況を説明した。
私の方でどうにかしたいが、一括では無理なことを伝えてみた!
「本来であれば、もっと早い段階、滞納した時点で何かしらの行動をとれたけど、ここまで待ったんですよ」
と、これ以上は待てないというのが回答。
じゃあ私にどうしろって?
私もむしゃくしゃしていたから、逆ギレ状態で対抗。
「「払うと言っているのに待てないって?じゃあ私は払えませんよ。どうしろって言うんですか?」
しかし、相手もこれにはしびれをきらして本領発揮!
「あなたは連帯保証人ですよ!連帯保証債務の債務者なんですよ。お分かりですか?返済を拒否することなんてできないんです!」
「知りませんよ。連帯保証人、連帯保証人って?私が借りたわけじゃないのになんで私が債務者?うちだって住宅ローン払ってて余裕がないんですよ!」
「あのですね、分かってないようなので連帯保証人について説明しますよ」
連帯保証人となると、
- 契約者の支払いが1日でも遅れればすぐに請求される
- 契約した本人(父親)に請求してくれって事も言えない
つまり!
基本的には契約者(債務者)と全く同様の扱いってこと・・・。
更に、連帯保証人と似たような保証人というのがあるけど、これは違うらしい。
保証人の場合、
契約者(債務者)からとれるお金がない(自己破産したなど)とか、行方不明などで請求できない場合に保証人に請求できる。
保証人は契約者(債務者)に請求してくれという返済の拒否が可能だし、契約者が返済できそうなのにしない状況であれば「そっちから請求してくれ」と債権者に言って対抗できるとのことだった。
要は、保証人だと返済を拒否することが可能な場合もあるけど、連帯保証人は文句の一つも言えず応じるしかないということ・・・。
「わかりましたか?あなたは保証人ではなく連帯保証人なんです。連帯保証債務を返す義務があるんですよ」
連帯保証人になるリスク〜債権者からの一括請求に逃げ道はないのか?
「・・・。分かりましたけど、ないもんはないんです。だから分割ならって言ってるじゃないですか!」
「家あるじゃないですか!貯金だってあるのでは?手続きすれば差し押さえできるんですよ!!!」
ここまで言われてしまい、私は返す言葉を失った。
「これ以上話すことはありません。うちの方も既に家賃の滞納分について訴えましたから、裁判所からの書類がお手元に届くかと思います」
「急に???それはないでしょう」
「だから、言ってるじゃないですか!払ってくれって!払ってくれれば裁判だってすぐに取り下げしますんで」
私は、ここにきてやっと連帯保証人という立場がどれほど危険なものなのかを初めて認識した。
自分の意志で連帯保証人になってしまった以上、返済するしかないのだ。
それに、支払うべき主債務者である父がどうのこうのという問題でもない。
仮に、父が支払えるのに逃げていてもそれは関係ない。
残された道は、言う通りに一括で返済するしかないのか・・・。
それとも、逃げてしまおうか・・・?
この件については、主人に黙っていたこともあったし「逃げる」という非現実的なことまで考えるようになっていた。
本当に地方裁判所から訴状が届いた!
しかも、家賃分に加えて違約金、遅延損害金、損害賠償金までもが請求されており、金額は180万に・・・。
これだけの高額請求になるとは想像していなかった・・・。
仕方なく主人に相談した。
「何だよそれ?」
「あなたには謝ることしかできないけど、ウチが払うしかないみたい」
「払うって180万を一括だろ?」
「家賃分だけなら100万だったはずなんだけど」
「100万と180万じゃえらい違いだぞ」
「うん・・・」
「分割じゃダメなのか聞いてみたら?」
「聞いたけど、一括じゃないと裁判を取り下げないってさ」
「うちもローンあるからあれだけど、100万の分割ならどうにかなりそうだけどな・・・」
「あとは法的に進めます!とか言われちゃったしね」
「裁判なんてやばいじゃんか!」
「どうしたらいいかな?」
「俺に言われても・・・」
「だよね・・・」
「とにかく、出頭しろって書いてあるしどうにかしないとだよな?」
「そうだけど・・・」
「裁判か・・・弁護士に相談するとかお願いしたほうがいいんじゃないの?」
「どうなんだろう・・・」
「時間ないし、二人で考えてたって仕方ないから聞いてみるしかないよな?」
「そうね・・・」
弁護士に相談したことで滞納分の分割がOKに!素人にはできないプロによる交渉
すぐに弁護士事務所に電話して相談することになった。
「お父さんはどうしてるんですか?」
「父にはとりあえず家を空けてもらいました」
「それは相手にはもう伝えてありますか?」
「はい」
「
「収入はあるんですが、父には別の借金があって」
「そうですか。あなたが払うことになりますね。」
「はい分かってます。ただ、分割ができないとなると、うちもローンがあって厳しいんです」
「分割で支払うことは言いましたか?」
「言いました。でも、もう裁判所に訴状を出した後だったようで受け入れてもらえず」
「そうですか。このまま裁判に出るとなると180万の請求が通って、分割での和解という感じになるでしょうね。ただ、
「先生から交渉すれば多少は減額出来るんですか?分割にも応じてもらえるんですか?そしたら裁判はなくなるんですか?」
「分割は間違いないですし、減額できる可能性もありますね」
「そうなんですか?」
「明け渡しもしているので、話が通じる相手であればできますね。」
弁護士費用は高い?費用対効果を考えたら高くない
「費用の方はどれくらいかかりますか?」
「弁護士費用として着手金と報酬で20万円くらいかと」
「20万ですか・・・」
「そうです。請求されている180万円よりは費用をいれても45万くらいは低い金額になりますが」
「先生へのお支払いは一括ですよね?」
「そうですね。先に着手金だけいただく形になりまして、全てが終わった際に報酬金をいただく形です」
「着手金だけだといくらですか?」
「経済的利益の8%または最低額の10万になるので、10万8千円です」
「自分たちでは不安ですし、裁判所に出頭なんてこともしたくないので、お願いします」
参考ページ:借金トラブルは自力で解決できる?〜弁護士の無料相談を活用して早期解決
弁護士に依頼してから解決までの流れ
こうして私たちは弁護士にお願いすることになり解決することになったのだけど、面白いくらいあっという間に解決してしまった。
弁護士の説明によると、あのあとすぐに先方に連絡を入れてくれたらしい。
そこで、住宅ローンを抱えているため分割じゃないと払える余裕がないこと、請求額ではなく滞納分に遅延損害金を加えた金額でお願いしたいことを交渉したそう。
弁護士の事だから、きっとあらゆる事を言って交渉したとは思うけど、相手はその金額で合意をしてくれて和解成立!
裁判もすぐに取り下げられた!!!
期間にして4日程度だった。
私があれだけ悩んでいたことがたった4日で・・・。
ビックリしたけど、とにかく114万で和解ができて、月々6万3000円(18回払い)での返済が可能に。
参考ページ:借金問題に強い弁護士の一覧はこちら
出来る限り連帯保証人にはならないように!リスクと責任をよく把握しておく
「連帯保証人にだけはなるな」と言われる理由がよくわかった出来事だった。
今後は十分注意しなくてはいけないし、今回知ることが出来た連帯保証人と保証人との違いなども、自分がそういう立場になる時には最低限知っておくべきことだと反省した。
また、このような突然のピンチを切り抜けるには、その道のプロに相談したり、サポートしてもらうのが一番だなと思います。
参考ページ: 借金が返せなくても命までは取られない