長時間労働に嫌気!残業を拒否したらどうなるの?国が認めている残業時間と過労死が認められた判例 | ウルトラ弁護士ガイド

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残業

リストラや人件費削減などで、1人あたりの仕事量が多くなり、残業時間が増えています。

また、以前から残業が多い会社もあるでしょう。

会社のため、生活のため、仕事だからと我慢していた方、長時間の残業に嫌気がさしていませんか。

時には、早く帰りたい、家族や恋人、友人との約束があるから早く帰りたいと思われる時もあるはずです。

それに、毎日の残業で睡眠時間がないとなれば、体だって持ちません。

しかし、残業を拒否したらどうなるのか?

会社での立場が悪くなる、上司に嫌な顔をされるなど、不安な気持ちもあるでしょう。

そこで、残業について、長時間の残業が問題にならないのか、断る権利はあるのかなど、残業についての話をしていきたいと思います。

残業を命令されたらやるしかないの?残業を拒否できるケース

まず、一度くらい残業拒否をしたからと言って、それでクビになる事はありません。

残業については就業規則等をチェックして、残業をしろと命令できる根拠があるかどうかがポイントとなります。

就業規則や労働契約書を見てみましょう!

残業の必要があるときには所定労働時間を超えて勤務する事を命じることがある」等の規定がありますでしょうか?

この規定がなければ、残業命令は無効となりますが、この規定があるのが一般的です。

そして、規定がある場合、労働者はこの規定に従って、残業する(労務を提供)事になります。

ただし、どんな場合にもこの残業命令に従うという事ではありません。

一般的には、「特に緊急の業務があるなど残業が必要な場合」に限られています。

では、人手不足のせいで残業させられている場合はどうなるのでしょうか?

これは一見すると、「残業を行う必要がある」場合となりそうですが、会社にもその状況を改善しないといけない責任があります。

従って、有効な残業命令とはならず、特に緊急の業務があるなどの特別な事情がないのであれば、残業を強いる事はできません。

なお、会社が人員を増やす努力をしていた場合はどうなるか?

この場合、努力はしているものの人員が確保できないという事情ですから、残業をさせる事が有効となる場合もあります。

この状況において残業を拒否すれば、就業規則の懲戒の規定に従って、たかが残業拒否でもクビになると言う事もあり得ます(始末書などを書けば解雇されません。)

また、残業をしているにも関わらず、残業代が出ないなんて事は別問題です。

中には、

  • 「採用の際に残業代は出ないと説明」
  • 「残業代が出ないと雇用契約に記載している」
  • 「年俸制だから残業代はない」
  • 「残業代は毎月1時間まで」

などという理由で、残業代を受け取ってない人もいます。

大事

これは明らかに違法です。

残業は何時間までなら違法にならないの?国は残業時間を制限している

残業(時間外労働)について

国は1か月の残業時間の限度は45時間、1年では360時間と定めています。

因みに1年で360時間ですが、12ヶ月で割ると30時間、1日に1時間から1時間半程度の残業となります。

つまり、残業が毎日1時間程度あったとしても特に問題にはなりません。

また、国は1か月の残業時間の限度を45時間と定めていることから、1か月だけを見れば毎日2時間程度(営業日20日)の残業があったとしても、特に問題とはなりません。

これが国が定めている基準となりますが、月45時間以上の残業があるという会社は多くあり、全てが違法ということではありません。

では、中には、月80時間の時間外労働を前提とした給与体系、時間外労働時間の限度を100時間(年間6回)とする会社もありましたがこれはどうでしょうか?

有名な居酒屋チェーン店の場合

男性店員が過労死したと裁判にもなっています。
(京都地裁判決(H22.5.25、労働判例1011号35頁)、大阪高裁判決(H23.5.25、労働判例1033号24頁)。

当然ながら、裁判所は時間外労働時間の限度を100時間にしていること、月80時間の残業があったことは、改善するように指摘しています。

そして、過労死についても、厚生労働省の基準で定める業務と発症(過労死)との関連性が強いとして、残業によって過労死した。

その責任は会社にあるとしました。

なお、厚生労働省の基準では、時間外労働が月100時間。

または、2~6か月の平均で月80時間を超えれば、健康障害が出る可能性が高いとしています。

また、残業が厚生労働省の限度基準(1か月45時間、1年で360時間を超える時間外労働)を超える事が想定される場合、就業規則や労働契約書などに特別条項をつけなければいけない事になっています。

日本人はなぜ残業をするのか?昔の慣習が影響している

そもそも、なぜこんなに日本人は残業をするのか?と疑問を持ってしまいますね。

仕事が遅いから?
効率が悪いから?
そうではありません。

かつては、昼夜を問わず働き、今で言う「サービス残業」が当たり前という時代がありました。

残業をすればするほど、職場での「格」が決まる時代があったのです。

しかし、現在はそうではありませんね。

けれど、その時代の名残なのか、会社や上司の指示・命令であれば、快く残業に応じる習慣がなお残っているとも言えます。

これは、日本の企業で働けば多くの方が嫌でも実感することです。

ただし、その日本人の性質を利用している企業もあり、労働者の人権を無視しているような勤務体系を設けている会社=ブラック企業も多くあります。

そして、身を粉にして働いた結果、ストレスなどで病気になる、過労死まで…

これでは報われません!

繰り返しになりますが、特に緊急性がない残業であれば、拒否したからと言ってクビになるなんて事はありません。

ですから、拒否してもいいのです。

では、もしその結果、不都合な条件を突き付けられた、給料を減額されたなど、思いもよらない事態となってしまったら…

専門家に相談して対抗しましょう

不当な解雇や給料の減額など、正当な理由もない要求に応じてはいけません。

自分の場合はどうなるのか?と疑問に思われている方も、一度相談してみることをオススメします。

参考ページ: 地域の相談窓口

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