セクハラとは?どんな行為や発言がセクハラになるの?裁判で争われたセクハラ問題と裁判所の判断 | ウルトラ弁護士ガイド

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セクハラやじ

セクハラは、主に職場での問題となります。

明らかに体を触ったり、卑猥なことを言う、地位や職権を利用して性的要求を求める行為はセクハラです。

ただ、会社内でおこるセクハラ行為は、あからさまな言動や行為ではないことがほとんど。

判断が難しいケースが多く、争いになることも少なくありません。

また、多くのケースで被害者は女性になりますが、ほとんどの男性が「セクハラ」をしているという感覚もなく発言している場合も多くあります。

セクハラについては、男女で認識の差が大きいというのも問題点です。

ここでは、どんな行為や発言がセクハラになるのか、判例などから紹介します。

セクハラになるのはイヤラシイ発言だけじゃない!早く結婚しろや子供を作れもNG

様々なケースが想定でき、どのような行為や発言がセクハラに当たるかの判断は難しいところです。

セクハラを受けた方は不快に感じているのに、セクハラ行為をおこなった方は「別にいやらしい意味はない」と考え、互いの主張が対立するからです。

中には、Aさんに言われるのはいいけど、Bさんに言われると不快に感じるとか…

Aさんになら手を握られてもいいけど、Bさんに握られたら不快だとか…

このように、受ける側の主観によって左右されるケースもあるのがセクハラ問題です。

ただ、多くのケースで被害者は女性になりますが、男性としては、「女性が不快だ、セクハラだ」と言えば全てセクハラになってしまうのか?と疑問を抱くかたも多くいます。

セクハラについては、何をしたら、どんなことを言ったらセクハラになるのか、という法律や決まりがないため、とても難しい問題となっています。

そこで、実際に起きた問題からセクハラについて説明していきます。

国会議員のヤジがセクハラに!話題になったセクハラ発言

一時期、ある議会での男性議員の発言が話題になりました。

女性都議が

女性都議
女性の妊娠・出産を巡る都の支援体制について

の質問をしていた際、男性議員から、

男性議員
早く結婚しろよ

男性議員
子供もいないのに

などのヤジが飛んだ問題です。

後から、男性議員が謝罪すると言う形で和解しましたが、この発言はどうでしょうか。

男性議員の発言は、一方的であり、そもそも差別的で暴力的な発言となり、許されるものではありません。

明らかにセクハラとなります。

男女問わず、性的な関心や好意をもつことはノーマルなのかもしれませんが、相手に行為や発言として伝える場合、当然ながらマナーは必要です。

これは一般常識の範囲であり、職場に限った事でもありません。

相手が不快に感じたり、不利益を生むような発言や行為であれば、それはセクハラなのです。

具体的にセクハラになる行為や発言とは?判例からチェック

裁判で争われたセクハラ問題とその際の裁判所の判断を紹介します。

①中古自動車販売会社損害賠償請求事件(H8.5.16札幌地裁)

・事件の概要

原告である女性は、被告の会社において洗車、一般事務、電話番等の職務を行っていた。

被告である社長は、仕事の連絡と称して、電話で交際を迫ったり、事務所内で抱きついて胸などを触った。

また、職務とは関係なく被告の自宅の掃除も命じ、性的関係を強要する等の行為に及んだ。これらの行為は、原告が勤務していた1か月半の間に継続的に行われていた。

結果、原告は退職するに至った。

・裁判所の判断

被告社長は原告に対する不法行為責任を免れない。

原告一部勝訴、慰謝料70万円を命じた。

②アルファボックス(広告代理店)慰謝料請求事件(H8.12.25東京地裁)

・事件の概要

被告である会社会長は、被告会社に勤務する原告女性が役員室へいくたびに、食事に誘ったり、きわどい話をした。

原告が入院した際には、被告会長は原告に対し、押さえつけてキスをしたり、胸に触る等のわいせつ行為を行った。

原告が退院後も、原告を無理にドライブに連れ出し、その最中に強引にキスをしたり、ホテルに誘ったりした。

結果、原告女性は会社を退職するに至った。

・裁判所の判断

被告会長は原告女性を好きになったがゆえの言動だと主張したが、原告に対する愛情がゆえの言動とは感じられるものではない。

証拠上も全く好意があっての言動などはうかがえず悪質である。

更に、会長という立場を利用し、原告が逆らえない立場にあったうえで行われたと判断できる。

被告会長の言動は、社会的にみても許容される範囲ではなく、不法行為となる。

また、被告会社についても、被告会長の選任及びその事業の監督につき相当の注意をなしたと主張しているが、主張からも証拠からも具体的内容がわかるものはない。

従って理由がない。

よって、被告会社は、民法715条の使用者責任を免れない。

原告一部勝訴、慰謝料150万円を命じた。

セクハラってどういう意味なの?

セクハラ(セクシャルハラスメント)は、直訳では「性的な嫌がらせ」という意味になります。

一般的には、「職場においての相手の意思に反する性的言動」と定義されており、判例などを見ても仕事や職務上の地位を利用してされた行為や発言の場合は、違法とされやすくなっています。

また、相手の意思に関係なく、むりやり性的関係を迫る、暴行などによって性的関係を強要する行為は明らかに違法であり、セクハラどころか強制わいせつ罪となります。

性犯罪被害にあった際の相談窓口!告訴への不安や示談に迷った際には弁護士へ

ただし、普段のコミュニケーションの取り方によっては、卑猥な発言やお尻を触るなどされてもセクハラにはならない=おとがめなしの場合もあります。

言ってみれば、関係性次第といったところです。

また、判例を見ると、拒否したり助けを求める事もできたのにしなかった、証拠が不十分などで敗訴しているケースもあります。

慎重にならないと返り射ちにあうこともあるのです。

セクハラ行為を受けた場合には、相手に対して「それはセクハラです」とはっきり指摘して、相手に気づかせる事も大切なポイントです。

まずは、セクハラにあっていると感じたら、専門家に相談してみましょう。

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