亡き親が住んでいた実家に住宅ローンが残っている場合の対処方法

この記事を読むのに必要な時間は約 3 分です。

親が亡くなったとなれば、バタバタと心の痛みも忘れるくらいせわしくなりますよね。

葬儀も終わり、やっと少し落ち着いてきた。

そんな時です!

母親から「この家、まだローンが残っているのよ・・・」

また、実家の片づけをしているときに、「ポストに父あての住宅ローンの督促状が入っていた!」

いくら自分の親のこととはいえ、住宅ローンなどの借金についてすべて子供たちが把握しているケースは少ないです。

突然のことで、驚きとともに不安になるのもよく分かります。

「このローンは一体どうなるの?」

「誰かが支払う事になるのか?」

正しい知識を知ってよく考えてから相続すれば、きちんと解決できます。

「親が住宅ローン返済途中で亡くなった場合」について、どんなことを確認して、どうすれば親のローンで苦労することがなくなるのか?

やるべきことを順に説明していきます。

「亡くなった親にローンが残っていた」ことを知ったら、すぐに確認して下さいね!

(1)ローンの契約内容と生命保険の加入を確認しよう

住宅ローンの契約をするときというのは、「団信保険」という生命保険に加入するかどうかが求められるのが通常です。

この団信保険への加入が貸し出しの条件になっている金融機関がほとんどです。

まずは住宅ローンの契約書を探してこの保険に加入しているかを確認してみてください。

契約書が見当たらなければ、ローンを組んでいる銀行等に連絡して聞いてみましょう。

そして、親が住宅ローンの返済中に亡くなった場合、この団信保険に入っていたかどうかがとても重要になってくるのです!

この保険は、契約者が支払いすることができなくなった時に役立つものになります。

契約者が死亡や高度障害になってしまった場合に残っている住宅ローンがあれば、「保険会社が契約者の代わりにですべて払ってくれる」というサービスなんです。

つまり、保険に加入していれば、ローンが残っていたとしても残された遺族が払うことなくローンという借金を消すことができるんです。

親がローンを残したままであろうと、何も気にすることはありませんよ。

ローン契約をしている銀行に連絡をして、手続きをしてもらいましょう。

(2)現金、預貯金、その他の財産と負債をすべて出してみよう

実際には、親の財産をすべて把握している子供というのは、「いない」と言えます。

もしも現金や預貯金もなく借金ばかりしかない親だったらどうでしょう?

亡くなられた今、既に相続は開始されています。

何もしないで3カ月が経過すれば、自動的に「単純承認」されたとして相続は終わってしまいます。

相続人となる子供たち(母親)は、その借金を返さないとけなくなってしまいます。

そんなの困りますよね?

相続の手続きでは、「相続放棄」という手続きがあるんです。

これは全ての財産を放棄するという手続きとなりますので、借金などの負債だけでなく預貯金等の財産も放棄することになります。

親が亡くなったと知った時から、3カ月以内に手続きをしなくてはいけません。

この手続きをすれば、借金を引き継ぐことなく相続を終わらせることができます。

ですから、葬儀が終わった後には、親のすべての財産を洗いざらい出して、相続放棄をする必要があるのかどうかを決めなくてはいけませんね。

bunnpai1それに、相続人となる人が母親・弟・妹などと複数いる場合には、財産を正確に出して相続をしておかないと争いの原因になることもあるんです。

他にも、相続は相続税の問題もありますので、すべての財産をだしてきちんと申告しておくべきです。

後から申告漏れだとかで延滞税や加算税等の追徴課税の問題がでてくることもだってあります。

葬儀が終わって一安心、やっと落ち着ける頃に大変だとは思いますが、次にやることは「すべての財産を把握すること」です。

財産となる項目とは?

