離婚したいけど住宅ローンが!離婚後にトラブルにならないために連帯保証人や連帯債務者を抜けておく | ウルトラ弁護士ガイド

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夫婦とお金と住宅離婚するのは、簡単なようで大変です。

特に、持ち家がある場合。

その家をどうするのか?

誰が住むのか?

住宅ローンを支払い中なら、その残っているローンは誰が払うのか?

離婚前にしっかりと整理しておかないと、離婚後にトラブルになることが多くなっています。

そこで、持ち家がある場合や住宅ローン返済中の離婚について、役立つ情報を紹介します。

連帯保証人、連帯債務、ペアローンの違いとは?

住宅ローンを組む際には、4つのパターンのいずれかになっていることが殆どです。

① 夫が主債務者、妻が連帯保証人

② 夫婦で連帯債務者(共有名義)

③ 夫が主債務者(保証協会等の利用)妻は債務負担なし

④ ペアローン契約者

特に、住宅ローン契約において、連帯保証人、連帯債務者、ペアローンとなっている方!

どういったリスクを背負っているのかご存知ですか?

トラブルを回避をするためにも、まずはご自分が置かれている立場を正しく知ってほしいと思います。

連帯債務とは?夫婦の収入を合算してローンを組む契約

連帯債務でローン契約をする場合というのは、契約当時に夫婦ともに収入がある場合。

夫婦の収入を合算して1つのローンを組むのが連帯債務契約になるんです。

この場合、持ち家(不動産)の所有者は夫婦二人となり、その比率は2分の1となっているはず。

登記簿謄本を見れば分かります。

この契約でポイントとなるのは、「借り入れについての負担の仕方」です。

ケース1

4000万円を借り入れしたとすると、2分の1の2000万円ずつではなく、夫婦それぞれが借入額4000万円の債務を負うことになります。

つまり、現在の借り入れ残高が3000万円だったとしたら、

夫も3000万円

妻も3000万円

このように債務を負担していることになるのです。

もし返済が遅れれば、借入先の金融機関はどちらに対しても3000万円の返済を求めることができます。

ペアローンとは?夫婦それぞれが住宅ローン契約を組む形

夫婦がローンを組むという点では連帯債務と似ていますが内容が異なります。

大事

ペアローンは収入合算ではありません。

夫も妻も1つずつ住宅ローンを組むことになり、1つの持ち家に対して住宅ローン契約が2つになるんです。

例.3000万円の借り入れをしたい場合

ペアローンにすると、夫が2000万円のローン、妻が1000万円とそれぞれがローンを組むという感じです。

持ち家の所有者は夫と妻となりますが、その所有比率は借入額に応じて決まります。

上記の例の場合なら、夫が3分の2、妻が3分の1となります。

更に、ペアローンの特徴はもう一つ!

それぞれが相手の連帯保証人になることです。

妻は夫の、夫は妻の連帯保証人になるというのが通常です。

太郎隊員
どちらかが返済できなければ、もう片方に請求されることになります。

連帯保証人とは?夫が滞納したら妻に請求がくる


1つのローンに対して、夫が借主(主債務者)、妻がその連帯保証人となる契約となるのが通常です。

この場合、夫が借主で主契約者となるので、持ち家の所有比率は夫が100%の持ち分になります。

また、主債務者の夫がきちんと返済している限りは連帯保証人に対しての請求はいきません。

返済が遅れた場合には連帯保証人に請求がいくことになります。

全てに共通していることは、相手の返済が滞れば、全ての負担が自分に来るということです。

離婚をしたのに別れた相手の負担を自分が被るなんて嫌だと思います。

だからこそ、絶対にそのままにして離婚なんてしてはいけません!

