原状回復って何?借りてる方が負担しなくちゃいけないの?

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リフォーム代まで請求された!応じないといけないの?

賃貸アパートやマンションから退去するときに問題となるのが原状回復義務です。

例えば、畳やクロスのはり替えや鍵の交換など、これらの費用まで請求されてしまった、されている、という方もいるのではないでしょうか?

または「それらの費用を敷金から差し引きます」など…、
このような例が原状回復でトラブルとなるケースであり、敷金トラブルと同様にこの問題も賃貸人と賃借人の間で頻繁に発生するトラブルとなっています。

では、このような事態になった時、どうすればいいのか?

泣き寝入りせず、円満に解決するための知識や対応を説明していきます。

原状回復義務について説明

まずは、原状回復義務とは何か?

不動産の賃貸においての「原状回復」とは、「家を借りた人(賃借人)は、退去時(賃貸借契約終了時)に、大家さんに(賃貸人)に対して借りていた家を明け渡すのですが、その際には入居時の状態に戻す義務を負っている」というものです。

そして、この現状回復については、裁判となり争われるケースも多いことから、国土交通省でもガイドラインを公表しています。

そこで、まずはガイドラインを見てみましょう(国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」について)。

「原状回復とは原状回復を「賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧すること」と定義し、その費用は賃借人負担。」としています。

そして、「いわゆる経年変化、通常の使用による損耗等の修繕費用は、賃料に含まれるもの。 」とされています。

つまり、このガイドラインでは、「原状回復は、借りた人が入居した時の状態に戻すという意味ではない」ことを明確にしています。

ただし、「通常の使用」とはどの程度ものか?という疑問・問題が生じますね。

これについては、次のとおり5つの状態に分けて説明しています(国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」について <図 損耗・毀損事例の区分>)。

・A:経年変化・通常損耗
賃借人が通常の生活を送るために家を借りて住み、使用をしている中で発生する汚れだと考えられるもの

・B:善感注意義務違反・故意、過失・その他
賃借人の生活次第、利用の仕方次第で汚れたり、汚れなかったりすると考えられるもの(通常の使用なら汚れなかったとされるもの)

・G:入居時よりもグレードアップ

・A+B
基本的にはAの範囲においての汚れであるが、賃借人の手入れがされず管理が悪かったために損耗等が発生、または拡大したとされる汚れ

・A+G
基本的にはAの範囲においての汚れがあるが、改築等がなされ建物の価値を上げているもの

そして、このうち賃借人に原状回復義務があるとされるのは、B及びA+Bとなっています。

これが国土交通省が公表しているガイドラインです。

裁判所の判断はどうなっているのか?

いくつかの判例を紹介しますので裁判所の考え方を見ておきましょう。

1.東京地裁平成6年7月1日

「原状回復」という文言は、社会通念上、時間の経過及び建物を通常の範囲において使用すれば生じてしまう建物の自然損耗についてまでもとに戻す事を言っているのではなく、賃借人の故意、過失による建物の毀損や、通常の範囲を超える使用によって劣化等したものだけにもとに戻すを義務だと解するのが相当。

2.京都簡裁平成11年7月29日

上記約定によれば、賃貸借契約が終了したときは、賃借人は、賃借人の使用が悪く通常の使用とは思えない建物の消耗、汚損、破壊等の修繕費費用を負担する義務をかしていると言えるが、その責任の範囲は、通常の使用の範囲を超えるてついた損傷等と解するのが相当。

3.仙台簡裁平成8年11月28日

居住用建物の賃貸借においては、賃貸物件の通常の使用による損耗、汚損はその賃料によってカバーされるべきものと解すべきである。したがって、その修繕を賃借人の負担とすることは、賃借人に対し、賃料支払義務、敷金差入義務、目的物善管注意義務等の法律上、社会通念上当然に発生するものとは別のものであり、新たな義務を負担させる。それを負担させるためには、特に、賃借人がこの別の義務がどのようなものかを認識し又は認識して義務負担の意思表示をすることが必要。

つまり、裁判所の判断は、次のとおりです。

賃借人は、通常の使用による損耗分においてはもとの状態にしなくてよい。

逆に、賃借人は、故意・過失等によって建物を劣化させた場合、修繕をする必要がある。

よって、賃貸人は、賃借人が退去する際、壁やふすま等が汚れていたとしても、それが通常の使用の範囲ならば、その修繕費用を請求及び敷金から差し引いてはいけないのです。

これは、賃貸借契約書に『契約終了と同時に本件建物を原状に回復して、明け渡さなければならない』などと記載があった場合でも適用されます。

なお、きちんと管理をしていなかった、通常の使用を超えて使用していたなどの場合は修繕をする必要があり、修繕にかかった費用は賃借人が負担することになります。

修繕費用を負担することになる傷や汚れって具体的にどんなもの?

では、具体的に原状回復義務を負うケースと負わなくていいケースを紹介しておきます。

<原状回復義務を負うケース>

・お風呂やトイレ等の水垢、カビ等
・結露が発生する場所のカビの拡大
・鍵を紛失した、破損した場合の取替え費用
・入居時にカーペットが設置されている場合、飲みこぼしなどで出来たカーペットのシミ
・引越作業でついた壁や床、柱などのキズ
・日常的に掃除していればつかなかった台所のスス・油汚れ
・喫煙によるクロスのきばみ
・釘穴・ビスによる壁の穴
・ペットによる柱やふすま等のキズ

<原状回復義務を負わなくよいケース>

・家具の設置による床やカーペットにできた跡
・冷蔵庫やテレビの後ろにできる電気焼け
・ポスターを壁に貼ってできた壁紙の変色
・自然現象によっておこるクロスや畳の変色、フローリングの色落ち
・下地の張替えが必要のない程度のガビョウの穴
・寿命による設備機器の故障
・賃貸物件の構造的な欠陥によりできる汚れやシミ
・次の入居者の為のもの
(畳の裏返し、網戸の交換、破損・紛失以外の鍵の取替え等、ハウスクリーニング、エアコンの清掃)

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