財産と聞くと、現金や預貯金、家や土地を思い浮かべるかと思います。

もちろん、それも財産ですが、他にも色々とありますし、住宅ローンや借金という負債も財産になるのでしっかり確認をしましょう。

一般的な例として、以下に項目を紹介しておきます。

プラスとなる項目例

・現金
・預貯金
・定期預金
・株式
・土地や家などの不動産
・自動車などの動産
・有価証券
・生命保険
・損害保険
・高級腕時計・高級アクセサリー・骨董品など

負債となる項目例

・住宅ローン(銀行へ残債の確認)
・借金(カードローン、消費者金融等)
・友人・知人からの借金

財産が分からない場合

親が金庫等を持っていて、大切な書類や通帳などをそこに保管していればいいのですが、何がどこにあるのか分からない場合もありますね。

まして、探しても見つからない場合、何を手掛かりにして財産を把握したらいいのか?困ってしまいます。

そこで、親の財産の見つけ方を紹介していきますね。

預金通帳が見つからない場合

とにかくまずは通帳を見つけ、預金先を知りたいところです。

預金先が分かれば、出入金明細を出してもらえます。

その明細に、定期預金の利子や配当金、保険会社からの入金があれば手がかりとなりますよね。

ですが、通帳がどうしても見当たらない場合には、キャッシュカードを探してみてください。

もちろん、出金明細でもいいですよ。

それでも預金先や取引のある金融機関が分からないとなると、親から聞いたことのある金融機関に必要な書類をもって、口座の有無を確認してみましょう。

この状況の場合、銀行には親がなくなったことがばれてしまうので、相続が終わるまではお金を引き出すことができなくなります。

また、クレジットカードを利用していた場合には、その利用明細から引き落とし口座が分かることもあります。

預貯金先等の金融機関(支店)がわかったら、「残高証明書」を発行してもらってくださいね。

保険の調査方法

保険証券があればすぐに分かりますね。

証券が見つからない場合は、保険料の支払い領収書や生命保険料控除証明書、保険内容確認の通知やパンフレットなどを探してみましょう。

車を持っていた場合には、車検証と一緒に車に保管してある場合もありますよ。

確定申告していた場合なら、生命保険料控除欄から確認することもできるでしょう。

株・有価証券の調査方法

株式や債券などの証券証書を探してみましょう。

見つかったら、取引のある会社に連絡して、「評価証明書」というのを発行してもらってくださいね。

証券が見つからない場合ですが、生命保険と同様に関連する書類や預金口座への配当金や出金から見つけられることもあります。

また、株などで収入があれば、確定申告をしていることでしょう。

確定申告からも調査できますね。

不動産の場合

家の場所は分かるはずなので、法務局に行き「登記簿謄本」をとりましょう。

評価額については、土地は路線価という国税庁の出している土地の値段によって決まるのが通常です。

路線価がないところもありますが、そこに関しては固定資産税に何倍かをかけて計算されます。

建物については、固定資産税が評価額となるので、市役所に行けば分かります。

借金の調査方法

keiyakusyoinnkann借金があるかどうかを調べるのが一番難しいかと思います。

知られたくない気持ちから、隠されていることがあるからです。

亡くなられた方が大切なものを保管している場所があれば手がかりになるのですが、それ以外だとキャッシュカードや利用明細などがないか探してみましょう。

また、カードローンの利用や借り入れ等をしていた様子があるようでしたら、「個人情報信用機関」に情報開示を求めてみてください。

借り入れなどの情報が管理されているところなので、何かわかるかもしれませんね。

主な財差の調べ方について説明をしましたが、亡くなられた方が手帳や日記帳、名刺ファイルなどをお持ちの場合、そこから手がかりとなる情報が出てくることもあります。

大変な作業にはなると思いますが、相続するか放棄するかの判断材料になるので、しっかり探してくださいね。

アンダーローンかオーバーローンかを確認しよう

iwtodeta財産をすべて把握できたら、次にやることは不動産の売却価格を知ることです。

なぜ売却価格をここで出さなくてはいけないかというと、以下のどちらの状態になるかを知るためです。


①残債>売却価格ならオーバーローン

②残債<売却価格ならアンダーローン


数か所から査定をだしてもらい、住宅ローンの残りの金額と売る場合の売却価格、どちらが高い金額となるかを確認しましょう。

なお、団信保険に加入していてローンがなくなるのであれば、不動産が財産として残るので多少の負債があってもプラスになると判断できますね。

総合的にみて相続財産がプラスとなるかマイナスとなるかを確認しよう

アンダーローンかオーバーローンのどちらの状態になるかがわかったら、相続財産が全体としてプラスになるのか?マイナスになるのか?を確認しましょう。

その際には、以下に当てはめてみてください。
(ローン付き不動産の売却価格見積-残りのローン債務)+(他の財産)

これで相続財産が全体的にどうなるのかの判断ができるはずです。

「限定承認」とは財産がマイナスだったら相続しない保険のようなもの!

相続では相続財産が全体的にプラスとなるのか?マイナスとなるのか?の判断が重要です。

しかし、家の売却価格を出したとはいえ、実際に売却してみないことには全体としてプラスになるのかどうかが分からない場合もあります。

例えば、

「ローン付き不動産売却価格見積1900万-残りのローン債務2000万)+(他の財産300万)」

という見積のままでいけば全体的な相続財産はプラス200万となるはず。

実際に売却してみたら、

「ローン付き不動産売却価格1600万-残りのローン債務2000万)+(他の財産300万)」となった。

つまり、実際には相続財産全体としてはマイナス100万となります。

このように実際に売れる金額次第ではマイナスになるのかプラスになるのか微妙な場合には、限定承認をして保険をかけておいたほうがいいと言えます。

限定承認をしておくと、仮に全体としてプラス(300万)だと思っていたのに、相続後にマイナス(100万)になってしまった場合でも、その差額となるマイナス部分(100万)を返さなくて良いことになるんです。