参考ページ:離婚に関する悩みや不安・トラブルを有利に解決

ローン返済中の離婚はトラブルになる事が多い〜パターンごとのトラブル事例

実際に、どのようなトラブルになるのかをパターンごとに紹介します。

① 夫が主債務者、妻が連帯保証人の場合

妻が連帯保証人のままで離婚してしまったケースではトラブルが多くなる傾向です。

・債権者から残債の支払いを一括で請求されてしまい、支払うことが出来ず家は売却。

→売却後に残ったローンも支払えず破産することに・・・

② 夫婦で連帯債務者・ペアローン(共有名義)の場合

ペアローンや連帯債務者の場合、家の所有権が共同名義になっていることがほとんどです。

そのまま離婚する後々面倒になります。

・離婚後に家を売却しようと決断しても上手くいきません。

→共有名義になっている元嫁(夫)の同意が得られず売却ができないことになることも・・・

・元夫(嫁)が再婚し、その後死亡してしまうと…。

→再婚相手が相続し、再婚相手と共同名義人になってしまう・・・

・支払いが厳しくなって売却をしたいと思っても簡単にはできない。

→持ち分がある元妻に連絡をとることができず売却を進められない・・・

③ 夫が主債務者(保証協会等の利用)、妻は債務負担なしの場合

主債務者(所有名義)ではない者が住み続けるケースではトラブルが多くなっています。

・離婚後、ローンの支払いを主債務者(夫所有)ではない元妻が支払うことを条件に住み続けたが…

→完済した後の名義変更に元夫が応じてくれない。

・完済後には名義を変更してくれるはずだったのに…。

→「離婚後に支払った分を払え」と請求された。

・妻が(子供と)住み、ローンは夫が支払う約束で住んでいたが…。

→支払いが止まり競売され引っ越すことになった。

→突然、「売却するから出ていけ」と言われ、すでに離婚しているし、所有者でもないため従うしかなかった。

どのケースでもかなりの確率でトラブルになっています。

後々面倒なことにならないように、離婚前には住宅ローン対策をしておくことが必要です。

ただ、すでに「夫婦で話し合いなんて出来る状態ではない」状況の人もいるでしょう。

住宅ローンの組み方ごとに、離婚後のトラブル回避術を紹介していくので参考にして必ず対策しておきましょう。

★離婚の際の住宅ローンについて信頼できる無料相談はこちら

住宅ローンが残っている状態での離婚!離婚前にやっておくべきこと

離婚後のリスクを回避するためにはどうしたらいいのか?

それぞれのパターンごとに離婚前にやっておくべきことについて説明していきます。

①連帯保証人の場合「夫が主債務者で妻が連帯保証人の場合など」

夫婦間で「夫が支払うことで合意を得ているから問題ない」としてそのまま離婚している方が多くいます。

しかし、連帯保証人という立場である以上、リスクの回避はできません。

いくら夫が支払うなどと約束してあったところで、それは所詮「夫婦間の決め事」。

仮にその約束を書面にして公正証書などで準備してあったとしても、「相手が払えないのであればどうにもならない」。

支払いに関しては、債権者(金融機関)にとっては関係ないことです

もしも夫が滞納すれば、連帯保証人である妻が支払うことになる!

「債権者に対する責任は免れることができない」ということなんです。

一番のリスク回避策は、連帯保証人ではなくなること!

そうはいっても連帯保証人という立場を外してもらう事はかなり難しいこと。

世間では、「別の連帯保証人を用意すれば外せる」なんて声もあるけれど、現実的に別の連帯保証人を見つけることは厳しいです。

仮に、相手の親がなってくれると言ったとしても、適格な者かどうか判断するのは債権者である銀行になります。

年齢や収入などの審査も当然のようにあるし、確実ではありません。

「ローンを組み替える」ということも一つだけど、一般的にローンの組み換えは、ほぼできないと思ってください。

可能性がある解決策としては、「借り換えの利用」です。

借り換えとは?

現在の金融機関ではなく、他の金融機関でローンを組み直すことを借り換えといいます。

なぜ、このような仕組みがあるのかと言うと、よくあるのが金利の見直しです。

例・今のローンの金利が3%だとして、それよりも低い2.7%のところがある場合

たった0.3%との違いですが、「ローン残高が多い残りの返済期間が長い」などのローンの場合。

少しでも低金利にすることで百万単位の額がお得になることもあるんです。

このように、住宅ローンは他の金融機関を利用して乗り換えることができるうえ、ローン内容を変更することが可能なんです。

もちろん、連帯保証人等を解消する場合にも使えますよ。


当初の借り入れ時よりも夫の収入が上がっている

妻の残りの返済分を支払ってしまえる資金がある


このような場合は夫の単独債務での借り替えの可能性は高くなると思います。

とにかく、金融機関次第です!

  • 収入条件が満たせば連帯保証人不要
  • 保証協会に加入できれば連帯保証人不要
  • 団信を利用できれば単独債務が可能

金融機関によって審査も条件も異なります。

1社がダメでも諦めないで、借り換えできる金融機関を探してみましょうね!

