「ぶつかってきた向こうが悪いに決まってるでしょ?!」スノボ上級者コースで子どもが動けずにいたら、後ろから来た人に激突された!!

さきさんには、小学校2年生の息子さんがいます。

さきさん夫婦は大のスノボ好きで、結婚前から夫婦でよくスノボをしにスキー場へ行っていました。

結婚し、子どもができてしばらくはスノボに行くことができなかったのですが、息子のあきお君が小学生になったことをきっかけに、再び、スノボを楽しむようになったのです。

昨年の冬、あきお君にスノボを基礎からみっちり教えたおかげか、あきお君のスノボの腕はみるみる上達し、あっという間にスイスイ滑れるようになったのです。

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これに大喜びしたさきさんは

『今年の冬は、あきおも上級者コースに行けるよね!家族皆で上級者コースを楽しめる!!』
と意気込んでいました。

さきさんの夫、とおるさんは『あきおはまだ小さいんだし、流石に上級者コースは危ないんじゃないか??』と心配していましたが、さきさんは楽観的に考えていました。

そして、あきお君が小学2年生になった冬、家族3人で行ったゲレンデで、トラブルが起こってしまったのです!!

子どもなんだから仕方ないじゃない?!は通用しない??

いよいよやってきたスノボ旅行。

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さきさんは意気揚々と、小学2年生のあきお君を上級者コースへ連れていきました。

初めての上級者コースに若干緊張はしているものの、あきお君はゆっくりとしたスピードで何とか滑ることができていました。

さきさんもとおるさんも、あきお君の様子を見てほっとしていたのですが…

突然!あきお君が派手に転倒してしまったのです。

そして、あきお君は転倒したその場から起き上がることができず、ゲレンデの真ん中で動けなくなってしまいました。

起き上がれずど真ん中で座り込む・・・

上級者コースは、初心者コースや中級者コースと比べて斜度もきつく、あきお君は恐怖で座った状態から立ち上がることができなくなってしまったのです。

あきお君が自分で起き上がって滑りだす気配がないことに気付いて、慌ててあきお君の側に滑りおりようとしたさきさん夫妻。

しかし、その次の瞬間、上から滑ってきたスキーヤーとあきお君が、思い切りぶつかってしまったのです!!

ゲレンデの真ん中で思い切りぶつかってしまった2人は、お互い立ち上がることもできないようでした。

さきさん夫妻は、慌てて2人に駆け寄り、何とか手を貸しながら安全なゲレンデの端まで移動したのです。

結局、あきお君に大きなケガはなかったものの、ぶつかった時の衝撃で、少し肩を痛めてしまいました。

そして、あきお君にぶつかったスキーヤーは足を骨折する大怪我をしてしまったのです!

スキーヤーは、何とか小さなあきお君に怪我をさせないようにと、衝突の瞬間に無理やり身体をひねってあきお君を守ってくれたようでした。

さきさん夫婦は、ひとまず怪我したスキーヤーの田中さんと、連絡先だけ交換して別れました。

それから何日かたって、改めて田中さんから連絡がありました。

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数日経って連絡がきた!

その内容は『お宅の息子さんがゲレンデの真ん中で動かずにいたから、今回の事故が起こってしまった。そちらに事故の原因があるので、治療費を払って欲しい』というものでした。

これに対し、さきさんは

大人のくせに子どものせいにするなんて!あきおは、ただゲレンデに座ってただけなのに!!ぶつかってきたのはあっちでしょ!?

大体、あきおだって肩に痣ができたんだから!!こっちこそ治療費と慰謝料請求してやるわよ!!」

と、鼻息荒く怒りだしました。しかし、旦那さんは、さきさんを諌めるように言いました。

「あきおはまだ小学2年生だぞ。上級者コースは難しすぎたんだ。それに、ゲレンデのど真ん中であんな風に座り込んでて、確かに皆の邪魔だっただろ。きちんと治療費全額お支払いしようよ。」

旦那さんは、まだスノボの腕が未熟なあきお君を上級者コースに連れていってしまったことを後悔しており、今回の事故も、それが原因で起こってしまったものだと責任を感じていました。

「何よ!あなたまで!!大体、止まってる車に後ろからぶつかってきたら、どう考えてもぶつかってきたほうが悪いでしょ!?それと一緒よ。あきおは悪くないわよ!!」

対して、さきさんはあくまで『ぶつかってきた方が悪い』と考えおり、田中さんへの治療費は払いたくはないようです。

では、今回のケースの場合、法律的にはどう考えればよいのでしょうか?

