隣に建つ家が我が家の壁とギリギリに!日照権侵害と違法建築の法的基準
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住宅密集地では、隣の家との距離が近い!という問題は結構多くあります。
特に近年では、低所得に反して土地の価格はあがり、狭い土地を購入して土地のいっぱいいっぱいに家を建てる人が増えています。
新築する人にしてみれば、「安く有効的に」という事かもしれませんが、場合によっては周りに迷惑をかけてしまうこともあるのです。
- 相手の家によって日が当たらなくなった
- 窓をあけたらすぐ目の前に隣の壁や窓が出来てしまった
- キッチンの前ギリギリに相手の家のトイレを置かれてしまった
- お風呂の窓の真ん前に相手のリビングの窓を設置されてしまった
このような状況にされてしまうと、隣に住む住人としては大迷惑です。
しかし、相手も夢のマイホーム。
既に設計や内装などの確認が終わっている。
更に、工事にも着手しているとれば、変更をお願いしても聞き入れてくれないこともあります。
結果、トラブルとなります。
そこで、家を建てる場合には、
どのようなルールがあるのか?
ギリギリに家を建てる事は許されるのか?
最終的には法律的に判断するしかない問題です。
ここでは、家を建てる際に関係する法律や違反している際の対処について説明していきます。
境界ギリギリの新築工事をやめさせたい!法的な判断はどうなるの?
家を建てるにあたっては、隣の家との距離を規定している法律がいくつかありますので紹介しておきます。
①民法第234条
建物は境界から50センチ離して建てる。
②民法第235条
境界から1メートル未満の距離で他人の宅地が観望すべき窓を設けるものは目隠しをする必要がある。
③民法第236条
民法234条と235条と異なる慣習(地域の決まりなど)がある場合には、その慣習に従う。
④民法第237条
トイレは境界線から1メートル離す。
⑤建築基準法第56条
防火地域または準防火地域内にある建築物で、外壁が耐火構造のものについては、その外壁を隣地境界に接して設ける事ができる。
これらの関連法規を見ると、基本的には境界線から50センチ離れて建物を建てなければいけない事になっています。
ただし、地域などによっては、50センチではなく20センチなど、地域ごとに慣習がある場合も。
地域のルールがある場合には、その地域の慣習に従う事になります。
また、防火地域や準防火地域である場合には、耐火構造を条件として、ギリギリでも良いケースもあります。
これらを踏まえたうえで、「キッチンの前ギリギリに相手の家のトイレを置かれてしまった」場合を考えてみましょう。
単純に、民法第237条からすると、境界線からギリギリの所にトイレを設置することは違反となります。
防火地域や準防火地域、または地域の慣習がない場合。
浄化槽の設備や公共の下水道管に接続されて汚水の浸漏の問題がなければ、ギリギリでも問題ない事になります。
他の問題も同様です。
窓の前に壁が建てられた場合なども、建築基準法や民法の建築に関する規定に違反しているかどうかがポイントになります。
また、日当たりについては、日照権という権利が法律で定められているわけではありませんが、判例でも認められていて、確立している権利です。
日照権を侵害されている場合には、損害賠償請求や建築差し止め請求などが認められる可能性があります。
ただし、権利が侵害されているかどうかに関しての判断は一律ではありません。
家が建つ場所の用途や地域によって異なっています。
例えば、商業地域や工業地域の場合。
日照権は認められない可能性が高いです。
一般住宅地域であれば、侵害されている程度が一般的にみて受忍限度を超えるレベルであれば、違法性が認められる可能性があるでしょう。
分かりやすい例としては、「名古屋地方裁判所 平成6年12月7日」の判例です。
隣の土地に3階建ての家が新築で建てられることが計画され、建築差し止めの仮申請が行われました。
新しく建つ建物自体は建築基準法を満たしていました。
しかし、3階建ての家が建つことで今まで通りの日当たりを確保できず、侵害される時間も長いこと、また、その付近が低層住宅地域であることなどから、申請人の要求が認められ、建築をやめるように判断したのです。
違反している場合には?早急な対応がポイントになる
最終的な判断は、法律や判例に基づいてされます。
違反していれば、違反しないように設計を直すようにと要求できます。
しかし、完成してしまったら、相手に対して設計を直せとはいえません。
その場合には、損害賠償請求となります。
早い段階での交渉がカギとなるでしょう。
また、完成はしていないものの、既に工事がスタートしていて進行している場合も、早目の対応をするべきです。
解決が困難となる前に手を打つ!
工事が始まっている場合、話し合いや交渉は難しくなります。
工事が進めば進むほど、相手も後戻りするには費用を負担することになるからです。
裁判所の過去の判例では、工事がだいぶ進んでいたことから、「費用の負担が大きすぎるため、損害賠償請求できる」という判断に留まっています。
できれば、工事が始まる前の段階で話し合いの場を持てるといいでしょう。
その際には、粘り強く交渉するのも大切です。
ただ、当人同士の話し合いや交渉では、感情的になってしまうことが少なくありません。
実際には、弁護士に代理人になってもらい、法律に基づく主張をし、交渉していく方がいいでしょう。
なお、話し合いが難しい、交渉が決裂してしまった場合には、調停などを利用して解決を図ってみてください。
それでも解決ができない場合には、最終的には裁判所に訴えて、判断してもらうしかありません。
違法建築かどうか、日照権を侵害に当たるかどうかの判断は、判例や法律が絡むため、素人では難しい面もあります。
一度、無料相談を利用して、専門家のアドバイスを受けてください。
参考ページ:地域の相談窓口