借り換えができた場合の注意

連帯債務やペアローンから単独債務に変更するということは、妻の分も夫が負担することになります。

これが金額によっては、「贈与税」の問題が生じてくるのです。

もしも贈与税が発生する場合には、妻の不動産持ち分を夫へ負担付贈与することで回避することができる場合もあります。

詳しくは、借り替え先の金融機関や専門家に相談してください。

参考ページ:
★離婚の際の住宅ローンについて信頼できる無料相談はこちら

②ローンが残る家に主債務者(不動産所有者)ではない方が住み続ける場合

子供がいる場合


「主債務者(不動産所有者)ではない妻が子供と一緒にローンが残る家に住み続ける」というケースがよくあります。

後々、追い出されてしまう可能性があることを知っておくべきです。

実はこのケースは違反行為でもあります!

住宅ローンの契約書を確認すればわかるのですが、「名義人(不動産所有者)以外の人が住むことはしてはいけないこと」になっていることが一般的です。

住宅ローンというのは、「自分が住むための家を購入。そのための資金を貸し出す」という特殊なローン。

だから、「ローン債務者=不動産所有者」になっています。

「不動産所有者がローンを組んで購入した家に住み続けないといけない」ということでもあるのです。

中には、「所有者以外の一時的な利用なら認められる」という契約内容となっているものもありますが、あくまでも一時的な期間。

原則、所有者ではない元妻(子供と一緒に)が住み続けることは本来は認められないことなのです。

債権者(金融機関)に知られれば契約違反となり、残りのローンを一括で請求されるなどの「リスクある行為」ということを知っておいてください。

もしも妻がそのまま住み続けたいのであれば、自分名義にすることが考えられますが、名義変更するには妻がローン債務者にならないといけません。

ローン債務者になるには、収入があることが条件で、そもそも今のローンのままで名義変更(組み換え)することは、基本的に債権者は応じてくれないでしょう。

しかし、名義変更もできない状況でも、それでも住み続けたい場合もあると思います。

子供の学校の事情とかですね。

その場合には、主債務者(所有者)との間で賃貸借契約を結んで住むことにしてください!

ただ、実際には賃貸借契約など結ばないで住み続けてしまう方が多いというのが実情です。

契約なしに住み続ける場合だけど、これは本来は禁止されている事ですから、一時的に住む程度で考えて住みましょう。

それに、主債務者(所有者)が突然「売却する」とか言い出すことだってあります。

ローンを滞納されてしまうこともよくあることです。

そういったリスクも理解したうえで、「引っ越すこと」を視野に入れて住み続けた方がいいでしょう。

また、連帯保証人になっている場合には、元夫(主債務者)が支払えない事を想定して、売却や残るローンについてよく考えておくべきです。

③収入合算(共有名義)で夫婦でローンを組んでいる場合(連帯債務者の場合)

一番のリスク回避策は、連帯債務者から抜けること。

連帯債務というのは、夫婦それぞれにローン債務を支払う責任があるということです。

ちなみに、「主債務者が滞納したら請求がくる」という連帯保証人にとは異なるから注意してください。

「離婚後のローンは夫が支払う」というような夫婦間の合意があっても、債権者(金融機関)には通用しません。

支払いの責任を免れることはできないのです。

連帯債務を免れるためには、債権者と交渉するしかありませんが、一般的に債権者が了承してくれることはあり得ないことです。

例えば、新たな保証人をたてたり、一部まとまったお金を入金したり。

場合によっては外れることができるケースもありますが、それはごくわずかな債権者であって、特殊なケースです。

連帯債務者を外すというのは、基本的には厳しいのが現実なので、可能性が高い解決策としては借り換えになります。

借り換えで夫の単独債務にできれば問題ありません。

組み替えも借り換えも無理だった場合には売却を検討しよう

様々な事情から組み替え、借り換えが出来ない場合もあるでしょう。

離婚後のあらゆるリスクを考えると、やはりそのままの状態で離婚することは絶対にやめておくべきです。

それに、連帯保証人等でいることは、ローンが支払い終わるまで「ずっと元夫との関係を切ることができない」という事になります。

そこで、次に考える事は売却です。

特に、家を売却すればローン債務が無くなるという「アンダーローン」の場合なら、売却によって夫との関係は解消されます。

仮に、売却しても債務が残るというオーバーローンであっても、少しでもローン債務を清算しておくべきです。

連帯債務や連帯保証人を抜けられない場合〜任意売却を検討する

  • 「連帯債務から単独債務に出来なかった人」
  • 「連帯保証人を抜けられなかった人」

借り換えなどがうまくいかず、リスク回避ができそうにない人もいると思います。

そんな方は、任意売却を考えてください!

