近所に高層マンションが!!日照権を守るにはどうしたらいいの?

田神さんは一戸建ての家に住んでいます。

最近リタイアし、年金暮らしをしながら奥さんと庭で家庭菜園の手入れをしたり、花壇を作ったりしてゆったりした時間を過ごしています。

ある日隣の大宅さんとさらにその隣の相良さんが相次いで引っ越しをすると言って挨拶に来たのです。

何でも息子さんたちと同居するとのことで、土地建物は売りに出すとのこと。

別れは辛いけれど、次にどんな人が越してくるのだろうとちょっぴり楽しみな田神さんでした。

ところが大宅さんと相良さんが越して1ヶ月ほど経った頃、近所の人から2軒が取り壊され、跡地に高層マンションが建つという噂を聞きました。

最初は単なる噂だと思っていたのですが、建築説明会があるという知らせを受け、田神さんと近所の住民は驚いて説明会に駆けつけました。

そこで完成予想図などを見せられ、さらにびっくりしてしまいました。

マンションが建つと田神さん宅だけでなく、その両隣の家も大幅に日が当たらなくなってしまうのです。

それだけでなく、それ以外の近隣の家にも程度はそれぞれですが日照侵害が発生します。

みんな大激怒。

「私たちの日照権はどうなる。反対だ!!」
と声を上げましたが、業者の担当者は「建築基準法はすべてクリアしております。」と言うばかりで埒があきません。

田神さんと周囲の家の日照権は守られるのでしょうか

日照権についてはよく問題になるものです。

今回はマンションが建ったことによるトラブルですが、普通の戸建てでもトラブルになることは珍しいことではありません。

過去の裁判でも、 最高裁が「家屋の日照や通風は、快適で健康的な生活に必要なもの」であるとして、保護の対象としているようです。

一つの基準となるのが、建築基準法で、その中の隣地に何時間の影を作るかという点です。

今回のケースでは 業者の担当者が「建築基準はすべてクリアしている」と言っています。

ですから建築基準法上の日照権にはまず期待できないでしょう。

では田神さんたち近隣住民はこのまま黙っているしかないのでしょうか?

建築基準法はあくまで行政上の基準です。

これをクリアしているからといって問題がないわけではありません。

行政上の基準はともかくとして、「生活に必要なもの」としての日照権がどの程度保護されるべきなのかというのはまた別問題だと考えることができるからなのです。

このような判断は個別のケースごとに具体的になされます。

建築説明会などで実際に利用されているものに「日影図」があります。

日影図 というのは 建物による 1時間ごとの 日陰の様子を示した図のことです。

今回のケース

日照権が問題になったときに日影図を作成し、周辺の建物が日影になる時間帯を把握します。

最近、マンションを建設するときには必ずと言っていいほど、近隣住民説明会用に作って持っているはずです。

これは日照権を争う裁判や調停の場では必須資料と言ってもいいでしょう。

日照権が問題になったときには、まずはマンションの施主に日影図を提出してもらい、1日に何時間程度日陰ができるのかを確認しましょう。

言い換えれば何時間くらい日照の確保できるかの確認をするのです。

日影図を確認した上で全くと言っていいほど日照が確保できないような場合は・・・。

それは建築工事差し止めの仮処分を申し立てる大きな理由になりますよね。

その過程の中で、建築の一部設計変更や和解金の支払い等の和解が成立することもあります。

例えば私の記憶しているケースでは7階建てのマンション建設を予定していたが、4階建てになったなどというようなことです。

仮処分を申し立てるほどではないような場合でも日照権侵害による損害賠償請求が可能です。

この場合は 精神的損害に対する賠償、つまり慰謝料請求ということになります。

田神さんは庭で野菜や花を育てて楽しんでいました。

もしかしたら日照時間が短くなることで、その楽しみが奪われてしまうかもしれませんね。

たとえば介護を受けている方が日当たりのいい部屋で快適に過ごしていたのに、突然マンションが建ち、ひなたぼっこの機会を奪われたり、景観が損なわれることで精神的に苦痛を感じるといったこともあるでしょう。

こういった場合に損害賠償を請求するのですが、そうはいっても日照権は常に守られるという類いの権利ではないことも覚えておきましょう。

住宅街の真ん中にドカンとマンションが建つのなら大問題でしょうが、大都市部などの商業地域や工業地域では、この慰謝料すら認められないことが多いのが実情なのです。

さまざまなケースがあるのです。

立地や環境などによってずいぶん違ってきますから、よくよく調査し、どういった被害が想定されるのか、具体的にかつ正確に申立てをする必要があると思います。

建築基準法と生活の中で問題になる日照権はまた別問題ですから、「建築基準上問題はない」という相手方の主張に尻込みや泣き寝入りしないで、しっかり地域住民も主張をすべきだと私は思います。

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