【刑事事件手続きの流れ】家族が逮捕や起訴されるとどうなる?逮捕(容疑)から起訴までの流れと起訴後から判決まで| ウルトラ弁護士ガイド
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逮捕された場合、警察から家族に知らせは入りますが、詳しい説明はしてもらえません。
身近な方が逮捕されたり、罪を犯したと疑われている場合、心配になると思います。
まずは今どのような状況におかれているのかを理解することが重要です。
そのうえで、やれることがあれば素早く対処していきましょう。
刑事事件で逮捕された場合、基本的にどのような流れとなるのか説明していきます。
目次
【刑事手続き前半】逮捕(容疑)から起訴までの流れ
逮捕された場合
起訴されるかどうかの処分が決定するまで
最大で23日間
最短で3日程度かかります。
通常、その期間は身柄を拘束されます。
逮捕から起訴まで(勾留期限最大23日勾留された場合)のタイムスケジュール
8月1日に逮捕された例
① | 8/1 | 逮捕 |
---|---|---|
② | 8/1~8/2 | 警察での取り調べ |
③ | 8/3 | 検察庁で取調べ&勾留請求 |
④ | 8/3 | 裁判所で勾留質問され勾留が決定 (8/12満期日) |
⑤ | 8/12 | 勾留満期日 検察により更に10日間の勾留請求 裁判所により延長決定 (8/22満期日) |
⑥ | 8/22 | 処分決定 (起訴または不起訴処分など) |
①逮捕について
刑事事件がおこると警察によって捜査がおこなわれます。
被疑者(罪を起こした疑いのある者)が事件の証拠を隠したり逃げることのないように身柄の拘束をすることです。
- 通常逮捕
- 現行犯逮捕
- 緊急逮捕
逮捕には3つの種類があります。
1、通常逮捕
逮捕状をきちんと用意してから逮捕することを通常逮捕といいます。
捜査をおこない、犯人が特定できた段階で警察は裁判所に逮捕状の請求をします。
2、現行犯逮捕
警察は、場合によっては逮捕状がなくても逮捕することができます。
例をあげると、ひったくりの現場を目撃した警察官によって、犯人が捕らえられたケースなど。
警察官の目のまえで犯罪が行われた場合には、その場で逮捕されます。
これを現行犯逮捕といいます。
3、緊急逮捕
緊急逮捕は、例えば以下のような者に対して行われます。
人を殺したり、強盗したうえ怪我を負わせる、または殺した場合や強姦などをおこなった者、疑いが濃厚な者。
これらは、死刑や無期懲役または3年以上の実刑や禁錮刑となるような犯罪です。
これを犯した者や十分に疑える者については、逮捕状なく逮捕できます。
その名のとおり、緊急に逮捕する必要があるからです。
なお、逮捕時には、逮捕の理由を伝えなくてはいけません。
裁判所へ早急に逮捕状の請求をおこないます。
②逮捕された後の流れ〜警察での取り調べ
事件の内容によって、その後の流れは異なります。
例えば、現行犯逮捕の場合など。
証拠があって逃げる恐れがないと判断されれば、2日ほどで釈放されることもあります。
また、軽い犯罪であれば※1微罪処分とされ、1日ほどで釈放されるケースも。
※1微罪処分とは?
起訴されることはありませんので、身柄も1日ほどで解放され家に帰れます。
犯罪の種類は限られていませんが、スーパーでの万引きや酔った勢いでの暴行などです。
微罪処分になるポイントとは
初犯で悪質ではなく、本人が深く反省している点です。
被害者がいる場合、被害者が重い罰を望んでいないことも重要になります。
なお、釈放はされますが、罪を犯した事実は消えません。
被害者への賠償責任、警察に犯罪の記録が残ります。
それ以外の通常逮捕の場合、身柄の拘束は長くなる傾向があります。
現行犯逮捕のように、罪を犯したことが明白ではないことが理由の一つです。
警察官は、捜査で集めた情報や証拠をもとに、逮捕した被疑者から事情を聞きます。
罪を犯したかどうかを見極めていくのです。
③検察庁で取調べ&勾留請求〜警察での取り調べが終わり罪を犯したと判断した場合には検察へ
警察が取り調べできる時間は、逮捕から48時間以内です。
これを送致といいます。
ここからは検察官による取り調べが始まります。
送致されると、被疑者も留置場から検察庁へと移動し、検察官による取り調べを受けることになります。
検察官は、警察の調べた資料をもとに被疑者から事件について話を聞きます。
この判断を、被疑者が検察に到着してから24時間以内におこないます。
限られた時間の中で、検察は判断をしなくてはいけません。
しかし、限られた時間で決定できない場合もあります。
その場合には、勾留請求がおこなわれます。
処分を決めるにあたり、取り調べの時間が足りないと検察が判断した場合、
身柄の拘束を延長してほしいと裁判所へ要求します。
裁判所は、検察からの資料をもとに、被疑者と直接話をします。
そして、身柄の拘束が必要かどうかの判断をおこないます。
重要