離婚する際に、ローン返済中の家を残したままにするのは本当に危険なことで、ここで清算をしておかないと泥沼に陥る可能性が高いからです。

支払いが滞ることは本当によくあるケースです。

なぜなら、出ていく夫がローンを支払うことにした場合、夫はローンに加え自分が住む家の家賃、場合によっては養育費も支払うことになります。

それなりの収入がある人じゃないと払い続けるのは無理です!

始めの数カ月、もって1年は支払い続けてくれるかもしれませんが、ほとんどのケースでは滞納されてしまったり、突然、売却すると言われることになります。

離婚したにも関わらず、そんな面倒なことになるのは嫌ですね。

だから、絶対に任意売却をしてローンを清算するべきです!

また、「離婚前の話し合いができる状態のうちに」というのがポイント。

離婚前ならそれほど問題なく進められそうだけど、離婚して別々の生活となれば難しくなるからです。

離婚してしまうと、一方が売却したいと思っても、「連絡がとれないとか、話し合いができない」などで同意を得ることができなくて、なかなか売却できないケースも多くあります。

任意売却については、別途詳しく説明しているので参考にしてください。

関連ページ:任意売却とは住宅ローンを払えない場合の解決方法

オーバーローン状態を家を売る場合の注意点〜売却してもローン残る

離婚の際に家をどうするのか?

離婚する際、一般的には「ローンが残っている状態」というのが殆どだと思います。

更に、「オーバーローン」となっているのが一般的です。

※オーバーローンとは、売却価格が残りのローン債務に満たないことで、「家を売ったのにローンだけが残る状態」ということ。

この状況だと、離婚を機に売却という選択をするにしても、残るローンの支払いをどうするのかという点を検討する必要があります。

一方で、ローンが残っている&オーバーローンということもあり、売却せずにそのまま残して、離婚後は夫婦の片方が住み続けてローンの支払いを続けるという選択もできます。

売却か、どちらかが住み続けるか…。

どちらかと言えば、「離婚後は夫婦の片方が住み続けてローンの支払いを続ける」というのが一般的にはよくあるケースです。

しかし、この「オーバーローン」となっている状態の家を残し住み続けるということは、すでに説明したとおり後々深刻な問題になる確率が高いのです。

あなたが債務を抱えていない(連帯保証人等ではない)状態でも、ローン返済中の家に住み続ける以上リスクはついて回ります。

また、「養育費の代わりや慰謝料としてマンションのローンを払う」という約束を文書にして、家に住み続けている人も多くいますがあてにはなりません。

「ローンを滞納」され、更には「半分払え、出来ないなら売却だ」

無責任なように思えますが、ローンが支払えなければ「売却」という選択しかできなくなります。

結果、家には住み続けられません。

養育費や慰謝料も受け取れなくなります。

後々トラブルのリスクが高い住宅ローン。

それを養育費や慰謝料としてもらうというのは大間違いです!

 参考ページ:離婚に伴う財産分与・養育費・慰謝料の問題は弁護士の無料相談で解決!

住宅ローンが残っている状態での離婚のまとめ

離婚するとなると、色々と解決しないといけない問題がありますが、住宅ローンが残っている持ち家もその一つです。

きちんと対処しておかないと、離婚した後にも引きずることになります。

ここで説明したことをまとめておくので、必ず、離婚前に対処してください。

  • ・連帯債務(共有名義)のままだとトラブルとなる可能性大
    → 相手に借り換えしてもらい、連帯債務者から外れよ
  • ・連帯保証人のままだとトラブルとなる可能性大
    → 相手に組み替えや借り換えなどをしてもらい、連帯保証人から外れよう
  • ・所有者でもなく賃貸借契約もせずに住み続けることは違反行為
    → 賃貸借契約を結び、賃貸人として住むようにしよう
  • ・対策を講じたが連帯保証人や連帯債務者の立場から抜け出せない場合
    → 任意売却をして最低限のリスクを回避しよう

参考ページ:

★離婚の際の住宅ローンについて信頼できる無料相談はこちら

離婚問題を得意とする弁護士事務所の一覧

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