逆に、結果的に相続財産全体ではマイナスだと思っていたのに、相続後にプラスとなった場合は、その差額分のプラス部分を相続財産として受け取ることができるんです。

相続開始から3カ月以内にしなくてはいけない手続きで、相続人となる人が全員で手続きしないといけません。

ただ、限定承認は民法上のことだけではなく税法上も関係してくるため、専門家に相談して依頼した方がいいと思います。
限定承認の弁護士費用の相場は、資産価値の10%(最低30万円)となっています。

この費用もふまえたうえで判断してくださいね。

総合的に財産がプラスになる場合

相続財産は全体としてはプラスになっている状態ですが、ローンを返済していかなくてはいけない不動産がありますね。

その不動産をどうするかを決めなくてはいけません。

それぞれの事情によって、「そのまま残したい」、「残さないで売却したい」という判断になるかと思います。

売却するかしないかによって、その後の解決策が変わりますので、ケースごとに説明していきます。

実家を残したい場合

seikatuローンの途中ですから、月々のローンを支払わなくてはいけません。

ローンを支払う余裕のある状況でしたら、そのまま相続してローンを支払い完済へと進めていけばいいでしょう。

当月分のローンさえ支払いができない状態が続いてローンを滞納すると、借入先から一括返済を迫られることになります。

他の財産を早く現金化して支払いを急ぎましょう。

実家を売りたい方

不動産業者に査定を依頼して、売却へと進めていきましょう。

ただし、売るからと言ってローンの返済をいつまでも止めてしまうと、借入先の銀行が競売へと進めてしまうこともあります。

競売へと進まないように、早めに行動するようにしましょう。

総合的に財産がマナスになる場合

全体的にマイナスとなる場合ですが、まずは実家を残したいかどうかを考えましょう。

実家を残したい方

ローンの返済をしなくてはいけませんので、支払う余裕があるか否かで解決方法は変わります。

支払う余裕がある状況の場合なら、そのまま相続して支払いを続けて完済すればいいですね。

逆に、すぐにでもローンの支払いを止めるしかない状況の場合なら、家は諦めて相続放棄をしたほうがいいでしょう。

支払える余裕もないのに残そうとすれば、後々苦労することになりますよ。

それはやめておくべきです。

相続財産が全体的にマイナスで実家を残さない方

他にプラスとなる財産もなく家も残さないという判断です。

相続放棄の手続きさえすればローンの返済についてもう心配する必要はありませんよ。

母親が連帯保証人となっている場合

住宅ローンの連帯保証人に母親(亡くなった方の妻)がなっている場合もあります。

母親は、相続人でもあり、連帯保証人でもあるという場合です。

この場合、「相続人として心配事がなくなれば安心」ということではありません。

連帯保証人となっている場合には、気をつけないといけないケースがありますので注意してください。

オーバーローンで任意売却する場合

任意売却後にも債務が残る状況ですね。

この任意売却後に残る残債を払えるか否かがポイントになります。

関連ページ:任意売却とは住宅ローンを払えない場合の解決方法

売却後の残債を払える状況の場合

清算すれば保証債務も無くなります。

売却後の残債を払えない状況の場合

連帯保証債務を無くすには、①自己破産するか、②売却後の債務を他の相続人の協力を得て少しずつ支払っていくしかありません。

相続人がローンを引き継ぎ家を残す場合

家を相続してそのままローンを返済するということで、住宅ローンは残る状況ですので連帯保証債務もなくなりません。

母親自身または他の相続人(子供)と一緒になど、とにかく完済すれば保証債務は無くなります。

(完済するまでは保証債務は無くなりません)

相続人全員が相続を放棄した場合

他の相続人と一緒に母親自身も相続放棄をしたとしても、連帯保証人としての保証債務は消えません。

この場合、どうしても保証債務を無くしたいのであれば、自己破産をするしか保証債務を消すことはできません。

関連ページ:ローンや借金の返済が厳しい方!自己破産をした方が良いケースもあります

まとめ

住宅ローンの返済中に親が亡くなった場合

まずは団信保険の確認です。

加入していない場合には、全ての財産の把握をしましょう。

そのうえで、どうするかをよく考えて判断するべきです。

中には、相続放棄や売却することを検討しなくてはいけない方もいるでしょう。

売却するとなるとある程度の時間はかかりますし、相続放棄するとなれば手続きの期間に制限があります。

放棄ができる3カ月というのはあっという間です。

既に問題に直面してしまって時間がない、どうしたらいいのか悩んでいる人は、すぐに専門家に相談にいくべきです。

関連ページ:相続問題を得意とする弁護士事務所の一覧

サブコンテンツ