スキー・スノボでは、上から滑ってきた人に回避責任あり?!

スキーやスノボは、楽しい反面、どうしても衝突事故や怪我が多いイメージがありますよね。

皆、危険を承知の上で楽しんでいるのでしょうが、だからと言って「怪我をしても仕方ないものとして諦める」というのは、やはり納得がいきませんよね。

また、反対に自分が原因で誰かに怪我をさせてしまった際に「仕方ない」の一言で済ませるわけにもいきません。

こうした危険が伴うスポーツであっても、お互いに『相手に怪我をさせないよう気をつける注意義務』があるのです。

この注意義務を怠った時点で、その人には『過失(不注意)』があるものとみなされます。

この過失が認められれば、スキーやスノボで発生した事故であっても、

『民法上の不法行為 (民法709条)』 が成立し、怪我等による損害賠償請求が可能なのです。

また、スキーやスノボ事故による損害賠償請求訴訟には、下記のような考え方があります。

『スキー場において、上方から滑降する者は、前方を注視し、下方を滑降している者の動静に注意して、その者との接触ないし衝突を回避することができるように速度及び進路を選択して滑走すべき注意義務を負うものというべき』(最高裁平成7年3月10日)

これは最高裁判所の判決です。以後、スキーやスノボのトラブルの際には、この判例が一定の基準として考えられるようになりました。

しかし、「どんな時でも、上から滑ってきた方が悪い」と一律に決めつけてしまうわけにはいきません。

トラブルの状況をしっかりと把握し、『過失割合(事故を起こした双方の過失が、それぞれどの程度の割合なのかを数字で表したもの)』を明確にする必要があります。

今回のトラブルの場合、上方から滑ってきた田中さんには、下方側のゲレンデの真ん中で座りこんでいたあきおくんを避ける注意義務がありました。

田中さんはこの注意義務を怠った為(過失)、衝突事故を起こしてしまったのです。

しかし、あきお君に全く過失がなかったのかというと、そうではありません。あきお君には、以下のような事実があります。


・去年スノボをはじめたばかりで、また上級者レベルの技量が無いのに、上級者コースを滑っていた。

・転倒後、速やかにゲレンデの端など、周囲に迷惑のかからない場所に退避せずに、ゲレンデの真ん中で動かず止まってしまった。


これにより、上方から滑ってきた田中さんの過失が10割にはならず、下方にいたあきお君にも何割かの過失があったものとされます。

この為、『さきさん夫妻は、田中さんの慰謝料を全額支払う必要は無い。その代わり、田中さんにあきおくんの治療費や慰謝料を請求するのではなく、お互いの治療費や慰謝料を相殺しあう。』といった対応が妥当となります。

これは、民法722条2項で規定する『過失相殺』にあたり、お互いの過失で損害賠償額を相殺しあうことになります。

勿論、過失割合によって相殺できる額も異なってきますので、損害賠償額がきれいに消えてしまうわけではありません。一部の賠償金額を相殺し、残りを現金で支払う等、様々なケースが考えられます。

いざという時のために!!事前にしっかりスキー保険

結局、さきさん夫妻と田中さんは何度か話し合いを重ねた結果、お互いにちょっとしたお見舞いの品を渡しあって、それでお終いにすることにしました。

話し合いを重ねるうちに、田中さんは、自分側の過失割合が高くなりそうであることを知り、最終的には『治療費はいらない』と主張を訂正したのです。

さきさん夫婦も『それならば…』と治療費や慰謝料の請求はとりやめました。

こうして、何とか一件落着となったわけです。

楽しいはずのスノボ旅行から一転、大変なトラブルに見舞われてしまったさきさん一家。

幸い、息子のあきお君に大きな怪我はありませんでしたが、ゲレンデではいつこのような事故に巻き込まれるかわかりません。

周囲に十分な注意を払い、安全に滑るよう心がけることは勿論のこと、いざという時に備えて

『スキー保険』等を検討するのもまた、大切なのです

もし衝突事故等の際に保険金がおりれば、自分の治療費にあてるだけでなく、自分が相手側の治療費を負担する場合等に、大いに役立ちます。

色々なタイプの保険がありますので、是非一度スキー保険について調べてみてましょう。

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