裁判所が検察の請求を認めれば、10日間の勾留が決定します。
多くのケースで、勾留請求がされ、認められるのが一般的です。
勾留請求されない場合もある
罰金刑で済むような罪を犯したことが明白で、被疑者も認めている場合です。
このような場合に検察は勾留請求することなく略式起訴(簡単な方法での刑事裁判)として、同時に裁判所へ略式命令(簡単な手続きで終わらせる)を請求をします。
・略式命令についてはこちら
裁判所によって身柄の拘束が必要ない(勾留請求が却下)と判断された場合
勾留請求が却下された場合、すぐに解放されます。
④裁判所で勾留質問され勾留が決定した場合
勾留請求は、基本的には10日間となります。
裁判所によって認められた場合、検察は10日間延長された期間で処分を決定します。
なお、10日間の勾留期間で結論がでない場合。
⑤勾留満期〜検察により更に10日間勾留請求される場合もある
1回目の勾留延長申請と同様に、検察は裁判所へ取り調べの時間がもう少し必要であることを伝えて請求します。
この時、被疑者と裁判官の面談はありません。
それまでの経緯から裁判所が判断することになります。
延長が決定すれば、最大で10日間、さらに身柄の拘束は続きます。
一方、延長請求が却下された場合、すぐに釈放となります。
⑥検察による処分の決定〜処分の種類は4つ
検察は勾留期間内に被疑者の処分を決定します。
検察が決定する処分の種類は以下の4種類です。
起訴
被疑者(容疑者)を正式な裁判にかけること。
- 裁判所が事件に関係する両者の主張を聞く
- 有罪か無罪また有罪であれば刑はどの程度かを判断する
重要
・起訴後の流れについてはこちら
不起訴
捜査の結果
- 被疑者は処分や刑罰を受ける必要がない
- 裁判で有罪になる可能性が低い
と判断されたということです。
前科がつくこともなく、事件はおわり、身柄は解放されます。
略式命令
罰金刑ですむような場合。
本人が罪を認めていれば正式な裁判はおこなわれません。
事件内容を書面によって裁判所へ伝える手続きとなります(略式起訴)。
裁判官がその内容の審査をおこない判断をくだし、裁判所が認めれば、罰金を納めて事件はおわりです。
検察官は罰金の額を決め、書面で判決を伝えます。
裁判所へいくことなもなく、釈放となります。
勾留請求されずに略式起訴(略式命令)が認められれば、逮捕から約3日で身柄は解放されます。
ただし、前科として記録は残ります。
処分保留
勾留期間が終わるまでに
- 起訴になるのか?
- 不起訴になるのか?
はっきりと判断できる証拠がなく、処分を決めることができない場合です。
処分保留となると,いったん身柄は解放されます。
しかし、事件の捜査は続けられ、後日正式な処分が決定します。
起訴できるような確実な証拠がでないかぎり、基本的には不起訴で事件終了となります。
不起訴のため、前科がつくことはありません。
【刑事手続き後半】起訴後から判決まで
起訴されてから判決が出るまでについて説明します。
判決が出るまでの期間は、公判のおこなわれる回数によって異なります。
また、身柄が拘束され続けるケースと、解放されるケースがあります。
一般的な流れは以下のとおりです。
起訴から判決までのタイムスケジュール(8/22に起訴されて2回目に判決がでた場合)
① | 9/3 | 起訴処分決定後、2週間以内に初公判日時決定 (初公判9/22) |
---|---|---|
② | 9/22 | 初公判、裁判所で審理がおこなわれる |
③ | 10/6 | 判決が言い渡される (有罪または無罪、有罪の場合、刑罰が決まる) |
公判が2回以上の場合も、審理期間が長くなるだけで、基本的には同様の流れとなります。
①起訴後、初公判の日時が決定されるまでの期間
通常、起訴されてから2週間以内に1回目の公判日時が決まります。
なお、被告人は拘束されている場合と家にいる場合があります。
釈放されている場合
裁判が始まって判決がでるまで、家ですごすことができます。
拘留されている場合
拘置所で過ごし、裁判所へ通うことになります。
拘置所に空きがない場合には、警察署の留置所が拘置所の代わりとなります。
なお、保釈請求をおこなうことができます。
参考ページ:逮捕された家族を1日でも早く家に戻してあげたい!起訴前の釈放と起訴後の保釈請求
②公判までの期間
起訴されてから大体1か月後に初公判となるのが通常です。
裁判ときくと長期間かかる印象を受けますが、実際には初公判で事件についての審理が終了することが多いです。
2回目の公判で判決を言い渡されます。
ほとんどの刑事裁判は、多くても3回までの審理で終わっています。
③判決までの期間
審理が終了してから大体2週間後には判決が出ます。
有罪または無罪がきまり、有罪であれば処罰の内容を言い渡されます。
判決の種類と判決後の流れは、次のとおりです。
罰金刑の場合
罰金を納付したあと釈放となります。
執行猶予判決が出た場合
即釈放となります。
実刑判決が出た場合
身柄は拘束され刑務所へ服役することになります。
無罪の場合
無罪なので、拘束されている場合には釈放され、犯罪歴も残りません。
保釈金を払っている場合には、判決後に返却されます。
判決に納得いかない場合の控訴・上告について
日本では三審制度というものがあります。
三審制度とは
上級の裁判所へ上訴して審理をやり直してもらうことができます。
1回目の判決に納得がいかない場合
控訴すると高等裁判所で審理されます。
控訴で出された判決にも納得がいかない場合
上告すると最高裁判所で審理されます。
しかし、いつでも上告ができるわけではありません。
制限があるため上告が認められるケースはそれほどないのが現状です。
以上が、逮捕されてから、裁判がおこなわれ判決がでるまでの一般的な流れです。
家族をどうにかしてあげたい!不起訴や執行猶予付き判決を望むなら弁護人を活用する
説明したとおり、刑事手続は短期間で流れるように進んでいきます。
逮捕から起訴まで | 約20日間 |
---|---|
起訴から公判が始まるまで | 1カ月半ほど |
しかし、警察や検察がルールや流れについて具体的かつ丁寧に教えてくれることはありません。
何もわからずに進められてしまうのが現状です。
逮捕された方は、外部との連絡を制限され、接見禁止になれば面会や手紙のやりとりすらできません。
そのような中で連日の取り調べを受けるわけです。
精神的に動揺し、投げやりになってしまうこともあるでしょう。
場合によっては、やってもいない犯罪を認めてしまうことも。
また、 必要以上に勾留されてしまったり、重い罪を負ってしまうという理不尽なことも実際にはおきています。
刑事事件では、適切に対処することがとても重要です。
同じ罪を犯した場合でも、対処の仕方によっては、受ける罰が大きく変わることもあります。
できる事はやってあげたいと考えている家族の方、早い段階で無料相談を活用してアドバイスをうけるべきです。
特に逮捕後、勾留の取り消しや保釈してほしい場合、不起訴や刑の軽減をしたい場合には、すぐにでも弁護士に依頼するべきです。
家族として、やれることをやってあげてください。
参考ページ:刑事事件で逮捕された場合に知っておくべき対処方法
弁護士の必要性と弁護士選びについて
刑事事件手続きの流れを紹介しましたが、逮捕されてしまうと、基本的には本人や家族ができることは、ほとんどありません。
身柄の解放や、不起訴、または刑を軽くしたくても、家族や本人が何かをすることは現実的には不可能です。
ですが、弁護士は違います。
不起訴や刑が軽くなるように動いたり、無実だと証明したり、長期勾留から解放するなど、様々な弁護活動ができます。
少しでも早い身柄の解放や、不起訴や執行猶予付き判決を望まれる場合、弁護人をつけるべきです。
弁護人による弁護活動について具体的に紹介していきます。
参考ページ: 弁護人のサポートで結果が大きく変わる?刑事事件で逮捕された場合にやるべき対応
接見禁止となる逮捕直後でも面会できる
接見禁止となり、家族が面会できない場合でも弁護士は面会ができます。
逮捕後、すぐに依頼をすれば、その日のうちに面会しに行ってくれます。
逮捕された理由や逮捕された家族の状況を詳しく知ることができるでしょう。
また、逮捕された家族にとっても、自分をサポートしてくれる弁護士がいることで安心感を得られます。
今後の手続きの流れや事情聴取における逮捕された方の権利などについてもアドバイスも受けることができます。
参考ページ: 家族が逮捕された!面会や差し入れはいつからできる?
勾留請求を止める
弁護人による弁護活動では、勾留請求を防ぐことも可能です。
弁護人による弁護活動
- 検察官や裁判官に意見を提出
- 面談を重ねる
- 勾留の必要がないことを訴える
早期に身柄が解放されるような活動を行います。
不起訴や執行猶予付き判決となるように弁護活動を行う
被害者と示談をすることが有効な場合には、示談交渉を成立させて、不起訴や略式命令処分となるように活動します。
なお、不起訴や略式命令処分にするためには早い段階からの示談交渉が必要です。
家族では、被害者の連絡先さえ教えてもらえず、謝罪をすることすら困難となります。
弁護士であれば、被害者の連絡先を知ることができ、謝罪することはもちろん、示談に向けた活動をおこなうことができます。
また、起訴された場合でも、被告人の判決に有利となるような証拠を提示し、実刑を執行猶予付き判決にできるように活動します。
参考ページ:刑事事件で早めに示談をすれば処分は有利に
起訴後も拘束が続いた場合の対処〜保釈請求をする
起訴後、拘束が続くケースもあります。
この場合、保釈請求することで釈放される可能性があります。
保釈が決まれば、保証金を支払うことで保釈となります。
なお、保釈請求手続きをおこなうには専門の知識が必要で、身元引受人が必要なため、通常、弁護人を引受人として弁護人が裁判所へおこないます。
なるべく早い段階で弁護士へ相談し、対処してもらいましょう。
参考ページ:頼りになる専門家一覧はこちら